酔うことが目的じゃない、新感覚のお酒「BAR Pomum (バー・ポームム) 」が生まれるまで。開発者・廣田佳代子さんインタビュー。
“味も度数も選べる自由度の高い次世代のお酒”として注目される「BAR Pomum(バー・ポームム)」。SNSでは家で楽しむ様子が次々にアップされ話題に。担当したのは20代が中心の商品開発チーム。若手メンバーを率いた開発者の廣田佳代子さんに話を伺いました。(PR/サントリー)
「まるでバーで飲んでいるような…」
―「バー・ポームム」開発のきっかけは何でしたか?
コロナ禍の影響もあって人とお酒を飲む機会が減り、楽しみ方がわからないという人が増えています。お酒の楽しみを覚えたのはたくさんの人と一緒に飲む経験があったから、という人は少なくないと思いますが、今の若い世代はそうした機会を失われてしまっている。バーに行くこともお酒の楽しみをまだ知らない人にはハードルが高い。そういう世代のために気軽にバーに行って飲んでいるような気分が味わえるお酒を作ろうと。
私は今32歳ですが、自分が20代だった時と今の20代とでは価値観が変化しています。RTD(缶チューハイなど)は20、30代の方が一番親しんでいるお酒なので、時代に合わせて商品もアップデートされていくべきでは、と。SUNTORYはRTDのリーディングカンパニーなので、私たちが先陣を切って若者に向けてお酒の楽しさを広げていかねばという思いもあり、新商品開発のプロジェクトがスタートしました。
「わからないっておもしろい!」
―一緒に開発を手がけたクリエイター、デザイナー、中味開発者の主要メンバーはすべて20代だったと伺いました。
メインメンバーが全員20代というのは今回が初めてで私も新鮮でした。また、社外で若い世代を中心とした座談会を開いて、お酒の話だけじゃなく、どんなことを大事にしているのか、どんなことが好きか、“今の価値観”につながる話を聞く場もあり、さまざまな発見がありました。
―たとえばどんな発見がありましたか?
一つは「心地よさ」を大事にしているということ。何が起きるかわからない時代に生きているからこそ、将来のために今我慢するよりも心地よく生きたいという人が多いようです。だから、お酒の楽しみは酔うのが目的ではなく、心地よくなるためにあるという打ち出し方がいいのではないかと。二つ目は決めつけないでほしいということ。自由度の高いものを好む傾向があるので、新商品は味や度数をバラバラにして選べるようにしようと方向性が決まりました。
また、20代のデザイナーからはなるべく無駄を削ぎ落としたシンプルなデザインがいいという意見もありました。缶チューハイって「おいしい」とか「味わい」とかいろいろキャッチーな言葉を缶につけたくなるんですが、今はSNSやサブスクに接する時間が長く、日頃から情報をたくさん浴びすぎているので、シンプルにダイレクトにメッセージを届けられるものがいいと。また、「マ行とパ行が入った言葉がかわいい」という意見もあり、ネーミングの参考にしました。「ポムポム」とか「ポーポポ」とか間違われちゃうんですけど(笑)。名前を覚えてもらうのが次の目標です。
─開発の中でもっとも大変だったことは?
