素敵なおうちを拝見!“気持ちいい”から続けたくなるエシカルな暮らしの始め方
学生時代から、エシカルな暮らしやオーガニックの食品に関心を持ち、地元葉山でのウェルネスな体験型ツアーの企画や、企業のリブランディングプロジェクトに携わる。また、食にまつわる資格を複数保有し、ヴィーガンスイーツのプロデュースなど、多方面で活躍する。ハナコラボパートナー。Instagram:@haluchn
エシカル消費って一体、何をしたらいいの?
エシカル消費という言葉、聞いたことはあるでしょうか? エシカルを直訳すると、「道徳的」や「倫理的」という意味で、そこから、エシカル消費は、何かしらの犠牲の上に成り立っているのではなく、「人や社会、環境に配慮したよりよいものを選ぼうという消費行動」を指します。
あまり馴染みの無い方からすると、「意識の高い人がやるもの」、「我慢が必要なイメージ」、と捉える人も少なくないかもしれません。しかし、私にとってエシカル消費とは、自分の好きを極め、取捨選択し、本当に愛するものを長く使ったり、修繕して愛用する。自分にとっての心地よさを大切にすることだと思っています。
私自身は、現在、神奈川県の葉山を拠点として、“食”を中心にエシカルなライフスタイルを提案する活動をしています。そういったことに関心を持ち始めたきっかけは、実は高校生時代。
当時から、特に食への関心が強く、過度なダイエット経験の失敗を経て、健康や美容に良い生き方=オーガニックなものを食すことの大切さに気づき、“食”というものが私の中で人生のライフキーワードと感じるようになりました。
次第に「エシカル」や「サスティナブル」という言葉が世の中で注目されるようになり、大きく見ると“オーガニックなものを消費、選択する生き方”は、エシカルやサスティナブルな選択の一部であり、食だけでなく、衣食住すべてに対して、健康を意識することは、自然と環境に配慮した暮らしに結果としてつながるということを実感するようになったんです。
「何が自分の生活にとって本当に必要なのか」を最初は見極めたり、「必要なものを必要なだけ」というマインドセットを変えていくことからエシカル消費は始まります。
みなさんに「エシカル消費って素敵だな」、「意外に難しくないんだな」と思ってもらえるように、今回は、衣食住で私が実践しているエシカル消費につながる暮らしの知恵をご紹介させていただきます。
衣|自分が共感できるブランドを必要な量だけ持つ
着回しが効くデザインのものを、クローゼットに入る量だけ
新しい素敵なものが次々と登場し、ついつい増えてしまいがちな洋服。なるべく着回しが効くデザインのものを選んだり、本当に気に入ったもので厳選。毎シーズン、1度も着なかったものはアパレルブランドの洋服のリサイクル回収ボックスに入れに行き、ごみにしないようにしています。
写真のクローゼットに入る量とクリアケース2つ分だけを意識し、結婚式やパーティーなどの外行きの洋服や小物など、使う頻度の低いものはレンタルサービスも活用しています。
植物由来の素材からできているヴィーガンレザーの活用
続いて、小物選びのエシカル消費として、私が愛用しているヴィーガンレザーについてご紹介します。ヴィーガンレザーとは、通常の動物の皮を使うレザーでも、従来の化学的な素材の合皮のレザーでもなく、植物から作られる、ここ最近注目されている新しい形のレザー素材です。
写真は、上からアップルレザーからできた鞄やキーケース、緑の財布はサボテン由来、3年以上愛用している長財布はパイナップルからできた植物レザーでできています。
一般的に、本革のレザーは食肉の皮を使うので、無駄がないという利点もありますが、大量の水を消費し、なめしの工程で出る有害な化学物質が問題視されています。
その点において、植物レザーは水の消費を抑えることができ、どれも廃棄されるはずのフルーツや植物の皮などを使用していたり、ブランドによっては国産であったり、フェアトレードなものを使用していたりと、新しいヴィーガンレザーという分野の発展はこれからも勢いが止まらなそうです。
