Town & City Guide 【トラベル・クラブ】 高円寺#3 ミルク風呂、インドネシアに沖縄料理…高円寺の深みへ
多様な魅力を持つ東京・JR中央線の駅の中でも、ひときわ異彩を放つ高円寺。この町には14の商店街があり、小さくともセンスの光る店がひしめきあっている。世代を超え愛される名店から、これからをリードする新店までをご案内。
今回の案内人
テリー・エリス(左)北村恵子(右)〈MOGI Folk Art〉オーナー。セレクトショップ〈BEAMS〉で海外バイイングを担当。レーベル「ビームスモダンリビング」「fennica」の立ち上げを経て独立。2022年10月、長年通い続けた町、高円寺に〈MOGI Folk Art〉をオープン。
さらに高円寺の深みを楽しみたい人は、北口へ。
ギャラリー〈VOID〉は、朝倉世界一やDAISAKら人気作家の作品を期間ごとに展示。お茶やお酒を飲みながら、作品を鑑賞できる。
VOID(ヴォイド)・アートギャラリー
賑やかな商店街から一筋路地裏に広がる白いアート空間。
今年2月に高円寺へ移転したギャラリー。ホワイトキューブの展示空間に、さまざまな作家の展示企画を開催している。店内ではオーガニックティーやお酒なども楽しめる。入場無料。
その近く、昭和8年創業の〈小杉湯〉は、国の登録有形文化財に登録されている憩いの場。地下からくみ上げた「かけ流し」の水風呂、初代から受け継がれる「ミルク風呂」が人気の銭湯で、都内でも屈指の盛況ぶりだ。いまも風呂なしアパートが多く残るこの町では、日常生活の一部としても銭湯が根づいている。
小杉湯(こすぎゆ)・銭湯
銭湯天国・高円寺でも断トツ人気の名銭湯。
休日は朝から深夜まで営業する高円寺住民のオアシス的銭湯。創業当時から変わらない風情ある宮造りの建物は国の登録有形文化財にも登録されている。名物はミルク風呂。入浴料520円、共通入浴券(10枚)4,700円。
〈SUB Store Tokyo〉は、ジャカルタ出身の店主・アンディさんが腕をふるうインドネシア料理とともに、コーヒーやお酒を飲みながら、レコードや本まで楽しめる。
SUB Store Tokyo(サブ ストア トウキョウ)・カフェバー
国籍、人種、文化…多種多様な人々が集い交流する場。
インドネシア人店主アンディさんが作るインドネシア料理や世界各国のお酒が楽しめるだけでなく、古本や中古レコードも販売。高円寺周辺に住む外国人や各国からの旅人も訪れる。多種多様なイベントも開催。
沖縄居酒屋の〈抱瓶〉は、冒頭で触れた〈きよ香〉の系列店。おすすめは、郷土料理「イカ墨焼きそば」。「店内の明るい雰囲気に盛り上がって、ほかのお客さんと腕相撲大会になったこともあるんだよ」と、エリスさんは笑う。泡盛やビールとともに沖縄料理を食べる前に、やちむん(沖縄の焼き物)も取り扱う〈MOGI〉を訪れてはどうだろうか。
抱瓶(だちびん)・沖縄料理
店員もお客も踊る!40年以上愛される沖縄料理の老舗。
沖縄の家庭料理が朝5時まで楽しめる、高円寺で働く人にとっては深夜食堂としても貴重な存在。三線の音が鳴り出すとエイサー姿の店員はもちろん、お客も一緒に踊り出すグルーブ感を体験して。
落ち着いた雰囲気で夜を過ごすなら、南口に戻り〈iiiio〉がおすすめ。産地直送の旬の食材を使った料理が人気の隠れ家ビストロだ。
iiiio(イオ)・ジビエ料理
茨城県産の旬食材を使った料理をリーズナブルに。
そのコスパに驚くこと間違いなしの隠れ家一軒家レストラン。ジビエ料理のほか、茨城県の漁師、農家から届く旬の食材を使った料理も。ナチュラルワインのほかクラフトビールやジンも充実。
着物姿の若女将が営む〈おさけと小料理 non〉も良し。一人でも気軽に入れ、カウンター越しに女将と会話をしながら、いちおしの燗酒に、ぬた和えなどの肴が楽しめる。
おさけと小料理 non(おさけとこりょうり ノン)・居酒屋
日本酒好きの女将がつける極上の燗酒に酔う。
着物姿が素敵な国本美咲さんが一人で切り盛りする、日本酒とおばんざいが堪能できる酒場。日本酒は純米酒をメインに燗で楽しめるものが多数。
葡庵(ぶあん)・日本ワインレストラン
約140種類の日本ワインを自分で選んで楽しめる!
グラスワインは500円からとリーズナブル。店の地下にワインセラーがあり、豊富なラインナップからワインを選んで飲むことができる。貴重な長野県塩尻市〈城戸ワイナリー〉のワインも。