淹れたてのコーヒーでゆっくり過ごしたい、 おひとりさまの隠れ家に。【中央線】で行く、本当は秘密にしたいカフェ4選
ひとりでゆっくり過ごしたい時は中央線をぶらり旅。普段は降りない駅に降りてみると、新しい発見があるかも。今回ご紹介する本当は秘密にしたいカフェには、淹れたてのドリップコーヒーの香り漂う落ち着いた店内とこじんまりとした雰囲気に言葉では言い表せない居心地があります。
1.独特の抽出方法で淹れるコーヒーとケーキは相性抜群〈Coffee 凡〉/新宿
新宿東口駅前に店を構えて30年以上。自家焙煎の芳潤な香りに包まれる店内は、1,500客を超えるアンティーク食器のコレクションが目を引く。
細かく挽いた豆とよく冷やした水を合わせて、空気に触れずに冷蔵庫で保管後、ネルフィルターで一気に漉して仕上げる。炒りたてのブラジル、コロンビア、モカの豆をブレンドし、熱を加えずに丸一日かけて作るアイスコーヒーは、豊かな風味とクリアな味わいに衝撃。
(Hanako1150号掲載/photo : Michi Murakami text : Emi Suzuki)
2.北欧デザインになじむ、日本の用の美〈moi〉/吉祥寺
フィンランドで留学経験のある建築家が設計した店舗。
オリジナルのカップ&ソーサーはフィンランドで活動していた日本人デザイナーに依頼し、合わせるカトラリーは柳のものに決めた。
「使いやすくシンプルなフィンランドデザインは、柳宗理の理念と近いのでは」とオーナーの岩間洋介さん。
(Hanako1152号掲載/photo:Kenya Abe text:Kahoko Nishimura)
3.日本文化の豊かさを発信する1世紀前の喫茶店〈胡桃堂喫茶店〉/国分寺
西国分寺で愛されるカフェ〈クルミドコーヒー〉が昨春、お隣の国分寺にオープンさせた2店舗目は、昭和を飛び越え、100年以上前の喫茶店がモデル。「1888年に上野で創業した〈可否茶館〉がお手本です。50年、100年続く店を考えていったら、喫茶店のオリジンに立ち返りました」と店主の影山知明さん。
2階建ての店内は、イギリスと日本の家具をミックスし、ヘリンボーンのフローリングや三和土など、当時の喫茶店のオーセンティックな雰囲気を再現。メニューは日本の食化やお茶をテーマに、季節素材やお米を活かした定食、あんこのお菓子などがそろう。
信楽焼や織部、根来塗などのうつわ使いにも心が躍る。「時間と手間をかけることが変わらぬポリシー」と影山さん。料理も意匠も、接客も真っすぐで丁寧。これこそ彼が目指す、喫茶店の原点だ。
(Hanako1150号掲載/photo : Satoshi Nagare text : Yoko Fujimori)
4.待望の週1開店!愛され続ける八王子の老舗喫茶店〈旅する馬天使〉/西八王子
土曜日を待ちわびていたかのように扉が開く。〝マスターいつものカレー、すぐできる?〞。開店早々、駆け込んできた常連客に、〝あいよ〞と声をかけ、厨房に向かうのは保髙泰一さん。八王子の喫茶店〈馬天使〉を、34年間、ひとりで営み続けてきた店主だ。昨年3月、ビルの老朽化で退去を余儀なくされるも、常連客の惜しむ声が後を絶たず、西八王子にある喫茶店を土曜日だけ間借りして、〈旅する馬天使〉として10 月から再開したのだという。
20年あまり通う臨床心理士の女性は、〝保髙さんがいる喫茶店は、ないと困る、替えがきかない存在〞と、移転した今も足を運ぶ。写真家、ミュージシャン、若手画家……。店主の人となり、作り出す空間に惹かれて、多様な客が通っていた。
どんな人でも〝ここにいていいんだ〞と思える。そんな喫茶店だったからこそ〈馬天使〉は少しだけ名前を変えて、今も続いている。
(Hanako1150号掲載/photo : Kenya Abe text : Yuko Saito)