また、単純に生地に触れた時に動物の皮よりも肌に違和感なく、優しく馴染むので、私はお気に入りです。
新しい買い手にものを循環するという方法もエシカル消費の一つ。フリマアプリの活用も良いと思いますが、昔ながらのフリーマーケットという形は、出品者の顔も見えますし、そのもののストーリーを聞くことで大切に使おうという意識が芽生えるのであえておすすめしたいです。私も不定期で友人たちとフリーマーケットを企画し、服や器や本などを中心にみんなで楽しみながらものを循環させています。
食|環境に優しいものは、体にも優しい
キッチンツールは体にも環境にも優しいものを
キッチンツールで環境に優しいというと、想像しにくい人も多いかもしれませんが、例えば、フライパン1つにしても、フッ素加工されていないということは環境汚染をしないという点で重要です。
近年、焦げつきづらく汚れがつきづらいという利点で特にフライパンや水筒に多用されているフッ素加工。フッ素加工に使用されるPFAS(ピーファス)は、自然環境で分解されにくく「永久化学物質」とも呼ばれます。
これらは水や土壌に蓄積し、長期的に環境や生態系へ悪影響を及ぼす可能性が。そのため、持続可能性の観点から問題視されているのが現状。
フライパン以外にも洗剤にも使用されていることがあり、私はそういったフッ素加工がされていないフライパンや、環境に優しい生分解性の高い洗剤を愛用しています。
自然素材でできたキッチンツールの活用
ヘラやお玉などのキッチンツールは、ステンレスやシリコン、プラスチックなど、色々な素材が流通していますが、料理をしていくうちにどうしても欠けたりしますよね。それが知らぬ間に体内に入ってしまったり、洗い場で下水に流れてしまうことを考え、私は自然素材(木や竹など)のキッチンツールを選ぶようにしています。
捨てる際も自然素材でできているものはとてもシンプルに分別、自然分解することができます。また、デザインも温もりがあるので、インテリアとしても映え、私は飾りながら愛用。食器洗い用スポンジも、土に還るへちま由来で作られたものを選んでいます。
糠漬けは身体にも環境にも良くて一石二鳥!
日本に古くからある糠漬け。おばあちゃんが仕込んでいるイメージの強い手仕事ですが、実は、野菜のフードロスを減らすのに有効なんです。
料理をする際に、余ってしまった野菜の端っこや、使いきれなくて残った野菜が冷蔵庫の隅でカサカサになって出てくる、なんてこと、1度は経験あるのではないでしょうか?
そういった、冷蔵庫で出る細かなフードロスをなくすのに、糠漬けが◎。余ったら野菜はすぐに糠床へ、そうすれば次の日には立派なご飯のお供に。
また、糠漬けには乳酸菌や酵母菌など、腸内環境を整える菌が豊富に含まれ、美容や健康にも大切な栄養素がたくさん含まれます。毎日混ぜるのがちょっとハードルが高いという方は、冷蔵庫で保管すれば、1週間に1回程度混ぜるだけでも大丈夫。ぜひ日常に取り入れてほしい日本の伝統食の1つです。
梅酒作りや味噌作りなど、日本伝統の季節の手仕事もエシカル消費につながる暮らしの知恵。まず季節の変化に敏感になるので、旬の食材を意識してものを選ぶようになります。旬の食材は、栄養価が高いだけではなく、生産にかかるエネルギーコストも低い。また、手仕事を通して食べ物ができる過程を知ると、地元野菜やオーガニックなものなど、食材選びにも自然とエシカル視点に。
住|作って、直して、ものを愛でて育てる
最後は住まい、インテリアについて。現在、私は賃貸に住んでいるので、いちから自然素材の住居を作ることは難しい。しかし、賃貸でもできるエシカルな工夫はたくさんあります。
例えば、インテリアに古材やアンティークのものを選択すること。特に、住居で印象を決めるダイニングテーブル。このテーブルは、板と脚を別々で購入し、DIYしました。板は建築現場で使われた廃材を再利用して繋いだものを購入し、そこに自分で色を塗ったもので、脚は海外の職人が作った真鍮のもの。
