ぶらりと歩けば、心躍る出会いがたくさん! 多様な楽しみと癒しのひとときが待つ、岐阜県・中津川市へ。
ダイナミックで心洗われる景観に浸ったり、ユニークな歴史的建造物に心躍らせたり、はたまた、地域の絶品グルメや名湯を堪能したり。岐阜県の東南端に位置する中津川市は、“旅の醍醐味”が詰まった地域です。本記事では、中津川市内にある新旧の観光スポット・名スポットをご紹介します。
レトロな雰囲気に包まれた宿場町。
江戸時代に整備された道路、中山道(なかせんどう)には、かつて多くの旅人が行き交った宿場町が残されています。宿場町のひとつである〈馬籠宿(まごめじゅく)〉は、およそ600mにもわたる石畳の坂道と、趣深い食事処や土産店があるスポット。レトロな雰囲気が漂っており、まるで江戸時代の旅人になったかのような気分で散策を楽しめます。
また、〈馬籠宿〉は、文豪・島崎藤村の出身地。坂道の途中には〈藤村記念館〉があり、約6,000点もの藤村にまつわる品々を鑑賞することもできます。
〈馬籠宿〉
■住所:岐阜県中津川市馬籠
■電話:0573-69-2336(馬籠観光協会)
〈藤村記念館〉の隣には、人気の食事処〈大黒屋茶房〉があります。こちらでぜひ味わいたいのは、「栗おこわ」。地元のもち米と選りすぐりの栗を用いた自慢の品で、ホクホクに炊かれた栗と、ほんのりと甘く、もっちりとしたもち米を堪能できます。ちなみに、栗の産地として知られる中津川では、栗おこわは名物の一つ。島崎藤村が手がけた長編小説『夜明け前』にも、栗おこわに関する文章が残されています。
また、〈大黒屋茶房〉の歴史と建物にも、ぜひ注目を。〈大黒屋茶房〉の前身は造り酒屋で、明治時代までは、敷地内の蔵で醸造した酒が販売されていたそう。しかし、明治時代と、さらには大正時代にも、〈馬籠宿〉は火事によって大きく損傷してしまいます。幸いにも、江戸時代に描かれた〈大黒屋〉の建物図面が残されていたため、昭和に〈大黒屋〉の建物が復元されたそう。〈大黒屋茶房〉の建物は天井が高く、また、店の軒先には大きな杉玉が吊るされていますが、これらは造り酒屋だった頃の名残りなのだとか。
〈大黒屋茶房〉には、民芸店も併設されているため、食事のついでにお土産を買うこともできます。店内には、岐阜県の伝統工芸である「美濃焼」、樹齢150年以上の檜でできた食器、草木染めの洋服など、ぬくもりを感じられる品がたくさん。暮らしに取り入れることで、自宅で過ごす時間がワンランクアップするはず。
〈大黒屋茶房〉
■住所:岐阜県中津川市馬籠4255-1
■電話:0573-69-2504
■営業時間:茶房 9:00~16:00LO
■定休日:12月上旬~3月中旬休業 ※民芸店は、冬季は不定期営業
清流と滝に心洗われるひととき。
〈馬籠宿〉から車を50分ほど走らせると、人気観光スポットの〈県立自然公園 付知峡(つけちきょう)〉があります。軽めのトレッキングが楽しめるだけでなく、驚くような絶景を堪能できるのが、公園内にある〈不動滝遊歩道〉。駐車場の横に設置されている「ようこそ不動滝へ」と書かれた大きな看板をくぐり、遊歩道へ入ると、やがて木々と清流が織りなす景勝が目の前に現れます。
そのまま遊歩道を進んだ先に鎮座するのは、落差約20mの〈観音滝〉。莫大な量の水がごうごうと音をたてながら滝壺に吸い込まれていく様子は、まさに圧倒的。また、滝壺は爽やかな水色で、底部まで透き通っています。目の前に広がる神秘的で美しい景観に、思わず心打たれるはず。〈観音滝〉の先には、〈観音滝〉よりも小ぶりな〈不動滝〉があります。
〈不動滝遊歩道〉は、約40分で完歩することができます。また、遊歩道沿いには〈不動滝〉だけでなく、吊り橋やサラサラと流れる小川など、見どころがたくさん。のんびりとトレッキングを楽しみながら、自然美にあふれた景観に浸ってみては。
〈不動公園〉
■住所:岐阜県中津川市付知町6-39
■電話:0573-82-4737(付知町観光協会)
絶品スイーツに、地場の素材を多用したディナー。
山の幸が豊富な中津川では、昔から栗がよく食べられており、やがて栗を使ったお菓子「栗きんとん」が編み出されたそう。中津川は「栗きんとん発祥の地」といわれており、地域内には、栗きんとんを扱う和菓子の名店が点在しています。
いうまでもなく栗きんとんは、中津川の年代物の名物ですが、地域には、栗を使った新たな名物も。それが、今年の春にオープンした〈栗cafe ISSADO〉の「栗きんとんモンブラン」です。
