おいしいお茶の淹れ方も必見! 【京都旅】オーガニック煎茶の隠れ家ティールーム〈冬夏〉へ。日用品を扱うギャラリーも併設。
決して特別でなく、風味高いお茶と上品な茶菓子に器や調度品。時には庭を眺めながら、お茶に触れることができるのが京都のすごさ。今回は、京都のティールーム〈冬夏〉をご紹介します。
美意識に満ちた空間で、茶葉本来の味わいを知る。
日本茶の栽培は京都で始まった。ゆえに茶の名産地は各地にあっても、京都の老舗茶舗が営む茶房はもちろん、新進のティールームでも日本茶に向き合う姿勢はとても真摯。
2015年に登場した〈冬夏〉もそんな一軒。扱うのはギャラリーと同じく、店主の奥村文絵さんが時間をかけ、作り手との信頼関係を築いた中で手に入れた茶葉。滋賀の朝宮で育てられる、最澄が唐から持ち帰った茶の木の流れを持つ朝宮茶の中でも、40年以上にわたり無農薬で育てられたものだけを選ぶ。玉露のない昔ながらの在来種や穀物のような甘みを持つあさつゆなどの単一の銘柄に加え、あさつゆ・やぶきた・さえみどりをブレンドした定番のsencha_blend_asamiyaまで。「茶葉の持つ力と、茶を楽しむことの喜びを知ってもらえたら」と奥村さん。お茶を淹れるのには毎朝汲みたての下御霊神社の井戸水を使い、茶器はギャラリーで扱う作家のものをセレクト。お湯を冷ましながら器を温め、茶葉を蒸らして香りを引き出しお湯を注ぐ。淹れたお茶は旨みが凝縮した最後の一滴まで絞りきる。茶葉の生命力を写し取ったようなお茶は、溌剌としつつも旨みを兼ね備えた味わい。
そこにあるのは一煎、二煎と目の前で丁寧に淹れられる、茶と向き合う静かなひととき。ただ喉の渇きを潤すのではない日本茶の味わいと、茶と共にある時間の大切さを伝えてくれるものになっている。
〈冬夏〉で聞く、お茶の淹れ方。
1.茶葉をはかる。
茶葉の量は約7gとたっぷり使い、茶葉の個性を一杯に凝縮させている。徐々に淹れる湯の温度を上げていき、7~8煎まで長く楽しむ。
2.器を温め、湯を冷ます。
一煎目を淹れるのに適した湯の温度は50℃ほど。沸騰させたお湯を急須や茶器などに注いで冷ましながら、急須や茶器を温める。
3.茶葉を蒸らし、湯を注ぐ。
温めた急須の中に茶葉を入れて蒸らす。乾燥した茶葉に少し水分が入り、香り立つ。湯を注ぐ前に急須の蓋を開けて香りを楽しみたい。
4.最後の一滴まで注ぐ。
一煎目に使う湯の量は、茶葉が浸るほどの量で、そこに旨みを凝縮させる。もっとも味が出た最後の一滴まで絞って二煎目に備える。
〈冬夏〉
機能性と美を兼ね備えた手仕事の日用品を扱うギャラリー〈日日〉に併設。茶葉は販売も。
■京都府京都市上京区信富町298
■075-254-7533
■10:00~18:00(17:30LO) 火休
(Hanako1176号掲載/photo : Yoshiko Watanabe, Norio Kidera(P.28) text : Mako Yamato)