蛙亭・イワクラ×TVディレクター・小山テリハ
「推し活が人生を拓く。」 CULTURE 2023.01.25

「推しのアイドルができて、人生が劇的に好転した」蛙亭・イワクラさん。彼女が出演するレギュラー番組で「推し活」の回を制作したTVディレクター・小山テリハさんと「推しがもたらす幸せ」について話してもらった。

懐中稲荷神社(東京)
JR新大久保駅から徒歩1分。「皆中」が「みなあたる」と読むことから、「宝くじがよく当たる」など夢を的中させてくれるといわれるパワースポット。近年はアイドルファンの間で「チケットの抽選に当たる」と話題になり、推し活の一環で当選祈願に訪れる人が急増中。

徳を積む

イワクラ(以下、I) 舘様(Snow Manの宮舘涼太)が出演する歌舞伎(2023年1月に上演予定の新春歌舞伎公演『SANEMORI』)のチケットが当たったんです。応募していたら抽選日に絵文字キラキラの当選メールが来て。わー!当たった!ファンクラブに入って初めてだったんです。応募して当たるという経験が。ツアーが当たらなかったのですごくうれしくて。

小山テリハ(以下、T) 当てるためにしてたことって何かありますか? 徳を積む、じゃないけれど。

I 特には(笑)。ただ、舘様を好きになって初めてわかったんですが、自分の「推し」が幸せでいてほしい、それを応援する仲間も幸せでいてほしい、そういう気持ちのほうが強くなるんだなって。自分のことよりも。

人生が整う?

T 私も長年「推し活」をしてるからよくわかる。自分だけがいい思いをするのは違うって思うんですよね。

I だから何にでも感謝するようになりました。「推し」ができてから。

T イワクラさんが舘様にハマったのは2022年1月でしたよね。

I そうです。ダンス動画を観て突然ハマりました。アイドルにハマった経験がなかったので、そこからはもう人生が激変。ネガティブな人間だったんですけど、パーッとポジティブな方向に拓いていったというか。

T 「推し」と一緒に自分の運気も上がる感じがありますよね、あと、アーティストのイメージにもつながるから「いい人間になろう」という気持ちも強くなるし。私が好きな地下アイドルがそうだけど、「いいファンがついてるね」というのが彼女たちにとっての名誉。だから、初めてライブに来た人に親切にしようとか、独占しすぎないにしようとか。人間として試されてる感じがあって。

I 芸人もそうです。実力はもちろんなんですが、やっぱり、応援するファンの力で人気が出るんですよね。

T 例えば、テレビ番組に推しが出るとすると、SNSで「○○さんが出演します」とものすごく拡散したり、番組側に「○○を出してくれてありがとう」とお礼ツイートをしたり、感謝の手紙を書いたり。番組を作る側としてもそれはすごくうれしい。「熱」が伝わってくるので。

I 「推し」の素晴らしさをみんなに知らせたい、広めたい。舘様を好きになってわかったんです。「推す」ってこういうことなんだなって。

T しかも、推し活をしているイワクラさんにもまたファンがいるという。その連鎖が面白いですよね。

I 推しができるまでは、推されてる感覚がなかったし、自分にファンがいるのも気恥ずかしくて。Tシャツを着てくれたり、ステッカーをスマホに貼ってくれたり、舞台上から見ていてもわかるんですが、自分がネガティブだったから100%受け止められなかった。でも「推す」側になって初めてその気持ちがわかったし、感謝できるようにもなった。自己肯定感もすごく上がったんです。やっぱり、ファンって「推し」が幸せにしている姿を見るのが好きだし、インスタに写真があがったり、ストーリーが更新されていたりするとすっごくうれしい。まずは私自身が幸せにならなくちゃいけないなって思うようになりました。

T 推しがいることで「幸せ」が好循環している感じですよね。

I そうかもしれないです。

ラッキーカラー

T そういえば、イワクラさん、推しカラーも好きになりましたよね。

I 赤いモノを買うようにはなりました。さすがに赤のセットアップは勇気がなくて買えないんですけど、赤いピアスとか小物を買うようになって。あと、劇場で赤い配線コードを見たら、あ、舘様だ! と思ったり、紫だったらふっかさん(深澤辰哉)、緑だったら阿部さん(阿部亮平)、ピンクだと佐久間さん(佐久間大介)、とか思ってテンション上がったり(笑)。

T わかります。私もアイドルが出演した番組にテロップを入れるときは、メンバーカラーにできるときはなるべくします。ファンだけに伝わるものだったりするけれど。

I テリハさんの「推し活」ってどこから始まってるんですか?

T 私は、小学生のときにモー娘。のゴマキ(後藤真希)を好きになってから。オタク気質がそこで根付いちゃった。ライブは行くし、グッズも買うし、トレカも買うし。そもそも母親が「好きだったらライブを観に行けばいい」という考えの人だったので、チケットも親子席を買ってくれて一緒に観に行って。生で観ることを良しとしてくれたことで、英才教育をされてしまった(笑)。だから私は、一環して女の子を推していて。結局、女の子アイドルに憧れがあるし、応援したいんです。友達に近い気持ちかも。でも、この職業に就いてから、自分は「アクティブなオタク」だと気づいたんです。番組を通じて推してる人たちの良さが伝わって広がってほしい。もちろん公私混同はしないけど、彼女たちのお手伝いができればいいなって。

マイ神棚

T イワクラさん、部屋に舘様の祭壇を作ってましたよね。「オタクあるある」な気がします(笑)。

I 写真とかカレンダーとかグッズとかを飾ってます。キラキラストーンでデコレーションして。ネタを書く机なので、それを見ながら自分もがんばろうって思うんです。

T 私も部屋にそういう祭壇があって。アニメの2次元キャラを飾ってたこともあるけど、今は歌舞伎町のコンカフェバー(コンセプトカフェバー)の女の子を応援していて、その子の顔がラベルに印刷されたオリジナルシャンパンとチェキを並べて。

I 元アイドルの子ですか?

T 元キャバ嬢なんです。歌舞伎町に面白い子がいるから会いに行こうって3万円握りしめて一人で行ったのが最初。可愛くて、頭がよくて、ナイスバディ。なんかもう、神様みたい、っていうか神(笑)。だから、彼女が独立してお店を出したときはすごくエモい気持ちになって、よし、彼女が幸せでいられるように応援しようって。自己満足なんだけどね。

I 「推し」の幸せを願うことが自分の幸せにもつながっていく。それが「推し活」なんですもんね。

photo : Koichi Tanoue text : Izumi Karashima edit : Daisuke Watanuki

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