忘れられない、 ふたりだけの 夏のバカンス。〈星のや京都〉 TRAVEL 2023.08.31PR

東京を拠点にする料理家と京都を拠点にするアーティスト、ふたりは数年来の友人。はじめてのふたり旅、選んだ場所は、京都の奥座敷・嵐山。喧騒から離れ、ひっそりとした地で、季節を味わい、いつもとは異なる会話とともに過ごす。

旅するふたり

冷水希三子(料理家)
ひやみず・きみこ/器選びのセンス、食材への知見など、幅広い視点から美しい料理を生み出す。著書に『ONE PLATE OF SEASONS—四季の皿』(アノニマ・スタジオ)など。
八木夕菜(現代美術家・写真家)
やぎ・ゆうな/京都を拠点に活動。様々な素材を用いて視覚を揺さぶる平面や立体、インスタレーション作品を国内外で発表している。金沢21世紀美術館に作品所蔵(2022)。

大人になってからの友人は、みんなの中の友人になることが多い。旅も、おいしいものを食べるのも、大人数と一緒。それは、料理家・冷水希三子さんと現代美術家・写真家の八木夕菜さんの関係も。ふたりだけの夏のバカンスを過ごそうと、今回、彼女たちがデスティネーションに選んだのが嵐山。冷水さんは新幹線で。京都に住む八木さんは、直行便の路線バスに1時間揺られて〈星のや京都〉に集合した。

夏の風物詩、鵜飼鑑賞を〈星のや京都〉専用の屋形舟「翡翠」で。三味線の生演奏が流れる、1日1組だけの雅な「プライベート鵜飼鑑賞舟」は9月23日まで。
夏の風物詩、鵜飼鑑賞を〈星のや京都〉専用の屋形舟「翡翠」で。三味線の生演奏が流れる、1日1組だけの雅な「プライベート鵜飼鑑賞舟」は9月23日まで。

真夏の光に照らされたの川面、鈍く反射する断層崖。東山に住む八木さんにとっても、この地は「自然がとても近い気がする。大地の歴史を体感できる場所です」と語り、同じ京都に住みながら、遥か彼方の地にいるかのような世界観に浸る。仕事にプライベートに、京都を訪れることの多い冷水さんにとっても、ここは、特別な地。「町の喧騒から隔絶され、自然の音のみに包まれる空間。多くを語り合わなくとも、ふたりだけのとっておきの時間を過ごしているのだな、と思えます」

鵜飼鑑賞には総料理長特製の鵜籠膳。寿司や鮎が並ぶ。嵯峨で栽培される酒米「祝」で造られた「月賞」と共に。
鵜飼鑑賞には総料理長特製の鵜籠膳。寿司や鮎が並ぶ。嵯峨で栽培される酒米「祝」で造られた「月賞」と共に。

今日のメインイベントは、鵜飼鑑賞。〈星のや京都〉の舟着き場から鵜飼が行われる大堰川下流に到着するまでは、少し時間がある。美しい渓谷の中、貸し切りの屋形舟「翡翠(ひすい)」を堪能する。この舟、舟枠は書院造で用いられる北山杉などを使い、木材の先端の木口隠しには、古くから寺院の柱や天井の装飾に使われる銅の金具を使用しており、京都の伝統工芸も存分に体感できる。そして、流れてくる三味線の音色とともに、京の夏の食材をふんだんに使った鵜籠膳とお酒で、優雅な時間を満喫する。

〈星のや京都〉の眼前を流れる大堰川の鵜飼。平安時代から続く風景は、在原業平にも歌われた。「大井川 浮かべる舟の 篝火に 小倉の山も 名のみなりけり」
〈星のや京都〉の眼前を流れる大堰川の鵜飼。平安時代から続く風景は、在原業平にも歌われた。「大井川 浮かべる舟の 篝火に 小倉の山も 名のみなりけり」

陽が傾き始めると、いよいよ鵜飼の始まりだ。鵜匠の掛け声と太鼓の音、そして美しい篝火(かがりび)の光。鵜飼は平安時代から大堰川で行われてきた伝統漁法で、赤い炎に引き寄せられた小魚たちを、鵜匠に飼いならされた海鵜が我先にと捕獲する。プリミティブな光景、雅という言葉にはおさまりきらない、時空を超越した世界観に圧倒される。

少し興奮した状態で部屋に戻る。大堰川の流れと、風で木々が擦れ合う音のみに包まれる静かな空気のおかげか、緊張が緩んでいく。話すことは、みんなの中にいるときにはできない、静かで大切な話。一言一言の連なりで、これまでの互いの人生が溶け合っていくようなモーメント。

明治期に建てられ、今なお当時の美しさを保つ木造建築と、平安時代から変わらぬ雄壮な自然。ここは、京都でも東京でも、もしかしたら日本でもない、どこかもう一つの世界。どんなに遠くへ行くよりも、ココロとカラダに刺激と弛緩を与えてくれる、かけがえのない場所なのだ。

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