味にシビアな京女も太鼓判を押す、名店の逸品とは? 京都ツウの業界人が普段行く、お気に入りのグルメ店4軒【麺・中華】
長年、京都に暮らすローカルの達人方に直撃!自分と趣味や感性がバッチリ合う、とっておきのお店を伺いました。
「あっさりだけに終わらないのが京都の麺の奥深さ。」(フォトグラファー・ハリー中西さん)
「一日一麺」を欠かさないハリー中西さん。うどん、そば、ラーメンなど種類を問わない無類の麺好きだが、中でも京都ならではの進化を遂げた麺を愛してやまないそう。
〈和食 香穂〉/七条川端
「例えばうどんは細くて柔らかいのが特徴やけど、これがおいしいだしをよく吸ってくれるんです。うどんに次ぐ定番になりそうなにゅうめん(温かい素麺)も同じように、主張しすぎず、だしを引き立てるのがいい。九条ねぎに限らず、ねぎとの食感の対比も面白い!」。
素麺に隠れた陰の主役は利尻昆布と花かつおでひいただし。たっぷりの九条ねぎも特徴。「上等なだしを味わう一杯」
〈華祥〉/元田中
独特な黒いスープのDNAを受け継ぐご当地ラーメンにも注目。「深みのあるスープが時々無性に恋しくなる。“あっさり”だけに終わらないのが、京都の麺の奥深いところやね」
ごまだれ冷麺は、ほうれん草を練りこんだ特注の翡翠麺を使用。蒸し鶏と白ねぎなどをのせ、ピーナッツ油で香りよく仕上げ。「ごまだれのコクと酸味が後を引く!」
フォトグラファー・ハリー中西さん
京都生まれ、京都育ちのカメラマン。料理専門誌を中心に活躍し、食への情熱が高じてほぼ100%外食の毎日。カレーうどんなど「濃い麺」も大好き。麺類はだしが命とスープは残さない主義。
「舞妓さんも食べやすいよう香辛料控えめのはんなり中華。」(ライター、コーディネーター・天野準子さん)
幼い頃から家族三世代そろって中華のお店を訪れていた天野準子さん。「京都の中華は、芸妓さんや舞妓さんたちも食べやすいよう、ニンニクや香辛料を控えてあるのが特徴。しつこさがなく、毎日でも食べたくなる、懐かしい味わいなんです」。あっさり、はんなりとした仕上がりながら、決して「薄い」わけではないのは、細やかな仕込みと工夫の賜物なのだ。「春巻の皮が手焼きだったり、焼飯の具があらかじめ炊いてあったり。きちんとかけた手間が、風味や食感のよさにつながっているんだなと、食べるたびに実感します」。今回は誰もが知っている定番ながら、味にシビアな京女も太鼓判を押す名店の品をご紹介。その違いに驚くはず。
〈盛京亭〉/祇園
作家・池波正太郎も愛した味わいを今は二代目店主が守る。鶏ガラと野菜で毎朝とる澄んだスープが原点。細切り野菜を炒めてから冷やした「八宝糸」も名作。
〈鳳舞楼〉/新町仲立売
今はなき京都中華の草分け〈鳳舞〉で研鑽を積んだ店主の相場哲夫さん。屋号とともに、そのレシピを受け継ぐ一方で、オリジナルの味も追求する。
ライター、コーディネーター・天野準子さん
生まれ育った京都の“碁盤の目”を拠点に、各誌京都特集のコーディネートや取材・執筆を行う。京都ならではの流儀や、豊富な知識と強靭な胃腸を武器に、食関係の取材も積極的にこなす日々。
(Hanako特別編集『Hanako TRIP ひみつの京都 完全版』掲載/photo : Noriko Yoshimura (P.92), Hiroshi Matsui (P.93), Board of Boys’ Day off (P.94))