コーネリアスや坂本龍一の音楽を全身で浴びる没入体験。『AMBIENT KYOTO 2023』を見逃すな!
京都の2会場を舞台に今年10月6日に開幕し、大晦日、12月31日まで開催されている『AMBIENT KYOTO』。アンビエント・ミュージック=環境音楽をテーマにした展覧会なのですが、これがなかなかスゴイぞ!との声を最近頻繁に聞くように。どうにもこうにも気になりすぎた編集部Iが急きょ京都へ。実際、想像以上にスゴかった…! という鳥肌体験を、現地より奮起気味にレポートいたします!(PR/AMBIENT KYOTO 2023 実行委員会)
築93年の歴史的建造物に、4つの刺激的な展示空間が。
『AMBIENT KYOTO』の開催は、昨年に続き今年で2回目。昨年は、アンビエントのパイオニアであるイギリス出身のブライアン・イーノにフォーカスする形で執り行われ、大盛況のうちに幕を閉じました。そして今年は、世界的に評価を得ている日本人アーティストを据えてスケールアップ!
会場は、昨年同様の「京都中央信用金庫 旧厚生センター」と、今年新たに追加された「京都新聞ビル地下1階」の2カ所。会場のセレクトも実に絶妙で、まず「京都中央信用金庫 旧厚生センター」は築93年の歴史的建造物。レトロなビルの中に、最先端の音楽世界が広がる…という新旧の融合感にも、京都らしさを感じます。
ではまず「京都中央信用金庫 旧厚生センター」に潜入! 3階建てで、合計4つの展示室があります。1階には本館で最も大きな展示室があるのですが、のっけからもうスゴかった。
めくるめく音響&照明で体感するコーネリアスワールド。
コーネリアスの7inchシングル『火花』のカップリング曲が、四方八方、さらに床下や頭上にまで組まれたスピーカーから、爆音で届けられる没入空間! 音楽に呼応して、照明が複雑に点灯を繰り返します。
入室してすぐは、舞台に上がるのに少しの気恥ずかしさがあったのだけれど、演出が始まるとそんなものは全て吹っ飛ぶほど! まるでお立ち台に立ったかのような感覚で、踊り狂いたい衝動を抑えながら、周囲に目を見張る刺激的な数分間。
舞台上でひとしきり体感したら、舞台から降りて、没入真っ只中の他のお客さんを眺めたり、会場内をウロウロ歩いて、音の聞こえ方の変化を楽しんだり……。気づけば30分近く経っていて、最初の展示からすでにかなり満喫できています。
いきなりテンションが上がった編集部I、小躍りしながら続く2階展示室の『TOO PURE』へ。
groovisionsの映像作品でバーチャルピクニック!?
大自然の風景が流れるデジタル映像は、いつか夢の中で見た桃源郷のよう。フロアは人工芝になっており、先ほどの展示室のダンスホールみたいな空間とは打って変わって、チルな雰囲気。立体音響担当のZAKのアーティストコメントを読むと「座ったり、寝転んだりしながら、バーチャルピクニックを」。確かに、人工芝に身を委ねて脱力しながら、自然なのか不自然なのかわからない不思議な環境を自由に楽しむのが良さそう。
続いて3階へ。今度は一体どんな没入体験が!? と入室した『霧中夢-Dream in the Mist』で、一歩入っていきなり面食らう…!
濃霧でパニック! これもある種のアンビエント体験。
展示室に入るとそこはもう、一面に立ち込める深い深い霧の世界。霧は濃い/薄いを微妙に繰り返しているように見えるのだけど、私が入室した時はちょうど濃霧のタイミング。とにかく前がほとんど見えない…! 展示室がどこまで続いているのか、他のお客さんがどの距離にいるのかもわからず、少々パニックになりながら手探りでジリジリと進みます。その間にも、コーネリアスによる音楽は爆音で鳴り響き、照明もブルーからピンクへと色を変え…。没入…というより、霧の中で遭難しているような、そんな感覚。焦りと畏れ。負の感情の中で体感するアンビエント。これってなかなかない体験では?
心臓バクバクの状態で、同フロアにある最後の1室へ。
極めつきは、2スクリーンの同時放映を約30分間。
こちらでは、バッファロー・ドーターと山本精一の作品を鑑賞することができます。向かい合わせに設置された、音を透過する特殊スクリーンで斜めに仕切られた空間。映像は2スクリーンで同時に流れるので、真ん中に立てば、前後から映像に挟まれているよう。周囲にはベンチが設置されているので、ここに座って、2スクリーンを俯瞰しながら、最長28分の映像トリップに出かけるのがおすすめ。
お客さんの様子を観察してみると、呆然と?朦朧と?食い入るように見入っている方が多数。先ほどの濃霧での衝撃体験からの、ここ。展示室ごとにいろんなタイプの刺激が押し寄せて、それらをここで再構築しているような、そんな様子。
しかしまだ、アンビエントな時間は終わらない! 今年はもう1会場、「京都新聞ビル地下1階」があるのです。会場のロケーション自体も楽しみな、もうひとつの舞台へ、地下鉄に乗って約10分。丸太町駅の出口すぐに、小さなエントランスがありました。
今年のもう一つの目玉は、坂本龍一×巨大印刷工場跡!
こちらで観られるのは、坂本龍一+高谷史郎による『async – immersion 2023』。坂本龍一が2017年に発表したスタジオ・アルバム『async』をベースに制作された高谷史郎とのコラボレーション作品の最新版です。
印刷工場跡の向こう一面が、超横長のスクリーンに! そこに映し出されるのは、坂本龍一のスタジオの機材や、東日本大震災の津波で被災したピアノ、そしてアイルランドやモロッコ、ドイツなどの風景。それらが普通に映し出されるのではなくて、まるで印刷機で印字されていくかのように、少しずつ映像の細部が組み上がっていき、そしてまた崩されていく…その繰り返し。この映像に何を感じるのかは、その人次第。
音楽のベースとなっているアルバム『async』について、発表当時、坂本龍一は「あまりに好きすぎて、誰にも聴かせたくない」と表現したそう。6年の時を経て今、この圧巻の空間で大勢の耳に届いていること自体、奇跡なのかもしれない…なんて考えると、鳥肌が抑えられませんでした。
オリジナルグッズは、グッドデザインの宝庫。
『AMBIENT KYOTO』、スゴイとは聞いていたけれど、実際はそれ以上。ワクワクもあれば、ドキドキやヒヤヒヤもあって、最後にはジワっと感動も待っています。でも、アンビエントはやっぱり、体感してこそ。だからこれを読んだみなさんにも実際に行って、観てほしい!会期は12月31日まで。観光客でごった返す秋を過ぎた12月の京都が、鑑賞にも、観光にも穴場(だと個人的に思います)。
鳥肌モノの没入体験を、冬の京都でぜひ!
開催概要
『AMBIENT KYOTO 2023』
会期:2023年10月6日〜12月31日
会場: 京都中央信用金庫 旧厚生センター(京都市下京区中居町113)、京都新聞ビル地下1階(京都市中京区烏丸通夷川上ル)
開館時間:9:00〜19:00 ※入場は閉館の30分前まで
料金:一般3,300円 ※オンラインによる日時予約が必要、旧厚生センター会場は当日券の窓口購入も可能
休館日: 12月10日
ウェブサイト:https://ambientkyoto.com/