若い世代の人の意見の中には、理解できないこともあったんです(笑)。みんな好きとか嫌いとか意見ははっきりしているけど、感覚的な人も多いので、「なんとなくいいと思った」という答えも多くて。「どうしてそう思うの?」と掘り下げて、理由を探り、言語化して、「心地いい」とか「決めつけてほしくない」といったキーワードに辿り着き、それらを商品に落とし込む作業が大変でした。でも、わからないことっておもしろいなと思って。私も入社したばかりの頃は、先輩から「こいつ、訳わかんねーな」と思われていたと思うんです(笑)。いろんな世代や価値観が違う人がいろんな意見を交わしながら一つの商品を作り上げることは大変ではありましたが、一人では絶対に出てこないアイデアが生まれるので、楽しみながら開発していました。
また、上司にプレゼンする時、気をつけたのは「バー・ポームム」がなぜ必要なのかということ。「何も考えずに、ぽーっとする時間を提供したい。それが現代において一番大事な時間だと思う」と伝えたら、社長が共感してくださって(笑)。これは通った!と思いました。
─そうやって完成した3種類の「バー・ポームム」。それぞれのこだわりを教えてください。
まず、味と度数を選べることがこだわりの一つです。缶チューハイとはいえ本格的な味も楽しんでもらいたかったので、それぞれに合うお酒を入れています。一番度数の低い2%の「桃と紅茶」は果実と相性がいいブランデーが入っています。4%の「レモンと蜂蜜」は蜂蜜と合うラムが隠し味。レモンチューハイとはまた違う奥行きのある味を目指しました。6%の「カシスと葡萄」は赤ワインを合わせて、リッチに仕上げています。また、12月20日から期間限定で発売する「メロンとバニラ」はラムとブランデーを入れて冬だけの特別な味わいに仕上げています。年末年始の忙しい時期こそ、“ぽーっと飲み”しながら、ゆるりと心地よい時間を楽しんでもらいたいなと思います。
―どんな飲み方がおすすめですか?
グラスに移して飲んでいただくと、バーで飲んでいるような雰囲気が出るのでおすすめです。洗い物が増えちゃうんですけど(笑)。甘めの味なので、ナッツやチーズなどしょっぱいものと合わせるとよりおいしいかな、と。でも、決まりはなく、人それぞれ自由に楽しんでもらうのが一番です。
「疲れたら“ぽーっと飲み”を」
―廣田さんは入社してすぐマーケティング部へ?
いいえ。最初はロジスティクス部という部署に所属し、需給予測をしていました。いろんな商品がある中で売れるもの、そうでないものがあって、“どうしてこっちはこんなに売れるんだろう?”と興味を持つようになり、マーケティング部署を目指そうと。まずは海外トレーニー制度を使って、アメリカのジムビーム社でマーケティングを学び、帰国後マーケティング部署に配属されました。
―売れる商品の理由はわかりましたか?
それは一生答えに辿り着きそうにないし、興味が尽きないと思っています。売れる商品はたくさんありますが、人がいいと思った理由って言語化しにくい。だからこそ、本人でも気づいていない“なんかいい”の理由を探っていくのが楽しいです。売れる商品から法則性を探したり、いろんな座談会を開いて話を聞くことも多いですが、やっぱり答えがないものなので、商品開発では予測を立ててテストして、失敗して、やり直して、その繰り返しですね。
―何事も楽しんでいる姿が印象的な廣田さんが仕事で大事にしていることはなんですか?
好奇心を失わないこと。みんなが夢中になるものは自分でやってみようと思って、とりあえずあれこれ首を突っ込んでいます(笑)。 “なんかいい”の理由が見つかる気がして。
SUNTORYでは、マーケターは指揮者と言われます。デザイナーやクリエイター、中味開発者などさまざまな立場や世代の違う人たちの意見をどれだけ引き出せるかだと思うんです。だから、わからない、で思考停止するのではなくて、おもしろがりながら仕事したいですね。疲れた時は、バー・ポームムでぽーっと息抜きしています。お酒って悪いイメージもあると思うんですが、現代人は常にスマホから通知がきて、何も考えないという時間がなかなか持てない。お酒を飲んでいる時間だけはスマホをオフにして、頭をからっぽにして、“ぽーっと”できるといいんじゃないかなと思います。
─商品サイトには「ときどき世界を全無視できる強さも、大切だったりして。」と書かれていましたね。
若者向けとして売り出したお酒ですが、実は忙しい方が一番ぽーっとする時間が必要なのではないかと思います。忙しい人こそ、“ぽーっと飲み”してほしいですね。