【新島】青い海が続く離島で感じた息吹。自慢の食、暮らしの文化で満たされる1泊2日の車旅

【新島】青い海が続く離島で感じた息吹。自慢の食、暮らしの文化で満たされる1泊2日の車旅
車にのって、手しごとが生まれる場所へ Vol.5
【新島】青い海が続く離島で感じた息吹。自慢の食、暮らしの文化で満たされる1泊2日の車旅
TRAVEL 2025.08.14
車旅のいいところは、好きや安心で満たした空間で、非日常に飛び込めること。そんな車旅に魅了されたひとり、写真家・表萌々花さんは、民藝品の工房を訪ねて各地に足を運びます。本連載は全国の手しごとの生まれる場所、そしてその道中に出合う心と体を満たすごはん屋さん予算2000円以内のその土地ならではのお土産を紹介する車旅日記。Vol.5は東京の離島・新島の旅路です。
表萌々花
表萌々花
写真家

おもて・ももか/「目の前の日々を留めて置く作業」をライフワークとしながら、東京を拠点に活動。2024年3月には、自身、2冊目となる写真集『traverse(r)』の出版。ハナコラボパートナー。

Instagram@fantasy_omote
HPhttps://www.momokaomote.com/

東京・竹芝からジェット船に乗って約3時間。伊豆諸島のひとつ、新島を訪れた。面積約24km²、人口約2,000人の小さな島だ。

ジェット船から見る海

白くて美しいコーガ石をはじめとした独特の地質や、透き通る海力強い波が魅力の島。古くから漁業や焼き物文化が息づき、近年ではサーフカルチャーアートと共に、島ならではの手しごとや食、風土が見直されはじめている。季節ごとに表情を変える自然のなかで、脈々と続く島の暮らしに触れるためにやってきた。

新島の海

新島は大まかに南北に分かれており、車があれば1時間ほどで北から南まで回ることができる。今回はHyundai(ヒョンデ)の電気自動車KONA(コナ)に乗って、島をめぐることにした。

Hyundai(ヒョンデ)の電気自動車KONA(コナ)
電気自動車を運転するのは初めてだったが、その静かさに驚いた。電気自動車ならではの静粛性により、走りながら、ふいに外の音が耳に入ってくることに気づいた。風に揺れる木々の音、鳥のさえずり、波の音…自然と一体になれたような気がした。
Hyundai(ヒョンデ)の電気自動車KONA(コナ)

1日目は、島の食や暮らしを感じるスポットへ

まずは腹ごしらえに、島の中心部にある〈島食堂 マルゴー〉へ。このお店では、海産物も農作物も、できるかぎり地元産にこだわり、食を通して島の風土を味わうことができる。

数量限定のカンパチ漬け丼は、釣りたての新島産カンパチと聞いて迷わず注文。炊きたてのごはんに香り高い島海苔、脂ののった艶やかなカンパチ。素材の味が活きた漬け丼を、最後の一粒まで堪能した。

島食堂 マルゴーの数量限定のカンパチ漬け丼
島食堂 マルゴー

住所東京都新島村本村6-10-2
TEL:04992-7-5180
営業時間:7:00〜9:00(8:30LO)、11:00〜15:00(14:30LO)
Instagram@0505marugo

新島から見る海
食後は、島の東海岸をドライブ。しっとりとした曇り空に、遠くの水平線が淡く滲んで幻想的に見えた。

次に訪れたのは、〈新島ガラスアートセンター〉。ここでは新島特産のコーガ石を高熱で溶かして作られる「新島ガラス」を使った作品の制作・販売が行われている。

新島ガラスアートセンター〉
新島ガラスアートセンター

絵付け体験では、電動リューターを使って自分で模様を削り、世界にひとつだけのオリジナルグラスが作れる。所要時間は約30分と、気軽にものづくりを楽しめる体験だ。

新島ガラスアートセンター

体験後は、ガラス職人たちの制作風景も見学。熱されたコーガ石が、炉の中でオリーブグリーンの美しいガラスへと変化していく様子は圧巻だった。

新島は海と火山の島。その大地の恵みから生まれるガラスは、ただの工芸品ではなく、島の風土そのものを映し出しているようにも思えた。

新島ガラスアートセンター
新島ガラスアートセンター

住所東京都新島村間々下海岸通り
TEL:04992-5-1540
営業時間:10:00~16:30
HPhttps://www.niijimaglass.org/

夕方は、湯の浜露天温泉へ。こちらはコーガ石で作られた古代ギリシャ風の露天風呂で、なんと無料。塩素不使用のかけ流し温泉を、水着着用で楽しめる。海遊びの帰りにちょうどいい。

湯の浜露天温泉
湯の浜露天温泉
地元のおじいちゃんたちとのんびりおしゃべりをしながら、島の暮らしを垣間見た。
湯の浜露天温泉
お風呂上がりには、農協の直売所にある「あめりか芋シェイク」を。島で昔から親しまれてきたあめりか芋は、稲作に適さない地質でも育つ島の大切な野菜。芋を裏ごしして作られた濃厚なシェイクを飲みながら、夕暮れの海を眺めた。
湯の浜露天温泉