2つの素材を組み合わせることで、いづれ、板や脚のどちらかが壊れたり、違うデザインにしたいと思った時にも、一枚板に変えたり、天板と脚のどちらかを変えるだけでイメージをガラリと変えることができますし、ライフスタイルが変化すれば、それに応じてアレンジすることも可能です。
一見、難しそうに聞こえるかもしれませんが、足と板をくっつけるだけなので、DIY初心者でも簡単に世界に一つだけの机ができちゃいます。
購入したテーブルよりも、自分で手を加えている分、愛着が湧き、長く大切にしたいという思いが芽生えるのも、エシカルな暮らしをする上で重要なポイントです。
修理のサポートがあるかは長く使う上で大切なポイント
家具やインテリアは衣食住の中でも、買い替えの頻度が低く、長く使うことが多いものです。なので、修理できるか、というのはとても大切なポイント。
長く使うからこそ、使えなくなったら買い替えるという発想ではなく、修理のサポートが充実しているかは買う時にしっかり見るようにしています。
写真の畳マットは和紙でできており、普通の畳のいぐさよりも耐久性が高く、もし壊れたり汚れてしまった際にはメーカーに返送することで、修理をしてくれるサポートも。
購入する前に、その素材は耐久性があるのか、修理などのサポートがあるのか、その点を意識するだけで長くものを愛用することができます。
また、ダイニングの椅子はペーパーコードというものを使用した椅子を愛用。座面の部分は特に経年劣化しやすい箇所ですが、修理をしてくれる職人や会社が充実しているので、何年経っても傷んだら修理をすることで長く愛用することができ、ペーパーコードを採用した椅子はとても人気なんですよ。
またアンティークでも価値のある家具を選ぶことは、必要でなくなったときに買い手が見つかりやすいので、選ぶ際に意識しています。
なるべくフードロスにつながらないように、見える収納をキッチンのあらゆる箇所で実践しています。よく使うものはキッチンの飾り棚に収納。それ以外も棚の中でなるべく中身が見えるよう、賞味期限をつけて容器を入れ替えて収納するようにしています。
エシカルの輪を広げる、TOKYOエシカルの取り組み
衣食住別に実践しているエシカル消費につながる行動、いかがでしたか? すぐに実践できるものから、ちょっとチャレンジなものまでご紹介しましたが、実際に始めて見ると、家も心もすっきりと整理され、素敵なものをたくさん持つ暮らしとはまた違った、本質的な満足感が得られることに気づくと思います。
実は、行政もエシカル消費をサポートする取り組みを始めていて、東京都では、エシカル消費の普及啓発活動の一環として、「TOKYOエシカル」というプロジェクトを実施しています。
エシカル消費を実践するのに役立つ知識や情報を、HPや公式インスタグラムで発信していて、何から始めたらいいかわからないという方や、少しでもエシカルなものを選びたいと考えている方にはとても有益です! ぜひ、上手に活用しながら、自分らしい、気持ちのいいエシカルライフを楽しんでくださいね。
「TOKYOエシカル」の公式Instagramアカウントでオリジナルエシカルウエアや TOKYOエシカルのパートナーから提供されたエシカルグッズなどがあたるキャンペーンを実施中!
応募方法:「TOKYOエシカル」公式Instagramのアカウントをフォローして、指定の投稿から出題されるクイズの回答をコメント欄に記入することで応募完了。
期間:2024年11月30日(土)まで。
キャンペーン対象者:都内在住の方のみ。
世界的に関心が高まっているエシカル消費。“ちょっと考えて、ぐっといい未来”をスローガンに、その普及啓発を行ってきた東京都は2022年より本プロジェクトをスタートし、パートナーである企業、団体とともに様々な取り組みを行っています。公式インスタグラムでは、エシカル消費に関する情報を発信中!ぜひ、フォローしてみてください!
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