My Sustainable Life 通勤がなくなった1時間で理想の暮らしに近づく。/コロナ禍を経て、サステナブルになった毎日のこと。vol.2 酒寄寿子さん
新型コロナウイルスの流行によって訪れた、日常の変化。それがきっかけで始まった習慣が、自分や社会、地球の明るい未来へ貢献することも。4人の変化をフォーカスした。今回は、シューズブランド〈JUCO.(ジュコ) 〉デザイナーの酒寄寿子さんにお話を聞きました。
テレワークで役割分担を意識。散歩&朝食で豊かな朝時間に。
東京・浅草にブランドのアトリエを構え、多忙な日々を送ってきた酒寄寿子さん。テレワークへのシフトが、暮らしと仕事のバランスを整え、朝時間の使い方を大きく変えてくれた。
「ずっと仕事ばかりで。4年前に結婚をし、都内から茨城県のつくばへ引っ越したんですが、慌ただしい生活は変わらずでした」つくばから浅草への通勤時間は80分。朝は飛び起きてそのまま出社、というような毎日だったという。「私も夫も『人生フルーツ』という映画が大好きで、あんなふうに自然と寄り添いあって生活を大切にしたいと思っていたんです。夫は庭で家庭菜園を始めて満喫していましたけど、私はほど遠かった(笑)」
仕事に多くの時間を捧げていた酒寄さんを変えたのが、2020年4月頃から本格化したコロナ禍の外出自粛によるテレワーク。スタッフも雇っているため、よりよい働き方、時間の使い方を見直すことに。物置だった部屋を片付け、自分用のオフィスに模様替え。座り慣れた椅子や作業台を置き、資料をファイルで整理したり、パソコンに便利なアプリを取り入れたりして、テレワークでも問題なく仕事をこなしている。
「起きてきちんと着替えて、庭に野菜を収穫しに行って朝ごはんを作る。コーヒーも淹れて、庭を眺めながらゆっくり食べています」朝から散歩することも。周囲は自然豊かで歩いていて気持ちのいい場所が多く、おいしいベーカリーも。「通勤がなくなった分ゆとりができ、健康に。豊かな朝食に散歩、心地よいリズムで生きる。映画で見た理想の暮らしに近づいてきました」
テレワーク成功の理由は役割分担と密な連絡。
仕事は商品デザイン、オンラインストアの運営、展示会の開催などやることがたくさん。
以前は毎日顔を合わせていたというスタッフたちとは、ビジネスチャットツール「Chatwork」で、密な連絡を欠かさない。既読確認、添付データ、それぞれのタスクがソフト上で整理され、役割分担、進行状況がわかりテレワークがスムーズに。
余裕ができた朝時間に朝食のための野菜を収穫。
「以前は夫に駅まで車で送ってもらうわずかな時間で、パンをかじるような朝ごはんでした(笑)」。今では起きたら、庭の畑でアスパラやピーマンを収穫して、朝ごはんを作るように。
旬の野菜のおいしさを味わえる、豊かな朝のひととき。「同じ7時起きでもその後の1時間ほどの過ごし方が変わっただけで、一日の充実感がちがいます」
Profile…酒寄寿子(さかより・ひさこ)
1981年生まれ。奈良県出身。東京造形大学在学中から靴で自己表現を始める。すべて浅草の職人の手仕事で作るシューズブランド〈JUCO. 〉代表。洋服ブランドのシューズデザイン・制作から撮影用の一点ものまで、様々な靴を手がける。