いいねは社会の写し鏡。 カルチャー発ソーシャル行Meet #8/
『祝福』YOASOBI+SPY×FAMILY
映画、小説、音楽、ドキュメンタリー…あらゆるカルチャーにはその時代の空気や変化が反映されています。そんな「社会の写し鏡」ともいえる、秀逸な作品を編集部Sが紹介。
いつか作品が終わってしまうのが怖いとはこのことか、『SPY×FAMILY』よ。
一生かけても観切れないコンテンツの洪水に溺れる典型的現代人の私。これ以上手が回らない、と避けがちだったジャンルが〝アニメ〟だ。そんな私の耳にも届いたのが『SPY×FAMILY』。タイトルだけでは中身が類推できない。週刊少年ジャンプ系のバトルものなのか? あるいは吉田秋生の『BANANA FISH』のような大人向けの洒落た作品なのか? さらには、「今年のハロウィンはアーニャにしようかな」などという撹乱情報まで。〝沼〟覚悟で観てみることに。スパイと殺し屋と孤児。己の生存と利益のためだけに集った三人が演じる偽家族の縮まりそうで縮まらない距離感に焦らされたりほっこりさせられたり。毎話、口元がゆるみ、ニヤニヤしっぱなしの30分。気がつけば16話一気見で、次の放送が待ち遠しい。いや、本音を言うといつか作品が終わってしまうのが今から怖かったりして。
『SPY×FAMILY』/遠藤達哉による漫画(集英社『少年ジャンプ+』で連載中)をアニメ化。テレビ東京ほかにて第2クールが放送中。OPテーマはBUMP OF CHICKENの『SOUVENIR』。公式サイト
来週が待ち遠しいという意味では、10月から始まった『機動戦士ガンダム 水星の魔女』もそう。作品についてはP.118の記事を読んでいただき、ここで取り上げたいのはYOASOBIによるOPテーマ『祝福』。シリーズ40年の歴史や世界観をきちんと踏まえつつ、はじめましての少年少女にも響く、2022年のガンダムにふさわしいニュータイプソング。誰もいない早朝の会社で毎日この曲をループ再生しながら仕事をしてます。
『祝福』YOASOBI/MBS・TBS系アニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』の脚本・シリーズ構成の大河内一楼が書き下ろした原作小説『ゆりかごの星』を元に制作された。
[今月の担当]編集部S/ドキュメンタリー好き。三宅唱監督の新作映画『ケイコ 目を澄ませて』、どの俳優も実在の人物かと思わせる説得力。中でも三浦友和が白眉。Twitter:@bakatono72