
老舗も、新しい店も。ずっと、のこってほしい場所鎌倉遺産。 Magazine No. 1158 2018年06月07日 発売号
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洋食 レストラン カロ斉藤さんをはじめ生粋の鎌倉っ子に親しまれる洋食店で特筆すべきは、ご主人特製のソース類。丸一日かけて煮詰めたホワイトソースはコクがあり、ライスはソースに負けないようケチャップで味付けをする。トッピングにはエビとチーズをたっぷりと。香ばしいチーズのおこげと、ほどよく酸味のきいたライスの絶妙なバランス。「ベシャメルソースや焦げ目、ご飯の量もバッチリです」(斉藤さん)。S 1,050円、写真はM 1,250円(各税込)。
カフェ 甘味処 無心庵和田塚駅前、江ノ電の線路を横切って入る、築100年の古民家を利用した甘味処。夏季限定の「白玉あずき」900円は、小さく丸めて食べやすくした白玉と、北海道産の小豆を丁寧に炊き上げた煮あずきが相まって、シンプルなのに、飽きのこないおいしさ。後世に受け継ぎたい、これぞまさに昔から愛されてきた日本のおやつ。
カフェ 喫茶店 石かわ珈琲明月院のさらに先。谷戸の古民家を改装したロースタリー&カフェでは、店主の石川新一さんが自家焙煎するスペシャルティコーヒーが味わえる。自慢のブレンドは3種類あり、おすすめは中煎りのあじさいブレンド。すっきりとした飲み口なのに、酸味と果実感のバランスが良く、余韻が長く続く。
カフェ cafe kaeruオーナーの五十嵐夫妻が、モダンな意匠が時を経て深みを増した自邸の一部をリノベーション。カフェとして開放したのが2009年。ことに目と心を奪うのは、妻の美江さんが長年手をかけ作り上げてきた、広く緑豊かな庭の存在。「春は桜や藤、モッコウバラ、梅雨は紫陽花や沙羅双樹、夏はミントやセージなどのハーブ類も」と種類はたくさんあれど、花の色は青系と白に統一し、まとまりを見せている。季節野菜を使ったどんぶりやフレンチトーストなど、自家製づくしの食事を堪能した後には北鎌倉の名店〈石かわ珈琲〉の深煎りコーヒーを片手に、庭観賞に耽りたい。
食堂 shokudo FUKU.和食出身の店主によるイタリアンスタイルの「shokudo」。毎日5種類登場するランチセットは、和洋折衷で彩り豊か。一番人気の牛カツは、赤身に近い食感のサーロインを使い、高温で素早く揚げるため、軽めの食べ応えだ。自家製のピクルスとスープ、小鉢にサラダとにぎやかで、写真映えもばっちり。「お酒に合う定食」も意識していて、蜂蜜をかけていただくゴルゴンゾーラチーズのグラタンセット(1,200円)なども。
コーヒー専門店 TANE ROASTERY COFFEE20年にわたりコーヒーに携わる種繁さんがカフェのオープニングスタッフとして鎌倉にやってきたのが3年前。その店の閉店を機に、常連たちに請われて昨年、御成通りに自身のコーヒースタンドを開いた。ユニークなのは、スタンドではあまり見かけない〈ケメックス〉のコーヒーメーカーで淹れること。蒸らす時間なども客との会話に繋がって、サーブする景色もテンポも心地いい。種さんが語る通り、「一日が楽しくなるきっかけ」になる店だ。
甘味処 豊島屋菓寮 八十小路「鳩サブレー」でおなじみ〈豊島屋〉の甘味処。涼やかな装いの「豆羹」600円(税込)は、パシッと角の立った寒天と、ふっくら炊き上げた豆の上に、紅白の白玉がちょこんと。季節によってトッピングが変わり、6月はあじさいをイメージしたゼリーで彩られる。濃厚な黒蜜かあっさりとした白蜜が選べるのも鎌倉ならではのおもてなし。
ショコラトリ― 洋菓子・焼き菓子 イル・ド・ショコラ 鎌倉店着色料や合成香料などを使用せず、素材の風味を生かしたお菓子を作り上げる〈イル・ド・ショコラ〉には鎌倉の海をテーマにした商品が多くそろう。様々な魚や貝の形をしたチョコレートは、ビター、ミルク、ホワイトの3種類で、濃厚ながらにスッキリとした味わいが魅力。ヒトデやクジラ、ヒラメをイメージした焼き菓子はキュートな表情がおみやげにぴったり。チョコレート24粒入り1,325円、焼き菓子149円〜。
ショコラトリ― CHOCOLATE BANK東日本銀行鎌倉支店の跡地に、今年1月オープン。銀行の面影をところどころに残し、鎌倉の生チョコレート専門店〈ca ca o〉が手がける店として生まれ変わった。店の外からも中からも覗ける厨房では、“チョコレートと魔法の世界へ”をコンセプトに、さまざまなプロダクトを作っている。たとえば、ショーケースに並ぶカラフルなクロワッサン。「チョコレート屋が作るクロワッサンって、どんなものだろう?」と思いをめぐらせ、パンからオリジナルで製作した。店内奥に残された金庫室では、お酒とチョコレートのペアリングバーが開かれる。
フレンチ Chez Kentaro北鎌倉の円覚寺にほど近い地にオープンした、落ち着いた雰囲気のレストラン。都内や葉山の名店を経て南フランスで経験を積み、「自分の料理に欠かせない、すぐそばに海と山があるプロヴァンスに似た地形を選んだ」と、オーナーシェフの鈴木謙太郎さん。市場に出回らない小魚を仕入れてスープをとったり、太陽をたっぷりと浴びた野菜を料理に使う。席に着くと、まず、和の器でサーブされるウェルカムドリンクで一息ついてからコースが始まる。カラフルでにぎやかな「オードブルバリエ」は、地物食材を中心に旬のものがたっぷり。メインは、フォンを使わずに赤ワインのみで贅沢に煮込む牛ホホ肉か、三崎で水揚げされた地の魚を使った料理のどちらかを。シェフのスペシャリテ「ブイヤベース」(+2,000円)もチョイスできる。夏野菜が増えるこれからが「僕の本領を発揮する季節です」。