初めて行ってもどこか懐かしい。 学生街はとっておきの喫茶エリア。あたたかく優しい極上【喫茶店】3選
本郷、御茶ノ水、江古田など、近辺に学校が立ち並ぶエリアは、老舗喫茶店もたくさんあるのです。古くから学生たちに愛されてきた、極上の空間をご紹介します。
1.東大・本郷キャンパスを見守り続けて60余年の〈こゝろ〉/本郷
店名は夏目漱石の小説から。ご夫婦で切り盛りする喫茶店では、東大生のリクエストに応えて、焼きそばや「ウインナーライス」などの庶民的なメニューと、昭和の味「クリームソーダ」をはじめ、フロート系などの幅広い飲み物を展開。
本郷通りを望む2階席を利用したい場合は、事前に電話で確認を。校舎の赤レンガと並木を臨めるとっておきの空間。
(Hanako1150号掲載/photo : Michi Murakami text : Emi Suzuki)
2.昭和モダンな雰囲気が心地いい。〈珈琲 林檎〉/江古田
3代目オーナーの篠美津子さんは、元々この店の常連客だったそう。「初代が長野県松本市の出身で、調度品は松本のもの。この空間が気に入っているの」と語るように、レトロでかわいいランプや、漫画や小説がずらりと並んだ本棚、最近では珍しいコーヒーチケットが貼られているカウンターと、昔ながらの雰囲気がいい。
ランプからこぼれるやさしい光が店内を包む。
(Hanako1150号掲載/photo : Yoko Tajiri text : Mikiko Okai)
3.澄んだ空気がうれしい!都会のロッジ〈喫茶 穂高〉/御茶ノ水
御茶ノ水の駅前に突如現れる山小屋風の店が〈穂高〉。近隣は大学街で、昭和30 年当時は日本山岳会もご近所。そのなごりで昔も今もスポーツマン、とりわけ山ボーイが集う。建物は日大出身で山好きの建築家・森史夫氏が設計。意外にもマスターは「スターバックスみたいな店」を思い描いていたそうだが、神田川沿いという地の利を生かし今のスタイルに。
コーヒーはたくさん作ると味に深みが出る、とマスター。「骨董品」の琺瑯ポットで一気に40杯分。食事はトーストだけ。田端の〈グランドベーカリー〉の食パン一斤を4枚切りにした超厚切り。350円(朝10時まで250円)、コーヒー500円。
昨年体を壊し禁煙に。「そうしたらコーヒーっていい香りだなって」。東京のロッジでいただく一杯は、格別。
神田川を見下ろす窓際が特等席。壁の絵は畦地梅太郎氏の作品で、数枚所蔵している。天井が高く見えた方が落ち着く、とテーブルや椅子は低め。車椅子のお客さんも座れるよう、入り口付近は運びやすい軽い椅子を。季節感に気を配り、卓上の生花はもちろん壁の絵画もこまめに入れ替える。
(Hanako1150号掲載/photo : Kenya Abe text : Hiroko Yabuki)