古民家で湯を独り占めする。 【この秋、とっておきの温泉宿へ。】#1 新潟県/南魚沼市〈里山十帖 THE HOUSE IZUMI〉
一瞬にして、別世界へといざなってくれる特別な宿があります。古民家、美食、ジオパーク…。ここでしか味わえない環境で、深まる秋を感じながら、ちょっと贅沢な温泉体験を。
2014年のオープン以来、地域文化を発信する体験型宿の先駆けとして愛される宿〈里山十帖〉。昨年秋、ついに〝一棟貸し〞の宿が誕生した。1日1組、その格別な時間とは?
豪雪地帯を生きぬいた、築約150年の古民家。くぐり戸を入ると、そこは別天地。〈里山十帖 THE HOUSE〉は、魚沼地域に残る古民家を再生し、次の100年へと繋げるプロジェクト。〈IZUMI〉は記念すべき第1弾だ。宿の主役、露天風呂の眼前には、一面の棚田越しに百名山・巻機山の絶景が広がる…!
古民家を現代の生活に寄り添うよう丁寧に改装した邸内は、太い梁や柱が支える豪奢な造り。クルミの床材も足裏に心地いい。〈里山十帖〉と同様に名作家具や現代アートが配され、ハンス・J・ウェグナーやル・コルビュジエ、フィン・ユールなど巨匠たちによるソファやチェアは、まさに名作家具の入門編。
自由に使えるキッチンには、魚沼地域に眠っていた明治〜昭和初期の趣ある器が置かれているのも心憎い。夕食は車で約10分の〈里山十帖〉へ。今春、『ゴ・エ・ミヨ2022』で映えあるテロワール賞を受賞した桑木野惠子シェフが作る、地場素材を活かしたローカル・ガストロノミー「早苗響」。豆の炊き具合一つとっても、楽しい発見や驚きがあり、南魚沼の生命力に満ちている。
そしてスタッフが〈里山十帖〉から運び、キッチンで仕上げる朝食の何と健やかなこと!土鍋で炊き上げるご飯のおいしさこそ、至上の贅沢だ。 ここにはかいがいしいサービスがないからこそ、心ゆくまでゆるりと過ごせる、静謐で満ち足りた時間がある。秋の虫の音を聞きながら、湯に食に、空間に、全身で南魚沼の豊かさを体感してほしい。
〈里山十帖 THE HOUSE IZUMI〉
2021年10月オープン。〈自遊人〉が企画・運営。1棟2階建て、広さ182 m2 。JR上越線・上越国際スキー場前駅下車、タクシーで約10分。
住所:新潟県南魚沼市天野沢家森山671-1|〈地図〉
TEL:0570-001-810
料金:1泊2名1室136,840円~(2食付き)。最大7名まで。
※特集で紹介している宿の宿泊料金は、年末年始、GW、夏休み、お盆などのハイシーズンは変わることがあります。また、入湯税、サービス料の表記は各宿によって違いがあります。料金はあくまで予算の目安として、詳しくは宿にお問い合わせください。