子どもたちに受け継いでいきたい。我が子を想ってつくられたママのおにぎりの味|モデル asacoの4回目の育児 – fourth time around
この連載は……
モデルとして雑誌やCMに出演するいっぽう、子ども服ブランド「kitutuki」のディレクターとしても活躍中の asacoさんの連載。実は5月に4人目のお子さんを出産したばかりのasacoさん。4人目育児ってどんな感じ?家族の関係は変化した?家事やお仕事は?などなど、にぎやかな家族の日常を綴ります。
vol.27「子どもたちに伝えたい、母のおいしいおにぎりの味」
子どもたちに便乗して、政治くんも私もめいっぱい遊び倒した夏休み。キャンプに、旅に、思っていたよりもだいぶたくさんの場所に出かけました。我が家だけで過ごすよりも、圧倒的にお友達ファミリーも交えて過ごすことが多く、みんなの日常が垣間見えるのも楽しかったこと。親子でのやり取りとか、食事の支度風景だとか、普段自分が当たり前のようにしているのとは違った光景に遭遇すると、ハっと何かしらの気づきがあって、暮らし方、子育ての仕方って人それぞれでおもしろいなぁと思うことが多々ありました。
我が家の旅の多くは、お友達の実家や別荘で成り立っていると言っても過言ではない!今回も立派な友人宅にお泊まり。ありがたや〜
中でも印象的だったのが、我が家含めて3家族、はじめてのメンツで過ごしたある日。
そのうちの一人のママ、Aちゃんとは完全に初対面で、しかも私より12も年下だったのにめちゃくちゃ気が合って、気づけばみんなでだいぶ遅くまで飲み明かした…、翌朝のことでした。
年齢もバラバラな子どもたちに、同じメニューで簡単に済ませられるおにぎりを作ろうと決めて、鮭を焼いて、ほぐしたのを炊きたてご飯に混ぜ込んで、その流れでチャチャっと私が握ってできあがり〜。
大皿にドンと盛って「みんな食べてね〜」と、いつものセルフスタイルでキッズたちの簡単朝ごはんを終えたのでした。
すると、しばらくして「お、おいしーー!!」と、Aちゃんが目を輝かせているのです。何がそんなに?と思ったら、なんと、私が握ったおにぎりのことでした。
「アサコさん、これなんでこんなにおいしいの?!なにで味付けしたんですかー?」と聞かれたものの、むしろ何も特別なことはしていなくて、「ただ焼いた鮭を混ぜて、お塩を少し足して握っただけだよ」と伝えると、絶対そんなことはない…と疑いの表情。
「いやいや、ホントにそれだけだよ」と言って数秒後、「…もしかして、手で握ったから?」と彼女が一言。なるほど〜。そのあと、Aちゃんが我が子用にと握ったおにぎりがラップに巻かれていることに気づいて、私も納得したのでした。
手で握ったいびつさも、おにぎりの魅力のひとつ。子どもたちが食べやすいように、ちいさめに握るのが我が家流です。
聞けば、自分も手が汚れるし、子どもたちも手を汚さずに食べられるから、いつもおにぎりはラップに包んで握っているとのコト。「手で握ると、お米がつかないように手を少し濡らして、手のひらにもお塩をすりこむから、自然と足される水分と塩気がおいしさの秘訣なのかもね。」そう分析して、2人してきっとそうだとブンブンうなずき合ったのでした。なぜなら、私は私で当たり前のようにやっていたことで、それが旨味につながるって意識がなかったから。やっぱり「手で握る」って最強。そして、その名のとおり"握ること"がちゃんと理にかなっていると再認識したのでした。
ちなみに、私が大皿で出したおにぎりを、息子くんが素手で取れなかったことにも衝撃を受けていた彼女。「汚れるからラップちょうだいって言われました(笑)」って教えてくれて、正直私もビックリしました。THE現代っ子すぎる!と笑ったのだけど、もしかしたら、我が子を想うママのちいさなやさしさが積み重なって、そんな背景を生み出しているのかもしれませんね。当たり前にしていることが、実は何か大切なことを見失う原因になっていないか。もちろんその感覚に個人差はあるけれど、これからはおにぎりを手で握る気満々だったAちゃんとは、子どもたちに受け継いでいきたいものが一緒なんだと嬉しくなった、そんな夏の出来事でした。
今度またみんなで会える日は、おにぎり祭りに決定だね(笑)。