【日本橋でひとり飲み】今きてる!! 新世代・絶品シュウマイと新オープンの異空間バーが気になる
今日は、あの街でひとり飲み vol.06
“よそ行きの私”に少し“素”が混ざったような、どっちつかずの自分で楽しむ時間は外飲みならでは。そんな外飲みの醍醐味、たまには “ひとり”で味わいませんか。誰にも気を遣わなくていい。自分と対話をする。いつもじゃない人と出会う。知らない世界に飛び込めるひとり飲み、女性ひとりでも気負いなく楽しめる場所を、お酒業界の広報歴14年の児島麻理子さんが“あの街”で探索します。今回の街は日本橋。
お酒にまつわるプロデューサーやライターとして活躍。出版社、洋酒会社での広報の経験を生かし、お酒の楽しさを日々発信している。趣味は世界の蒸留所を巡ること。これまでに世界7か国国以上の蒸留所とバーを巡る。ハナコラボパートナー。Instagram:@mariccokojima
江戸時代には五街道の起点でもあり、商業の中心の街であった日本橋。いまも歴史ある飲食店や和装店、老舗食材店がひしめく町ですが、近年の再開発で、ファミリー層や、若手オーナーの参入も増えてきました。さまざまな人が暮らす面白さがある日本橋ですが、共通するのは、日本橋の伝統や街へのリスペクトがあること。日本橋の新たな文化を築くべくオープンした角打ちとバーで今日は一人飲み!
1軒目:中華をつまみにワインを合わせるナチュラルワインショップ〈timsum〉
ビルが多く立ち並ぶ日本橋で目をひく、スタイリッシュな外観。街にいい違和感を醸し出しているのが、2023年11月にオープンしたワインショップの〈timsum〉です。
その不思議な違和感は店名にも。点心は英語で”dim sum”。その語感を軽やかに変換した〈timsum〉は、中華をつまみにナチュラルワインが味わえる角打ちのお店。そのリラックスしたムードは店内のインテリアにも。アースカラーの内装に、スタッフが選んだ民芸品が並ぶなど、どことなく異国情緒があります。
「ワインはカジュアルにシェアできるのがいいですよね。飲食店の仲間にもナチュラルワインが好きな人が多かったので、自然とこの店はナチュラルワインでいこうとなりました」
そう語るのは、マネージャー兼ソムリエの鈴木慎一郎さん。
その言葉通り、初めての出会った人から「一杯どうですか?」と、ボトルワインをシェアされることも。こういうコミュニケーションもひとり飲みの楽しさです。もちろんグラスで一杯から気軽に試せる使い勝手のよいお店です。
お店の看板メニューは、シュウマイ。ワインとシュウマイ? と思うころですが、シュウマイにいま流れが来ています。シュウマイ専門家のシュウマイ潤さんによれば、いまはシュウマイ第七世代。餡にお米を混ぜたり、熟成肉をつかったり、従来の形に捉われない新世代がでてきているといいます。
〈timsum〉もまさに新世代シュウマイ。餡に瀬戸内産レモンの汁を練りこむことで、ほのかな酸味と軽やかさが加わり、ナチュラルワインにとても合う風味になっています。上に乗せるトッピングは発酵唐辛子、梅と紫蘇、またマスタードなど。発酵唐辛子はそれだけでワインが進む名品!
オープンして1年と少し、すっかり日本橋の街のワインショップとして知られるように。東京の西側と比べて飲食店も少ないことから、店同士の連帯感もあります。斜め前にあるフードコート〈COMMISSARY(カミサリー)〉のクラフトビールや、ホステル〈CITAN〉など、ご近所とのコラボイベントも開催。人と人の距離の近さが魅力です。
そうした距離の近さは、鈴木さんのワインに対する想いにも反映されています。生産者の背景や、どんな土地やブドウ品種かなどが、オリジナルの札に解説が書かれているほか、好みを伝えればぴったりの1本を選んでもらえます。
その姿はソムリエというよりは、近所の気軽な酒屋さん。シュウマイがよいクッションとなり、オムライスに合うものありますか? というような日常シーンでの1本を聞きやすい雰囲気があります。
お店で実感できるのは、春巻きもシュウマイもワインで格上げできる! ということ。ちょっと素敵なおうちごはんの参考に、強い味方となってくれるはずです。
〈timsum〉
場所:東京都中央区日本橋大伝馬町1-2 SOIL Nihonbashi 2nd 1F
営業時間:16:00-23:00(月~金)、13:00-21:00(土・日・祝日)
定休日:不定休
TEL:03-5801-9822
公式インスタグラム:@timsum_nihonbashi
2軒目:訪れた日本各地の風土をイメージしたカクテルを。〈Bar RENRi〉
バーは非日常を体験できることにその価値があるもの。
ビルが立ち並ぶ日本橋の特性を生かした非日常を演出しているのが、2025年1月中旬にグランドオープンする〈BAR RENRi〉です。
扉をあけると、暗転した空間を挟んだその先に、明治時代をテーマに和洋折衷をコンセプトにしたモダンなバー空間が現れます。まるでビルの隙間から異空間に入り込んだ気分です。
出迎えてくれるのは、若きオーナーバーテンダーの宮之上哲太さん。
若干27歳! と若いながらも、バーテンダーとしての経歴は光っています。日本橋にある〈マンダリンオリエンタル東京〉で7年間バーテンダーとして勤務、様々なカクテルコンペティションでも優秀な成績を残している注目の若手バーテンダーです。
カクテルメニューのコンセプトは日本の「都道府県」。日本橋がかつて五街道の起点だったことから、日本橋から各地に繋ぐ、各地の素材やお酒を使ったカクテルを創造します。グランドオープン時に揃うのは、徳島、京都、神奈川、石川など、10県程度ですが、宮之上さんが訪れる土地が増える度に、メニューが増える予定です。
まず試したいのは、店名がついた日本橋のカクテル「RENRi」。
RENRiとは“比翼連理”からきた言葉。「比翼」とは、雄鳥と雌鳥がそれぞれ目と翼を片方ずつ持ち、雄雌が一対となって飛ばなくてはならない中国の伝説上の鳥。そして「連理」は別々の根を持つ2本の枝が、年月を経て繋がり1つの木目を成す樹木のこと。多くの出会いが繋がり、一対となってよいご縁を結ぶようにという思いが込められています。
「RENRi」は日本のジンに、東京の味醂、玄米茶や真菰を使った甘味のなかにしっかりと骨格がある一杯。そして「HiYOKU」は煎り番茶にベリーやチョコレート、山椒を使ったノンアルコールカクテル。目の前でストーリーを聞きながら、カクテルを味わうのはバーならではの楽しみです。
おつまみは日本橋の名店からセレクト。〈玄治店 濱田家〉や〈今半〉などの名店のほか、和菓子店にも足を運び、自ら日本橋を発見して楽しんでいるそう。バーを通じて、日本橋の文化発信をしていきたい想いも伝わります。
出身地や思い出の土地など、メニューから盛り上がることができそうな〈BAR RENRi〉ですが、これから増える都道府県のカクテルもまだ多くあります。この土地のカクテルをいれてほしい、という場合はぜひ宮之上さんにリクエストを!
カクテルを通じて、日本の各地を訪れる楽しみをぜひ体験ください。
〈Bar RENRi〉
場所:東京都中央区日本橋富沢町3−6 安川ビル 1F
営業時間:16:00-24:00
定休日:不定休
TEL: 03-6810-8503
公式インスタグラム:@tetta_bar.renri
photo_Miyu Yasuda text_Mariko Kojima