住所東京都新島村字黒根23
TEL:04992-5-0284
営業時間:24時間
HPhttps://niijima-info.jp/spot/2390/

夜ごはんは、郷土料理が楽しめる〈焼鳥大三〉へ。名物のくさやをはじめ、新鮮な魚料理や焼き鳥が評判のお店だ。なかでも印象に残ったのが明日葉の天ぷら。翌日にはまた葉を伸ばすという、その生命力から名付けられた明日葉は、島ならではの味覚のひとつ。サクッと軽い衣をまとった天ぷらは、ほろ苦い香りが口いっぱいに広がり、癖になる味だった。

新島の焼鳥大三
焼鳥大三

住所東京都新島村本村5-3-1
TEL:04992-5-0109
営業時間:17:30〜22:00

宿は、中心部から少し離れた自然の中にある〈3rd Place いおり〉へ。一棟貸しということもあり、まるで島にひとりぼっちになったような静かで贅沢な時間を過ごすことができる。都会ではなかなか味わえない静寂の中で、ゆったりした夜を過ごした。

新島の3rd Place いおり
島の人里離れた場所にある隠れ家のような宿だった。 
3rd Place いおり

住所東京都新島村本村字檜山326
TEL:04992-5-0030
IN/OUT:16:00/10:00
HPhttps://3rd.place.iori.aonumamura.com/

島自慢のエメラルドグリーンに輝く絶景の海

翌朝は島唯一のパン屋〈かじやベーカリー〉でメロンパンミックスサンドを購入し、ビーチで朝ごはん。青空と輝く海が、朝ごはんをいっそう特別なものにしてくれた。

新島のかじやベーカリー
朝7時の開店。早めに行かないと売り切れてしまう人気店だ。
新島のかじやベーカリー
かじやベーカリー

住所東京都新島村本村1-8-6
TEL:04992-5-0179
営業時間:7:00〜18:30
Instagram@kajiyabakery

朝ごはんを済ませ、新島エコツアーズ YABIYOで予約していたクリアカヤックツアーへ向かった。濡れずに海中の魚たちを眺められるとあり、私のように泳ぎが苦手な人でも安心して参加できる。

新島エコツアーズ YABIYO
新島エコツアーズ YABIYO

ガイドのお兄さんに新島の歴史や海の話を聞きながら、のんびりと海の上を漂う贅沢な時間。運が良ければ出会えるというウミガメも見つけて、心の中でそっとガッツポーズ。

新島エコツアーズ YABIYO

水中を泳ぐ魚の群れを眺めていると、「海水温の上昇で南の魚が増えて、昔からいた魚は減ってしまったんだよ。けれど、島の漁師さんたちは昔からいる魚しか獲らないから、漁師の仕事自体が減っていてね」と、お兄さんがぽつりと教えてくれた。温暖化が、小さな島の暮らしにも影響を及ぼしているという現実に、胸が少し痛んだ。

新島エコツアーズ YABIYO

この美しい海生きものたちの未来のために、日々の中で選ぶ小さな行動のひとつひとつを、これまで以上に丁寧に選んでいきたい。そんなことを思った。

Ecotours YABIYO

住所:東京都新島村本村1-1-3

クリアカヤックツアーは5~10月。6,000円。電話(080-7728-0824)にて要予約。
Instagram@ecotours_yabiyo

カヤックでたっぷり2時間遊んだあとは、すっかりお腹もぺこぺこ。向かったのは、素材と手作りにこだわったおにぎりやお惣菜が楽しめる、小さなごはん屋さん〈みかさ〉。アットホームな雰囲気が心地良い。

そしてこの日は、数量限定・予約必須の定食をいただくことができた。島の郷土料理をはじめ、彩り豊かなおかずが並ぶ、豪華なおにぎり定食。ひと口ごとに、丁寧に作られた味がじんわりと広がって、からだの奥からほっと癒されるようだった。

新島のみかさ
みかさ

住所東京都新島村本村6-4-4
TEL:080-1390-7043
営業時間:10:00〜13:30
Instagram@mikasa_niijima

自然豊かな小道を抜け、神聖な空気に包まれながら最後に訪れたのは、島の総鎮守である十三社神社。十三の神様を祀るこの神社は、島の歴史と文化を象徴する場所だ。

新島の十三社神社
十三社神社

旅の無事と感謝を伝え、澄んだ空気のなか気持ちがすっと整っていくのを感じながら帰路についた。

十三社神社のおみくじ
よく当たると評判のおみくじも忘れずに。
十三社神社

住所東京都新島村本村2-6-13
TEL:04992-5-1870
参拝時間:自由参拝

【予算2,000円】お土産は、五感で楽しむ癒しのバスソルト

島のお土産屋さん〈OIGIE Shop〉で購入した「mo.ya-i バスソルトキット」。農家さんが丁寧に育てた明日葉と、薪火で炊き上げたしおさいの塩に、古くから薬草文化が残る山口県徳地の野草をブレンドした贅沢なバスソルト。

新島のお土産
あわせて「しおさいの塩」も購入し、五感で島を感じるお土産に。

新島1泊2日旅をまとめたスペシャルムービーも是非ご覧ください。

※店舗や施設の営業情報は取材時のものです。詳しくは各施設へご確認下さい。

text&photo_Momoka Omote

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