タイ・ベトナム料理は、テーブル調理が基本。 アジア料理研究家に聞いた!味の決め手となるアジアの調味料10選。
大ブームになったパクチーも、今やすっかり日常に定着した感があります。でも、アジアにはまだまだ面白いハーブや野菜、調味料がいっぱい。今回は、今後注目を集めそうな調味料をアジア料理研究家の外処佳絵さんに聞きました。
【テーブルの上にある調味料】
ホットチリソース…タイ、ベトナム、マレーシア
唐辛子、砂糖、酢、塩、にんにくで作られるタイの辛いソース。揚げ物のタレとして使われるほか、炒め物や麺料理にも。甘味が強いスイートチリソースは生春巻きや揚げ春巻きのソースとしてもおなじみ。
ナム・ソム・プリック、プリック・ポン、ナンプラー、ナムターン…タイ
■ナム・ソム・プリック
輪切りにした唐辛子を酢につけ込んだもの。赤唐辛子のみ、青唐辛子のみ、ミックスなどさまざま。料理の味を引き締め、油分をさっぱりさせる。にんにく、ネギ、バイ・マックルーの刻んだものなどを入れたものも。
■プリック・ポン
赤粉唐辛子。もっと辛くしたい時に、自分好みの辛さになるまで料理に加えていく。種ごと粗挽きにしたものが一般的だが、粉状のものもある。かなり辛いので、初心者は少量ずつ入れていくのがおすすめ。
■ナンプラー
カタクチイワシなどの魚介類を原料とした魚醤。魚介に大量の塩を加え、1年ほど熟成し液状化したもので、東南アジアを代表する調味料。ベトナムではヌクマムという。色が薄く透明度が高いものほど高級。
■ナムターン
砂糖。本来はココナッツシュガーだが、安価なグラニュー糖が置かれていることが多い。甘味とともに、旨味とコクを出す役目も。甘味と酸味のメリハリがはっきりしているのが特徴のタイ料理には欠かせない。
【キッチンの中にある調味料】
ナムプリック…タイ
唐辛子味噌。唐辛子、にんにく、赤玉ねぎ、パクチー、干しエビ、ライム果汁などを石臼(クロック)ですり潰し合わせて作るペースト。ディップや調味料として使用する。使う材料で名称が変わる。
シーユー・カオ…タイ
大豆から作られるタイの醤油。薄口醤油でクセはほとんどなく、さらっとしている。そのままつけ醤油としては使わず、炒め物や煮物などの味付けに使われる。これを加えると炒め物がたちまちタイの味に。
ムオイ・オト・トム…ベトナム
海老塩。ベトナムではとてもポピュラーな、唐辛子、にんにく、乾燥させ粉状にした海老が入ったピリ辛の塩。海老の旨味が利いているので、ダシとしても使える便利な調味料。チャーハンや炒め物にふりかけて。
ココナッツミルク…タイ
ココナッツの種子の固形胚乳からとれる、ミルク状の食材。缶に入って売られていることが多く、タイカレーのコク出しに加えたり、砂糖で甘くしてデザートのチェーにしたりする。アジアで広く使われている。
カピ…タイ
シュリンプペースト。オキアミや海老を塩漬けにして発酵させたものをペースト状にした調味料。ダシのひとつとして東南アジア全域で使われている。強い塩気と旨味が特徴。匂いも強いが、加熱すると薄まる。
テーブルの上にある調味料で、好みの味に調整しよう。
「タイやベトナムでは、テーブル調理が基本。タイの場合、ナンプラー、プリック・ポン(粉唐辛子)、ナムターン(砂糖)、ナム・ソム・プリック(唐辛子酢漬け)の4種類はクルワンプルーンといって、必ずセットでテーブルに置いてあります。これで自分好みに味付けするんです」
現地で食べる麺のスープは薄味なことが多いが、これは各自で味付けするのが前提なため。塩味、辛味、
甘味、酸味の調味料を加えて味に変化をつけたり、気分や体調に合わせて味付けしたりと自由自在に楽しむ。「ベトナムはどちらかというと素材重視。たっぷり使うハーブが調味料的な部分があります。タイ料理の方が調味料を多用するので、面白いものがたくさん見つかりますよ」
外処佳絵/アジア料理研究家。国際中医薬膳師。台湾・香港・韓国・タイ・ベトナム等の現地の料理学校・教室にて、アジア料理を中心に学ぶ。料理教室「PANDA KITCHEN」主宰。
(Hanako1140号掲載/illustration : Etsuko Nagaoka text : Riko Saito)