言いたいコト、書きたいコトバ…混じり気ナシ! 弘中綾香の「純度100%」~第6回~

LEARN 2019.07.12

ひろなかあやか…勤務地、六本木。職業、アナウンサー。テレビという華やかな世界に身を置き、日々働きながら感じる喜怒哀楽の数々を、自分自身の言葉で書き綴る本連載。第6回は「行きつけの場所」について。

「迷えるオトナたちの秘密基地」

 行きつけのスナックが出来た。行きつけといっても、まだ数回しか行っていないから顔を覚えてもらったかな、といったところなんだけど。ちょっと奥まったところにあって、騒がしくなくて、別にキレイでもお洒落でもなくて、気張らなくていいよって言われている気分がして、なんだか落ち着く。いつ行っても楽しめる秘密基地が出来た感じがしてうれしい。
 でも、ついこの前までスナック自体行ったことがなかった。スナックというと、おじさんたちの憩いの場的なイメージで、若い女の子が行く場所じゃないと思っていた。私とはあんまり関係がないと思っていたけれど、一度連れて行ってもらったら、あら不思議。ハマりました。

 最初に行ったのは、別府のスナック。地元の友達がいて、ローカルなところに連れて行って!とお願いしたら、繁華街の雑居ビルの2階、絶対自分では入らないような“ザ・スナック”に案内してくれた。最初はおっかなびっくりだったけれど、なぜかすぐなじみ、すごく居心地がよかったことだけ覚えている。それ以来、東京でも行きたいと思うようになり、いろいろな人にスナック好きを公言し、なじみのお店の情報を教えてもらっている。そうやって“持ちスナック”を増やしているところ。 
 もともとお酒を飲むのも歌うのも好きだから、スナック好きになる土壌はあったのだけれど、他の人に気兼ねせず飲んだり歌ったりするという意味でいうとカラオケに行くほうがいい。個室だし。でも、スナックには、カラオケにはない「素敵な歌との出会い」がある。

 ママが歌う中森明菜、カウンターに一人でいるお兄さんが入れるチェッカーズ、サラリーマン二人組が歌う氷室京介。往年の素晴らしい名曲の数々を私はスナックで知った。友達と行くカラオケではまずかからない曲ばかり。そりゃそうだ、生まれる前の歌だもん。スナックに行かなければ出会うことはなかっただろう。
 ようやく大人になってきたということなのか、中でも歌謡曲が聞いていて一番グッとくる。何といっても、歌詞がいい。歌詞が紡ぎだすストーリーに思いを馳せながら聞いていると、泣きそうになることがある。
 スナックは、そんな歌謡曲をその場にいる皆さんで歌い、分かち合い、いろんなことを忘れる場なのだ。昼間何をしているかなんて、関係ない。昔のことを思い出したり、こんな恋がしたいと思ったり。スナックではみな平等。みな迷えるオトナなのだ。

 お酒と音楽が好きだったら、一度は行ってみることをおすすめします。選曲センスは問われるけどね。ちなみに私が必ず歌うのはREBECCAの「フレンズ」。アップテンポで、誰もが知っている名曲だし、サビで盛り上がることこの上ない!序盤で歌って勢いづけましょう。あとは聖子ちゃんをぶりっ子してよく歌います。また、大事なのは〆の一曲に何を歌うか。私は「みんな帰るよ~これが最後の曲ね!」と言いながら、百恵ちゃんの「さよならの向う側」を入れる。この終わり方、かなり気に入ってます。
 真似していいですよ!(笑)

Photo:moron_non
Photo:moron_non

(次回は7月26日更新予定)

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