台北の住宅街にひっそりと佇む〈老麵店〉とは?/秘密の台湾 REPORT no.31

FOOD 2023.07.29

日本語が話せる名物おじいちゃんが営む乾麺(ガンミェン)の老舗〈老麵店〉。台北の住宅街にひっそりと佇み、地元の人たちでにぎわう憩いの場になっています。本誌連載『秘密の台湾』よりお届け。

地元民に愛されて70年の混ぜ麺。

お昼時は麺と一緒にスープやおかずでガッツリといただくのが台湾流。ワンタンスープはスープのあっさり加減と、具のしっかりした味付けがちょうどいい。
お昼時は麺と一緒にスープやおかずでガッツリといただくのが台湾流。ワンタンスープはスープのあっさり加減と、具のしっかりした味付けがちょうどいい。

台湾では、お客が行列している店はどれも外れがなく、おいしいと思えるところばかりといっていい。朝から行列ができる店もめずらしくなく、ここ〈老麵店〉もその一つだ。
秘伝のタレが決め手の乾麺は、「四醬麵(スージァンミェン)」の愛称で親しまれる看板メニュー(40元)。具材もニラのみのシンプルなもの。運ばれてきたらタレを素早くすくって混ぜ、サクッと食べるのが基本の食べ方。弾力のある麺に濃厚なタレが見事に絡み、ゴマとニラの香りとうまみに箸が止まらない。その人気は地元の人たちにとどまらず、数多くの日本の食通たちや、メディア関係者たちもこよなく愛する一品だ。

そんな人気店にもコロナ禍の波が容赦なく襲う。しかし、麺のキットを販売し、イートインができない期間を乗り越えた。周辺は飲食店の少ない住宅街のため、自宅で食べられるキットは重宝された。イートインが復活した現在でも継続して売られている。

「今日も元気におかずを作るよ!」と御年95歳の名物おじいちゃん。
「今日も元気におかずを作るよ!」と御年95歳の名物おじいちゃん。

また、今もなお現役で店頭に立つ、御年95歳の名物おじいちゃん(阿公/アゴン)を守るため、現在も開店から11時までの間は、イートインはテラス席のみとしている。こうした状況下でも愛され続けるのは、阿公の「昔からの常連さんたちを大事にしたい」という気持ちがお客さんに伝わっているからこそなのだろう。

※1元は約4.5円(2023年6月現在)、台湾の国際電話の国番号は886です。photo:Jimmy Yang text:Tomomi Murata coordination:Chen Tsui wen produce:Hanako.taiwan

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