ヨウ素系うがい薬にも注意が必要! 妊婦は昆布やわかめを食べても良いの?
日本の伝統的な食材である昆布やわかめは日本人にとって欠かせない食材の1つですが、妊娠中に食べても良いものでしょうか。
答えは、YesでもNoでもあります。
和食には欠かせない昆布やわかめを妊婦が注意しなくてはならないなんて、あまり聞いた事がないのではないでしょうか。実際、私が持っていた母子手帳を確認してみましたが、昆布やわかめに関する注意は何も書かれていませんでした。
あまり知られていない情報ですが、食べても良いのか悪いのか、ここで詳しくご説明します。
昆布やわかめの摂取に注意が必要な理由
昆布やわかめには「ヨウ素」というミネラルが含まれています。ヨウ素は体内で甲状腺ホルモンを合成し、胎児や乳児の骨や脳が正常に発育するために必要なものです。妊娠中にヨウ素が不足すると、胎児の発育不全や精神遅延の原因となり、またヨウ素不足が軽度の場合でも幼児や小児のIQが低下する可能性があります。
一方で、ヨウ素を摂りすぎても甲状腺肥大や甲状腺がんを引き起こしたり、産まれた赤ちゃんが先天性甲状腺機能低下症を発症するリスクがあります。
昆布やわかめに含まれる「ヨウ素」は不足しても過剰摂取してもリスクがあるので、妊婦が食べてもよいのかという問いに対する答えは、YesでもありNoでもあるのです。
ヨウ素の摂取基準値
昆布やわかめに多く含まれている「ヨウ素」。
厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2015年版)によると、「ヨウ素」の妊婦の食事摂取基準は1日240㎍で、耐容上限値は2,200㎍としています。ヨウ素含有量はそれぞれ、水戻しわかめ10gで190㎍、乾燥昆布5㎝(5g)ではなんと12,000㎍もあります。
昆布やわかめ以外にも、海藻類(ひじき、のり、寒天)や魚介類(たら、ずわいがに、あわび、さざえ等)にもヨウ素が比較的多く含まれています。
日本人の食生活からすると、ヨウ素不足よりも過剰摂取に気を付ける必要がありそうですね。
昆布やわかめを上手に取り入れる食事法
毎日の食事に昆布やわかめ等を取り入れている和食中心の日本人は、普段の食生活で十分に「ヨウ素」を摂取しているので、ヨウ素不足よりも過剰摂取に注意が必要です。
過剰摂取の対策として以下のことに気を付けてみて下さい。
1.出汁をとる時は昆布のみではなく、かつおやいりこの合わせ出汁に変えてみる。
2.市販のめんつゆを使った麺類、外食のうどん、カップめんの汁は全部飲まない。
3.昆布の佃煮や塩昆布、酢昆布などを毎日食べない。
ヨウ素を含むうがい薬も注意が必要!
食べ物以外にも、うがい薬の中にはヨウ素を含むものがあります。
ヨウ素系うがい薬(ポビドンヨードうがい薬)によるうがいを行った場合、用法どおりに使うと1日あたり約4㎎(=4,000μg)のヨード摂取になると報告されており、妊婦の1日の摂取上限量を超えてしまいます。
インフルエンザ予防や新型コロナウイルス感染症予防として毎日うがい薬を使用している妊婦の方は、ヨウ素が含まれていないうがい薬に変更するか、水うがいにしましょう。
まとめ
当たり前のように食べてきた昆布やわかめの摂取量に注意が必要だなんて、驚いた方も多いのではないでしょうか。知らずに昆布やわかめを多く食べていたからと言ってすぐに胎児に影響が出るわけではありませんが、正しい知識を知った上でリスクを回避するための予防を行う事は大切です。
また、妊娠中はうがい薬も成分表示をきちんと確認してから購入するようにしましょうね。
厚生労働省eJAM「ヨウ素」
https://www.ejim.ncgg.go.jp/pro/overseas/c03/06.html
厚生労働省「日本の食事摂取基準2015年版」
https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000041955.pdf
国立成育医療研究センター「新型コロナウイルス感染症予防対策としての妊娠中、授乳中のヨウ素系うがい薬の使用について」
https://www.ncchd.go.jp/news/2020/20200807.html