真似したくなる、選び方、使い方。 料理家・冷水希三子さんが注目する”器作家”とは?/“器上手”のテーブルから学ぶ。

LEARN 2021.03.12

おいしいものを食べるとき、お茶を飲んでほっとするとき。お気に入りの器があるとうれしい。でも、どんなものを選べばいい?その秘密を知りたくて、器上手の方々のテーブルを拝見しに伺いました。今回ご紹介するのは料理家・冷水希三子さんです。

「どんな料理を盛りたいか」それが見えてくるかどうか。

コンポートは岡山・備前で焼しめを作る寺園証太さんの作品。「りりしい佇まいでありながら軽やかな印象」。ピッチャーやボウルなど白い器は中本純也さん作。手前のボウルは岡山の掛谷康樹さんの民芸の器、奥はメキシコのオアハカで購入。
コンポートは岡山・備前で焼しめを作る寺園証太さんの作品。「りりしい佇まいでありながら軽やかな印象」。ピッチャーやボウルなど白い器は中本純也さん作。手前のボウルは岡山の掛谷康樹さんの民芸の器、奥はメキシコのオアハカで購入。

料理家の冷水希三子さんの自宅兼仕事場を拝見して驚くのは、食器棚にずらりと並ぶ器の数。陶器、木のもの、ガラス…と分類され並べられた器たちは整然と美しい。冷水さんが今、注目するのは自分の世界をきちんと持つ、若手作家の作品だと言う。

はじめて買った荒川真吾さんの中皿。
はじめて買った荒川真吾さんの中皿。

「海外のものもアンティークも民芸の器ももちろん好きですが、今、面白いなと思っているのは、日本の器作家さん。陶芸家って、国内をざっと見るだけでも上手な人がたくさんいる。ただ、その一段上を行く、光るものを持っている方々、圧倒的な個性や世界観を持つ作品を生み出す方々はほんのひと握り。そんな作家さんに出会うと、ああ、これは追いかけなくちゃって思います(笑)」

orumina kilnの貝殻ボウルとプレート。
orumina kilnの貝殻ボウルとプレート。

今、いち“推し”の作家を教えてもらった。まずは、奈良で山暮らしをしながら作陶している櫻井美奈子さんの器「orumina kiln(オルミナキルン)」。「ヨーロッパのアンティークのような雰囲気があります。いびつだったり、かすれがあったり、それが物語を想像させ、独特の空気感があっていい。もうひと方は、宮崎で作陶する荒川真吾さん。土から釉ゆう薬やくまですべて自分のオリジナルを追求。骨董のような重厚な趣きのものもあれば、使い勝手のよい実用的な器もある。作風が豊かなのも魅力的です」

冷水さんが器の目利きをするとき、何より大事にしているのは「どんな料理を盛りたいか」。それが見えてくるかどうかだそう。「器を、洋服を選ぶように気軽に見て買ってほしい。でも、洋服のように試着はできないから(笑)。そこが難しい。どんな料理が映えるかなと想像できるくらい、経験を積むしかないんですよね。目が肥えてくると失敗は減りますから」

【FOR BEGINNERS】

【1】20代のころ大阪・天王寺の骨董市ではじめて買った器がこのエッグスタンド。「小さいものだとお値段もお手頃で買いやすい。最初は、かわいい、部屋に置きたいものを買うといいと思います」。

【2】「豆皿も手に取りやすく、いろんな種類を集めても楽しいです」

Profile…冷水希三子(ひやみず・きみこ)

「小さいアイテムから手を伸ばしてみては?」
「小さいアイテムから手を伸ばしてみては?」

料理にまつわるコーディネート、スタイリング、レシピ制作を行う。書籍、雑誌、広告などで幅広く活躍。Instagram:@kincocyan

(Hanako1194号掲載/photo : Norio Kidera, Kiyoko Eto text & edit : Kana Umehara)

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