「栗きんとんモンブラン」は、見た目も味わいも、一般的なモンブランとは一線を画す一品。一般的なモンブランの3倍ほどの大きさで、栗の絞り出しペーストが器にこぼれるほどたっぷりとトッピングされています。また、「栗きんとんケーキ」の上に自家製のカスタードクリーム、ホイップクリーム、そして栗の絞り出しペーストを、といった具合に、複数の甘味が重ねられているものの、食感が軽く、味わいもとても上品。
そんな「栗きんとんモンブラン」は、すでに多くの人の心を掴んでいるよう。店主の田口温基さんによると、昼過ぎには「栗きんとんモンブラン」が完売してしまう日が続いているのだとか。〈栗cafe ISSADO〉を訪れる際は、早い時間帯を狙うのがオススメです。
〈栗cafe ISSADO〉
■住所:岐阜県中津川市付知町10201-1
■電話:0573-82-4389
■営業時間:10:00~17:00(16:30LO)
■定休日:月火休 ※今季の営業は11月13日(日)まで。2023年4月再開予定
中津川市内を東西に流れる木曽川の右岸には、標高432mの高森山があります。この高森山は、戦国時代である1526年頃、苗木遠山氏によって苗木城が築かれた地。苗木遠山氏は、当時、織田氏や武田氏と縁戚関係を結び、勢力を広げました。現在も高森山には、〈苗木城〉の痕跡が残されており、各所でその様相を知ることができます。
苗木城跡の最大の特徴は、巨岩を取り込んだ石垣。自然の岩石や地形を活かして築かれており、とてもユニークです。また、頂上に設けられている〈天守展望台〉の眺めには、きっと心動かされるはず。悠々と流れる木曽川や、まるで櫛のような形をした恵那山、市街地が融合した景観は、優美で印象的です。
〈国指定史跡 苗木城跡〉
■住所:岐阜県中津川市苗木
■電話:0573-66-8181(苗木遠山史料館)
多彩な自然に恵まれた中津川。中津川の自然を存分に感じたいなら、グランピングを楽しむのがひとつの手です。アウトドアならではの特長はそのままに、テントの設営など手のかかる作業は省かれたグランピングなら、誰もが気軽に体験することができます。
記事の冒頭で紹介した〈馬籠宿〉からほど近い場所にある〈ほしとせせらぎのぐらんぴんぐ〉は、ファミリーやカップル、シニアなど幅広い層から人気を集めているグランピング施設。全部で5棟のテントサイトが用意されており、いずれにおいても、ヨーロッパ・スロベニアの〈ADRIA社〉が手がけた、丈夫で機能的なテントが採用されています。また、〈ほしとせせらぎのぐらんぴんぐ〉の周辺の環境も魅力的。施設の目の前には、穏やかに流れる〈湯舟川〉があり、夏場にはホタルが舞うことも。日中は、〈湯舟川〉に沿って散策を楽しんだり、フィッシングを楽しんだりすることもできます。
〈ほしとせせらぎのぐらんぴんぐ〉のもう一つの目玉は、夕食時に提供される「フルコースBBQディナー」です。「フルコースBBQディナー」とは、「フルサービス」と「セルフ」を融合した独自のスタイルのディナー。一般的なBBQと同様、肉や野菜は自ら焼きますが、前菜やメインディッシュ、デザートは、シェフ特製の品々が提供されます。アウトドアならではのメニューであるBBQだけでなく、プロの味わいも堪能できるのは、うれしいところ!
〈ほしとせせらぎのぐらんぴんぐ〉は、天然温泉や温水プールを備えた〈中津川温泉 クアリゾート湯舟沢〉に併設されている施設で、グランピングの宿泊客は、〈中津川温泉 クアリゾート湯舟沢〉の温泉やプールを利用することができます。なお、注目すべきは温泉の泉質。こちらの温泉は、弱アルカリ性の「重曹泉」が主体で、とろっとした柔らかい質感となっています。まるで美容液に浸っているかのような感覚が楽しめるだけでなく、皮膚の余分な角質を優しく落とす効果も期待できます。
「ゆっくり温泉に浸かって、旅の疲れを癒したい!」と考えている人は、〈中津川温泉 クアリゾート湯舟沢〉の隣にある〈ホテル花更紗(はなさらさ)〉に宿泊を。ホテルに滞在している間、〈中津川温泉 クアリゾート湯舟沢〉の温泉やプールだけでなく、ホテル地下にある温泉も利用することができます。ちなみにホテル地下の温泉も、「重曹泉」を主体としたとろけるような質感の温泉です。
〈ほしとせせらぎのぐらんぴんぐ〉
■住所:岐阜県中津川市神坂280
■電話:0573-69-5000
〈中津川温泉 クアリゾート湯舟沢〉
■住所:岐阜県中津川市神坂280
■電話:0573-69-5000
■営業時間:10:00~20:00(最終入館19:30)、土日祝~21:00(最終入館20:30)
■定休日:無休
〈中津川温泉 ホテル花更紗〉
■住所:岐阜県中津川市神坂280
■電話:0573-69-5111