本の中の京都。 名グルメエッセイに登場!【京都】食通推しの名店4軒。好コスパで京の味を楽しめる割烹も。
一人で入って軽く飲める、ハードルを感じさせない店は京都にもある。グルマンが激推しする名店は案外ひっそりと、しかし温かく受け入れてくれます。
1.暮らす旅舎『京都 食手帖(京のめぐりあい)』「ある種のさりげなさが、“粋”につながっている」
〈伊セ藤〉/北大路
「高くておいしいのは当たり前、ソコソコの値段できちんとおいしいものを」と、割烹のイメージを覆す良心的価格で京都の味を楽しめる店。この日は10月まで名残が続くというハモ料理を出してくれた。3,500円の食事コースもおすすめ。
暮らすように旅する京都を提案。まず推薦するのが、カウンターのある店だ。気さくな女将さんと、地元の人と、お酒を酌み交わせば旅は格別なものに。お客同士が仲良くなることも多いという〈伊セ藤〉はまさにその代表。そのほか、パン屋や市場など京都の食を掘り下げる。
〈伊セ藤〉
■京都府京都市北区小山北大野町68-5
■075-492-0161
■17:00~22:30LO 日、第1・3月休
■10席(個室あり)/禁煙
2.太田和彦『ひとり飲む、京都』「酒と肴の相性、器も満点だ!」
〈食堂おがわ〉/四条河原町
京都でもっとも予約困難な一軒。旬を味わえるメニューも味も値段も気取らない雰囲気も、すべてがちょうどいい塩梅。現在電話予約は休止中、予約は来店の上相談を。2号店となる〈食堂みやざき〉もすぐ近くにオープンしたばかり。
グラフィックデザイナーとして活躍する傍ら居酒屋探訪家の一面も持つ太田和彦さんは、酒に関する著作が多数。「京都で暮らしてみたい」と思い立ち、夏と冬に1週間ずつ滞在して飲み歩くことにした。本書はその日記のようなものだ。〈食堂おがわ〉は苦労して予約した。
〈食堂おがわ〉
■京都府京都市下京区西木屋町通四条下ル船頭町204
■16:00~22:00LO 水、最終火休
■13席/禁煙
3.バッキー井上『いっとかなあかん店 京都』「裏寺の守り神といっても過言ではない」
〈居酒屋たつみ〉/裏寺
昼酒といってまず名前のあがる老舗。串揚げカツからへしこなどの酒の肴、アテにも食事にもちょうどいい折々の京野菜を使う料理などまでそろう100種類のメニューが圧巻。12時の開店から常連でにぎわう気取らなさも魅力。
“日本初の酒場ライター”による人気シリーズ。《実は店のことについての具体的な紹介をほとんどしていない》と記すが、たとえば数十年通い続ける〈居酒屋たつみ〉とのエピソードを読めば、店の魅力は歴然だ。スペインバルも中華もカウンター割烹も、多ジャンル48軒を掲載。
〈居酒屋たつみ〉
■京都府京都市中京区裏寺町四条上ル中之町572 しのぶ会館1F
■075-256-4821
■12:00~22:00 木休
■52席/喫煙
4.角野卓造『予約一名、角野卓造でございます。【京都編】』「京都で一番、街の息吹を感じることができるお店」
〈蛸八〉/蛸薬師
2代目の掛谷浩貴さんは「親父の料理に近づきたい」と店に入り21年、継いで5年経った今でも上昇志向を緩めず包丁を握る。定番の生ずし(シメサバのこと)900円、鴨ロース 1,200円のほか、食材表から選んで、煮る、焼く、刺身など調理法もお好みで。常連だけでなく、近頃は飛び入り客も増えている。
食通と知られる俳優、角野卓造さんは大の京都好き。仕事以外で《年間60日は京都にいる》という角野さんが、ご褒美に訪れる京都の酒場を案内する。料理を前に満面の笑みをたたえる姿に、その店へのただならぬ愛着が伝わってくる。〈蛸八〉へは先代の頃に初訪問した。
〈蛸八〉
■京都府京都市中京区蛸薬師通新京極西入ル東側町498
■075-231-2995
■18:00~23:00 日休
■11席/喫煙
(Hanako1176号掲載/photo : Natsumi Kakuto, Noriko Yoshimura, Yoshiko Watanabe text : Kahoko Nishimura, Mako Yamato, Atsuko Suzuki)