我が家の恒例行事。かぜおくんも連れて、第2の故郷気仙沼へ。|モデル asacoの4回目の育児 – fourth time around

MAMA 2019.04.02

この連載は…… モデルとして雑誌やCMに出演するいっぽう、子ども服ブランド「kitutuki」のディレクターとしても活躍中の asacoさんの連載。実は5月に4人目のお子さんを出産したばかりのasacoさん。4人目育児ってどんな感じ?家族の関係は変化した?家事やお仕事は?などなど、にぎやかな家族の日常を綴ります。

vol.16 「かぜおくんも連れて、第2の故郷気仙沼へ」

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毎年3月は気仙沼行きが我が家の恒例行事。カメラマンの広川泰士さんが震災を機に始めた「気仙沼ファミリーフォトプロジェクト」に参加すべく、今年はかぜおくんという新しい仲間もひっ連れて気仙沼へ行ってきました。

初めて家族で気仙沼へ行ったのは、2012年5月。何かしたい、でも一体私たちに何ができるんだろう。そう思ってとりあえず車を走らせたあの日。我が家は当時まだ4人家族で、町には震災の爪痕が色濃く残る時期でした。その後、友人づてに紹介してもらったのが、菊田&佐藤ファミリー。被災地で暮らしながら、広川さんのチャリティーイベントの運営にも携わってくれるパワーあふれるご家族で、そのお力添えもあって今年で9回目となる家族撮影会を無事開催することができました。

赤ちゃんを笑わせようと、外野が必死(笑)広川さんが撮る家族写真は、いつも素敵なオーラに満ち溢れています。
赤ちゃんを笑わせようと、外野が必死(笑)広川さんが撮る家族写真は、いつも素敵なオーラに満ち溢れています。

私は4年前から撮影会のお隣スペースで、キッズブランドkitutukiとして相方のシミズダニと共にワークショップを開催。今年はオリジナルの柄生地を使って、バッジ作りをしました。流石に4年も経つと顔馴染みのお客さんも増えて、一緒に来てくれている子供たちの成長っぷりにも毎年ビックリ!親戚のおばちゃんばりにしみじみと感慨にふけってしまうのも恒例になりつつあります。中には妊婦さんだった方が、翌年赤ちゃんと一緒に遊びに来てくれたりして。年々涙腺が緩みがちな私は、そんな光景に遭遇する度に一々目頭を熱くしています。

kitutukiのワークショップ風景。楽しそうにバッジを作る子供たち、とっても可愛かったです!
kitutukiのワークショップ風景。楽しそうにバッジを作る子供たち、とっても可愛かったです!

ちなみに、私自身も去年はかぜおくん妊娠中でぽっこりお腹でイベントに参加しました。今年は無事生まれてきた息子も一緒に、このイベントに参加するのがとても意味ある事と思っていたので、実現して本当に嬉しかった。「生まれたんですねー!」とお客さんにもたくさん声をかけてもらえて、温かな気持ちなったのでした。

震災から8年。まだ8年。人によって感じ方は様々でしょう。そんな事を思っていたら今年の3月11日の新聞にこんな記事を見つけました。

「時間が止まったまま」という声を被災地では今なお聞く。喪失感、悲しみ。復興は進んだかもしれぬ。が、被災地の心の時間はなかなか進んでいないのだろう。▶︎ 被災地以外での時間はどうか。残念ながら忘却に向かって足早に過ぎている気がする。被災地より早く進む時間は震災の記憶を弱め、被災者の現在の痛みへの感覚を鈍らせることになっていないか。8年が経った。被災地と同じ時計を使いたい。(東京新聞、筆洗より一部抜粋)

当時、東北からの帰り道、高速道路を走る車が都内に差し掛かった時に広がる、あの煌びやかな夜景を目にする度に、何か悶々とした気持ちになったものでした。車でたった7〜8時間離れた場所では、まだ瓦礫が散乱していて、家を失った人たちが仮設住宅で暮らす現実があるというのに。どう寄り添ったとしても、当事者の気持ち全てを理解することなんて到底できるはずがない… ただただ、無力さに呆然と立ち尽くす自分がいました。

でもご縁あって、毎年3月に気仙沼へ行くようになって見えてきた事もあります。

震災から5年経った年に、被災者でもありイベントメンバーでもある友人がこう話してくれました。「亡くなった人たちのためにも前を向かなきゃ。でも前を向くって何なんだろうってずっとずっと考えて、それがやっと、個々がちゃんと幸せになる事なんだって分かったの。」悩んで泣いて苦しんで、その気持ちに至るまでに「5年」。彼女たちの時計の針は、自分たちが想像するよりもはるかにスローペースなのだとハっとした瞬間でした。そして、果たして私たちは、現地の皆と同じ歩幅でゆっくりと時間を紡いでいけたのだろうか。寄り添うということの本質について、改めて考えさせられる機会となったのでした。

2年前に広川さんに撮ってもらった我が家の家族写真。一人謎な大人が写っているのは、kitutukiの相方シミズダニです。(笑)彼もまた、家族のような存在。
2年前に広川さんに撮ってもらった我が家の家族写真。一人謎な大人が写っているのは、kitutukiの相方シミズダニです。(笑)彼もまた、家族のような存在。

我が子たちはいつしか、佐藤家の子供達と遊ぶことを一番の楽しみに、気仙沼行きを心待ちにするようになりました。でも、小さいながらに当時から東北の地に連れてきていた長女と長男は、イベントに参加することの意味もちゃんと理解してくれているように感じる瞬間があります。起きてしまった事に目を背けるのではなく、ちゃんと向き合う事の大切さ。そして人と人とが手を取り合うことで、大きな悲しみがいつかたくさんの笑顔に変わること。自分たちが実際目にしたもの感じたもの全てを、ずっとずっと心の奥に留めてくれるといいなぁと願うばかりです。

気づけば、我が家にとって第二の故郷のようになった気仙沼。まだこの先何年、家族みんなで行くことができるのでしょうか。ただ、いつか我が子たちが親元を離れたとしても、彼らがそれぞれに気仙沼を訪ねているといいなぁ。今だけではなく、子供たちが成長した後も引き継ぎたい大切なご縁。第二の家族との日々は、まだまだ長く続いてゆく予定です!

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今年1月に菊田家に新しい命が誕生しました。その名も「紬(つむぎ)」ちゃん。家族みんなで幸せそうに抱っこし合う光景が微笑ましく、そして、小さいながらに確固たる生命の強さを感じました。我が家のかぜおくんとも同級生、同じ時代を生きる仲間として、末長くどうぞ宜しくね!

菊田 & 佐藤家のみんな、今年もお世話になりました。ありがとう〜〜!
菊田 & 佐藤家のみんな、今年もお世話になりました。ありがとう〜〜!

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