挽きたての美味しさ パン職人の心を掴む埼玉産小麦「61 SIXTY-ONE」
人気の秘密と使用店9選

“朝まんじゅうに昼うどん〞という言葉がいまも伝わる埼玉県。もともとはうどんに用いられる中力粉の需要が主だったが、最近は製パンに適した強力小麦に注目が集まっている。埼玉県の小麦文化とその進化を多くの人に知ってもらうというプロジェクトのもとに誕生したのが、ときがわ町と小川町で農薬・化学肥料不使用で育てられた「農林61号」を原料としたプレミアム小麦全粒粉「61 SIXTY-ONE」だ。
　
埼玉をはじめ、日本各地で栽培されてきた「農林61号」は、分厚い表皮に香りを豊富につくり出す酵素を持っており、風味は素朴でおおらかで力強い。その個性を生かすには〝挽きたて〞の小麦粉をスピーディに運搬できる距離の近さが不可欠。「フレッシュな小麦のおいしさを広めたい」という思いを実現するべく、生産から製粉、流通、納品まですべて県内で行われる。

幸手市に工場を構え「61」の製粉を担う〈前田食品〉は、国産小麦と向き合い続けて77年。県内外のベーカリーだけでなく、ラーメン店やうどん店からも信頼を寄せられる存在だ。麦は挽いた瞬間から酸化が始まり、劣化が進むため、「61」は注文が入るごとに挽きたてを店に届けることで鮮度をキープしている。手間もコストもかかる方法ではあるが、それでも「県産小麦が持つポテンシャルを知ってもらいたい」と尽力する。

新鮮な小麦を使い、地域の活性化に貢献したいという思いに共感する県内のパン職人も増えており、「61」の個性と挽きたて小麦のおいしさを引き出すために工夫を凝らしている。小麦は挽いてから多少寝かせることで扱いやすさは向上するが、それよりもフレッシュで生命力に富んだパンを通して地域の発展に貢献できたらと皆、口を揃える。
　
地元をもっと元気にという願いがこめられた小麦が、埼玉のパン文化をさらに豊かにする。

汎用性の高さで飲食店を元気に
「61 SIXTY-ONE 」の特徴は香りの高さと力強い味わい。ベーカリーだけではなく、焼菓子やラーメンの職人からの注目も急上昇中。

鮮度の良さがパンをおいしく
〈前田食品〉で製粉されたばかりの小麦粉を店に直送。挽きたてをできる限り短期間で使いきるため、フレッシュなおいしさが実現。

“ 距離の近さ” がコミュニティを活性化
小麦の生産者、製粉会社、材料問屋が手を取り合い、栽培から納品まで埼玉県内で行うことで、人と人がより深くつながるきっかけに。

わざわざ埼玉まで行きたくなる、こだわりの小麦「61 SIXTY-ONE」を使用しているお店を紹介します。

ベイクハウスイエローナイフ

近距離だからこその小麦の風味を丁寧に、最大限に
行田市の〈片山農場〉で農薬・化学肥料不使用で育てる「農林61号」に出会ったことをきっかけに、ローカルの小麦をより意識するように。「農林61号」の全粒粉を使った「カントリートースト」（864円）や「カルダモンロール」（324円）も必食。

panya no.. takesan!

埼玉の小麦を通して地域ぐるみで豊かな食文化を
低温長時間発酵で小麦本来の風味を生かすことを目指してきた竹内翼さん。金土限定で販売する「61バゲット」（302円）は、18時間かけて低温発酵させることでもっちり弾力のある食感に。地域を代表するベーカリーとして、埼玉県産のフレッシュな小麦の持ち味を伝えている。