名建築で楽しむ食と音楽。カフェ〈GOSPEL〉に流れる穏やかな時間 寺社につき喫茶。絵になる京都ご多幸散歩 Vol.2 喫茶編
独特の吸引力に惹きつけられ何度でも足を運びたくなる。そんな街といえば、やっぱり京都。飽きない点も魅力だけど、知られざる美しい心の保養地がこの街にはまだまだあるんです。知っているとちょっと“粋”な神社仏閣、そしてその道すがらに出合った“秘密にしたい”素敵な喫茶店、教えちゃいます。案内人は寺社を愛する京都在住のモデル・本山順子さん。今回訪れたのは侘び寂びの心に浸れる寺院〈法然院〉と、レトロな洋館カフェ〈GOSPEL〉。後編では、〈GOSPEL〉の気品漂う空間と食事をご紹介します。
法然院を後にして向かったのは、蔦に覆われた洋館がひときわ目を引く〈GOSPEL〉。設計は「山の上ホテル」などの数々の名建築を生み出した建築家ヴォーリズ氏の理念を継承する〈一粒社ヴォーリズ建築事務所〉が手掛けています。
階段を上がると高い天井と贅沢に空間を使った机の配置。どこかイギリスの雰囲気を思わせるような上質な重厚感と凛とした品が漂います。よく見るとテーブルと椅子は高さも形も様々なのに全く違和感がなく、むしろこの方がしっくり来るような統一感に心地の良さすら感じさせられました。
いただいたのは「Lunchとケーキのセット」。グラタンと迷いに迷ってハンバーグをチョイスしました。お皿にはカーテン越しの柔らかな光がこぼれ、デミグラスがたっぷりかかったハンバーグをキラキラと輝かせます。その光ごと口に頬張ると、しっかりとした味の層とどこか懐かしさを感じる優しい味わい。
セットのコーヒーと洋梨のタルトも到着。アーモンドクリームの風味と洋梨の程よい甘さ、コーヒーのバランスとピッタリとマッチし、それぞれの美味しさを引き立て合います。〈GOSPEL〉での好きな時間の過ごし方は、白いタイルに淡いグリーンのキッチンをぼんやり眺めること。お仕事をされている方の所作も演出されているかのように美しく見え、まるで一枚の絵のよう。そしてそのように設計されたヴォーリズの繊細な設計に惚れ惚れするのでした。
さらに耳からもクラシックな空間へ誘うのは真空管アンプと大きなスピーカーが奏でる、まろやかなジャズの旋律。
外の天候が崩れ始めるとガラリと違う顔をみせる店内。「日が落ちた後はただ暗くなるわけではなく窓が青く光って、とても幻想的なんですよ」と教えていただき、またの機会が楽しみになりました。
ところでみなさま"GOSPEL"の本来の意味をご存知でしょうか? 私はてっきり教会で黒人の方々が歌うことだと思っていました。『GOSPEL=good_spell=良い知らせ』。ここ〈GOSPEL〉に訪れた方々に"良い知らせが届くように"との願いを込めて命名されたのだそう。そんな祈りのようなあたたかい福音を受け取り、帰路へついたのでした。
今回訪れたのは…GOSPEL
住所:〒606-8405 京都市左京区浄土寺上南田町36
公式インスタグラム:@gospel_kyoto
営業時間:12:00〜18:00
定休日:火曜日(詳細はインスタグラムをチェック)
※食事のセットは日曜・祝日以外の曜日で提供。