食べ物からお腹の赤ちゃんにうつる感染症「リステリア菌」って何?
妊娠中のお母さんが食べた物から、胎盤を通してお腹の赤ちゃんにうつってしまう感染症があることはご存じでしょうか。
妊娠が分かった直後は、まだ仕事が忙しかったり、つわりで苦しい状態だったりするので、なかなかリスクのある食べ物について調べる余裕もないですよね。
後になって「食べてしまったけれど大丈夫かな」と不安にならないために、妊娠中の人も周りの人も知ってほしい、妊婦が注意すべき感染症「リステリア菌」についてお伝えいたします。
リステリア菌の特徴
リステリアとは、河川水や動物の腸管内など環境中に広く分布している細菌で、食品を介して感染する食中毒菌です。リステリア菌は多くの食中毒菌が増殖できないような4度以下の低温や12%の高い塩分濃度の食品でも増殖できるやっかいものです。
一方で、加熱により死滅させることができるので、家庭でできる予防策をしっかりお伝えいたします。
なぜ妊娠中に注意が必要なのか
リステリア菌は自然界に広く分布しており、健康な成人であれば多くの場合感染したとしても重い症状は出ません。しかし、妊娠中は免疫力が低下しており、一般の人よりもリステリア菌に感染しやすく、お腹の赤ちゃんに影響が出ることがあります。
妊婦がリステリア菌に感染すると流産、早産、死産や、赤ちゃんに髄膜炎(脳の周りを覆っている髄膜に炎症がおこる病気)や敗血症(全身に菌が回って臓器障害を起こす状態)などの命に係わる病気を引き起こすことがあるので、妊婦は特に注意が必要なのです。
リステリア食中毒の主な原因食品例
リステリア菌の特徴でもお話したように、リステリア菌は低温下でも高塩分濃度でも増殖できる菌です。冷蔵庫にきちんと保管していても、加熱せずにそのまま食べられる食品は、リステリア菌に感染する可能性があるのです。
リステリア食中毒の主な原因食品例としては、ナチュラルチーズなどの乳製品、肉や魚のパテ、生ハムなどの食肉加工品、スモークサーモンなどの魚介類加工品、コールスローなどがあげられます。
ナチュラルチーズとはどんなもの?
ナチュラルチーズはリステリアの感染リスクがあるとお伝えしましたが、ナチュラルチーズとはどんなチーズのことを言うのでしょうか。
ナチュラルチーズとは加熱殺菌していないチーズのことで、モッツァレラチーズ、カマンベールチーズ、ゴルゴンゾーラチーズ、リコッタチーズ、チェダーチーズ、ゴーダチーズ、パルミジャーノ・レッジャーノなどがあります。
ここで注意したいのが、輸入品か国産かどうかです。
日本で製造されているナチュラルチーズは、加熱殺菌が義務付けられているので、国産のナチュラルチーズであれば安心です。
輸入品のナチュラルチーズは注意が必要なこと、それを使った加熱しない料理やお菓子もナチュラルチーズ同様に注意しましょう。
家庭で気を付けること
リステリア菌は冷蔵庫でも増殖するので、冷蔵庫で保管していたからと言って安全とは限りません。リステリア菌に感染しない予防策を6つお伝えいたします。
①冷蔵庫を過信しない
②期限内に食べきり、開封後は期限に関わらず速やかに消費する
③生野菜や果物は食べる前にしっかり洗う
④75℃1分以上で加熱してから食べる
⑤無殺菌の牛乳は飲まない
⑥ナチュラルチーズは避けるとともに、国産か輸入品かを確認する
リステリア菌について知らなかった人もいると思われますが、これから生まれる赤ちゃんのために、妊婦さんや周りの人が家庭でできる予防策をしっかり守りましょう。