はじめまして、隠岐。流れる“風景”を見る隠岐の島旅最適解【前編】
大人気連載「京都、どこいけばいい? もしもし京都相談室」でおなじみ、フリーランスPRの中村葵さんが、今回は特別編として島根県・隠岐へ出張。島根というと縁結びの聖地で知られる出雲大社が有名ですが、天然記念物や世界遺産など多くの自然景観にも恵まれ、魅力が多岐に渡るエリア。ということで中村さん、旅先に選びたくなるような島根旅アドレス最適解、たくさん教えてください〜!
滋賀県出身。京都在住5年目。アパレルブランド勤務、トランジットジェネラルオフィス、外資系ラグジュアリーホテルでのPRを経て、現在は、京都を拠点に、アート・ホテル・ライフスタイル・カルチャーなどをメインにフリーランスPRとして活動中。ハナコラボパートナー。インスタグラム:@aoi_nakamura

もしもし、隠岐はどんな場所ですか?

まず「隠岐」と聞き、何県かすぐに分かる方はどれくらいいるのでしょう。位置するのは、島根県。私は検討もつかず。何県なのか調べました。
西ノ島町(西ノ島)、知夫村(知夫里島)、海士町(中ノ島)の3つをあわせた島前と、島後と呼ばれる隠岐の島町、180あまりの無人島から成り立つ諸島です。島根の本土からは、フェリーで2時間半程度。
近いはずなのに、なんだか随分と遠くへやってきてしまった──。隠岐には、やってきた、というよりも、“流れ着いた”という表現が似合う気がします。

その1:流れる“風景”を見る島

“風景”を見る、というとなんだか不思議な言い方かもしれませんが、空港の名前にもある通り、隠岐はユネスコ世界ジオパークに認定されています。


ジオパークとは、世界的に重要な地形・地質や遺産があり、それらを守りながら地域の活性化に取り組んでいるエリアです。
隠岐で印象に残っている言葉が、「今見ている風景は、時間の流れとともに、削られながら、作られる」。はるか昔、ユーラシア大陸の一部であった隠岐は、地殻変動によって大陸から引き離され、その後の海水面の上昇により離島となりました。時が流れ、削られながら姿を変えていく風景。言葉にすると安易ですが、そんな地球の流れ、歴史の流れを感じられるようなスポットがあります。
地球の流れを感じる大地。西ノ島〈摩天崖〉




隠岐の旅で一番楽しみにしていた風景が〈摩天崖〉でした。周辺一帯は、放牧地。雄大な風景の中で、のんびり生きている馬の親子や牛たちを見ていると、ここにいる自分がなんだか場違いに感じてしまうような、不思議な感覚に。
摩天崖は、日本有数の高さを誇る崖。火山ができた600万年前から、吹き付ける強い風と波により大地が削られ、この絶壁がつくられ続けているそうです。


海の方を眺めていると、風で徐々にカーテンが開くようにかかっていた雲が流れていき、一瞬その姿を見せてくれました。この淡く白い雲がかかっている様子がより一層、幻想的な風景として心に刻まれたので、訪れた日の天候によって垣間見える景色を楽しんでください。
写真では伝えきれない雄大さ。知夫村〈赤壁〉

隠岐の不思議な事のひとつが、なんだかどこかに似ている、と思わされる風景に次々と出合うことでした。あれ、ここは淡路島? ここは京都? なんだかここは海外みたい…と、行く先々で違う印象を感じることができる島。知夫里島の西海岸にあるスポット〈赤壁〉も、そのひとつです。



マグマを思わせる赤褐色の岩肌と白灰色の岩石が、素人ながら火山の流れを想像させました。
歴史の流れを感じる風景。隠岐の島町〈隠岐の四大杉〉

隠岐の風景として、この〈隠岐の四大杉〉 は必須。何千何百年と、隠岐に根をおろし、わたしたちのこころを震わせる巨木があります。



そして、個人的No.1の隠岐の景色は、乳房杉でした。もし時間に限りがあり、〈隠岐の四大杉〉 のどれかひとつに絞る必要があれば、長めに時間を確保し、ぜひ乳房杉へ! ガイド付きトレッキングツアーもあるとのことで、次回はこれに参加したい。

すべての神さまを祀る総社〈玉若酢命神社〉

日本最古の歴史書であり、日本神話が記された「古事記」によると、イザナギとイザナミが淡路島、四国に次いで3番目に生んだ島とされるのが、現在の隠岐諸島。後鳥羽上皇は隠岐へと島流しに、そしてかつて日本の入口として海から隠岐へと文明が流れ着いたとされ、皆が流れ着く隠岐の小さな島に150もの神社が点在しているとも知り、驚きました。
そんな神々の島、隠岐。全部を回るには時間が足りませんが、〈玉若酢命神社〉を参拝すれば、隠岐にある神社の神さま、全てにご挨拶ができたことになるという総社なのだとか。



本殿の屋根は出雲大社の大社造り、柱の建て方などは伊勢神宮の神明造り。そして、ひさしの部分は春日大社の春日造りが取り入れられた、独自の「隠岐造り」と呼ばれています。こうした建築様式を見るのも楽しい。


〈玉若酢命神社〉
住所:島根県隠岐郡隠岐の島町下西701
参拝時間:自由参拝
TEL:090-3193-0948 または 08512-2-7170
HP:https://tamawakasu–oki.ciao.jp/

ここまでの隠岐の細かい地質や成り立ち、歴史を詳しく説明するには知識不足ですが、隠岐には「隠岐ユネスコ世界ジオパーク認定ガイド」という頼もしく個性豊かなみなさんがいらっしゃいます。個人的には、ガイド付きツアーが断然に、おすすめ。この場所だけ行ってみたい! など気軽に申し込めるので、ぜひ。
text&photo_aoi nakamura



















