学芸員ラジオDJのDJAIKO62さんがおすすめする、今見ておくべきアートとは? 〜今度はどの美術館へ?アートのいろは〜〈上野の森美術館〉で開催中の「フェルメール展」へ。
ラジオ番組で美術展を紹介するうちに美術館巡りの面白さに目覚めたという学芸員ラジオDJのDJAIKO62さん。コラム連載第8回は〈上野の森美術館〉で開催中のフェルメール展をご紹介します。会期中を通して現存作35点とも言われるフェルメール作品のうち9点が東京・上野で見られる超レアな機会です。
国内展最多のフェルメール作品9点が東京に。
「フェルメール展」が話題です。1632年オランダ・デルフトに生まれたフェルメールは、21歳から画家として活動をはじめ、宗教画を描いた時期もありましたが主に風俗画に取り組み、43歳でその生涯を終えました。同時代に活躍したデ・ホーホやヤン・ステーンらの絵画も一緒に来日、17世紀のオランダ絵画を知るまたとない機会でもあります。
日本初公開3点!
「ワイングラス」、「赤い帽子の娘」(12月20日までの展示)、そして最後に追加されたのが「取り持ち女」(1月9日から2月3日までの限定展示・大阪は通期)という作品。
ベルリン国立美術館所蔵の「ワイングラス」(1661-1662)では、女性が飲み干そうとするワイングラス、そしてワインを注ぎ足そうと待つ男性の視線が気になります。手前の楽器や楽譜からは音楽も連想できます。男女、お酒、音楽とくればその間柄はロマンチックなものでは!?と推察しますが、よくみると窓には「節制」を意味するモチーフも。一枚の絵の中に推理のパズルのようにいろんな要素が描かれています。
こちらも初来日の「赤い帽子の娘」です。こちらはアメリカの〈ワシントン・ナショナル・ギャラリー所蔵〉で1665-1666年ごろの作とされます。想像していたよりも小さな作品でした。12月20日までの展示です。
10年ぶりに〈アムステルダム国立美術館〉より来日の「牛乳を注ぐ女」は教科書でもおなじみですよね。フェルメールの作品はどれも窓からさしこむ自然光とモデルの表情やたたずまいが印象に強くあったのですが、絵と対峙してみると、1作品にかけられた時間や思いが桁違いであること、その濃い密度のような雰囲気をも感じられました。
長時間並ばなくてもいいように。
〈上野の森美術館〉といえば「怖い絵展」や「ミラクルエッシャー展」では大行列も話題になりましたよね。「フェルメール展」では日時指定入場制を新たに導入。当日、会場でのチケット販売もありますが、事前にインターネットやコンビニ、電話で日時を指定してチケットが購入でき、よりスムーズな入館が実現しました。平日の特に夕方から夜がおすすめだそうです。そして通常絵の横に掲示される解説が小冊子にまとめられ入り口でいただけたのですが、手元で解説が読めたのはとても快適でした。展覧会ナビゲーターの石原さとみさんのオーディオガイドも無料で貸し出されていますので是非どうぞ。
2019年2月からは〈大阪市立美術館〉で巡回展も予定、大阪会場限定出展の「恋文」も見に行かなくては!(東京展と一部展示が異なります。)
「フェルメール展」開催概要
■会期:2018年10月5日(金)~2019年2月3日(日)※日時指定入場制
■休館日:2018年12月13日(木)
■開催時間:9:30〜20:30(※入館は閉館の30分前まで。開館・閉館時間が異なる日があります。)
■会場:上野の森美術館
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