“一番大切なのはあなた”シングルマザーから始まった、ステップアップファミリー物語
大学卒業後、地元の区役所に新卒で就職したnatsumiさん。
24歳で結婚、25歳で長女を出産し順風満帆な生活をスタートしていたが、育休復帰後の28歳で別居、30歳で離婚を経験。仕事、育児など当時のパートナーとの価値観のズレが原因だった。
シングルマザーとして生きる道を選び、娘と2人での生活を続けていた頃、同い年の息子を育てるシングルファザーと出会い、再婚を決意。現在は連れ子2人に加え、0歳・1歳の子どもと6人家族として日々を送っている。
“連れ子同士で再婚する”という選択をしたnatsumiさんが、どんな覚悟を持ち、どのように家族を形作ってきたのか。そして、子どもたちとの暮らしの中で生まれた思い、気づきを聞いた。
「人生の大切なモノを自分で選び取る力」を広めたいという思いで、子育て・ファッション・マインド・家族関係まで幅広く発信。結婚相談所カウンセラー、16タイプパーソナルカラーアナリスト、顔タイプアドバイザー、骨格診断士、ライフコーチとして活動。
“あなたのことを大切にしているよ”という気持ちが伝われば
──30歳の時に、シングルマザーとして生きる選択をされたとのことですが、そこから再婚を意識されたきっかけは何だったのでしょうか。
「離婚が成立したとき、職場の人や友人から 『すぐに婚活したほうがいいよ』と背中を押されたんです。でも、私はもう結婚に疲れてしまっていたし、娘との生活もすごく幸せだったので、再婚は考えていませんでした。
そんな時、当時の上司からの『私も40のときに離婚したんだけど、今はパートナーがいて本当に幸せ。まずは人と会ってみて、結婚するかは後から考えてもいいんじゃない?』という言葉に励まされて、マッチングアプリを使ってみることにしたんです。そこで初めて会ったのが、今の夫でした」
──仕事も育児もある中で、なかなかデートに行くのも難しかったと思います。
「自由に動ける時間がほとんどなかったので、まずはアプリでのやり取りを仲の良い友人や上司に見てもらい、私と合いそうな人か、相談しながら会っていきました。そして月に1度程度、自分の時間を確保できるタイミングがあったので、その中でお付き合いを重ねていった形です」

──娘さんとパートナーさんの息子さんとの面会はどのように行われたんですか。
「新しいパートナーができたことで、娘に嫌な思いだけは絶対にさせたくなかったんです。
まずは『ママ、会おうと思ってる人がいるんだ。嫌だったら絶対に言ってね。その人よりあなたの優先順位が下がることは絶対にないし、我慢されるのが一番悲しいから』と素直に伝えました。
同時に、彼にも『息子くんに対しても “一番大切なのはあなた” と必ず伝えてほしい』とお願いしました。子どもたちが安心できる関係をつくることも、とても大切だったので。
それからは、お互いに子どもが同い年だったこともあり、時間が合えば『公園行こうか』と、自然と一緒に過ごすようになりました。パパ友・ママ友のような感覚で、子どもたちを遊ばせて、夕焼けチャイムが鳴ったら『そろそろ帰ろうか』と帰る…何気ない日常を刻んでいきました。
初めて娘と息子が対面したのは、5歳の頃。今は2人とも11歳なので、もう人生の半分を一緒に過ごしていることになります。そのせいか、関係性は本当に“兄弟”で。くだらない小競り合いもするし、本気で怒ったりもする。困ったときは助け合っていたりして……“ああ、リアルな兄弟だな”って感じます」
──お付き合いする際、お子さんへの伝え方についてはいかがでしたか。
「付き合う前に、当時5歳の娘に『ママ、付き合おうと思ってるんだ』と伝えました。シングル家庭を“二人三脚”でやってきた感覚があったので、娘の意見をきちんと尊重したかったんです。今11歳の娘に当時のことを聞くと『わからないよ〜』と言われますが。(笑)
たとえ分からなくても“あなたの存在を大切にしているよ”という気持ちが伝わればいいなと思っていましたね」
家族になるには、人としてぶつかるしかない

──お付き合いした当初、再婚に対してはどのようなお気持ちでしたか。
「当時の私は、離婚して数ヶ月間実家に同居させてもらい、ようやく2人で家を借りたタイミングでした。“結婚生活ができない未熟者なのかもしれない”と思っていたのもあり、まずは娘と2人で暮らしたい気持ちが強かったんです。
彼からは交際後すぐに結婚しようと言ってくれましたが『もう少し時間が欲しい』と答えていました。彼は『結婚だけが一緒にいる形じゃないしね』と受け入れてくれて、タイミングを待ってくれました。結果、お付き合いから3年が経過した頃に、再婚を決意しました」
──悩んでいた中で、再婚しようと思えたキッカケを教えてください。
「お付き合いして3年の間に、息子くんとも長期休みに一緒に過ごすなど、少しずつ距離を縮めていきました。でも実はずっと“私は、息子くんにとって何者なんだろう”という迷いがあって…。
息子くんの中では、定期的に会う実の“ママ”の存在があるわけで、私を受け入れることが“ママを否定することになるんじゃないか”と葛藤しているように見えたり、逆に私を“ママって呼んでみよう”とする時期もあって、揺れているのを感じていました。
さらに、私と娘の間で大切にしているルールと、彼が息子に伝えているルールにも差があって、どうすり合わせるかも悩みました」
──2つの家族が1つになる難しさ、ですね。
「そうなんです。ある時、息子くんの食事中の一言に私も大人げなく怒ってしまって『もうごはん作らない!』と部屋にこもったんです。
翌日、何事もなかったように普通に話す息子くんを見て、「私、謝られたことないな」ということが気になっていたので、思い切って『昨日のことで本当に傷ついたよ』と伝えました。すると息子くんが勇気を出して初めて『ごめんね』と言ってくれたんです。
その瞬間、本当にうれしくて『言ってくれてありがとう!』と心から伝えました。そこで気づいたんです。“子どもだから”じゃなくて、“人として”向き合えばいいんだと。
私という人間がいて、息子という人間がいる。息子を大切に思うからお願いしたいことを伝えられるし、息子も私に言いたいことがあれば言っていい。そう付き合っていけば、家族になれるかもしれないと思えたんです」
──“子どもだから”じゃなくて、 “大切な人”としてフラットに向き合うと気づいたんですね。
「ちょうどその頃、娘から『私ね、もう7年も生きたの。ママ、一度結婚ダメになっちゃったけど、もう一回結婚してもいいんじゃない?』って言われて。
『それって、今の彼のこと?』と聞くと『それはママが決めることだよ。でも私は今の人でいいと思う。私は家族が欲しい」と背中を押してくれました。
娘の言葉と、息子からは勇気をもらい、家族にもう一度チャレンジしてみよう。これを乗り越えたら、きっと幸せになれる、と感じたんです。
それで夫に『私、準備できたかも』と伝えたら、ニコニコしながら『ついに結婚しますか』って。翌日には義両親に全部伝わっていました(笑)」
──子供がいる中での再婚だと、お互いが好きかどうかよりも、子ども意思の方が大切なんですね。
「正直、どちらかの子どもが“嫌だ”って言ったら難しいだろうなと思っていました。
実はずっと疑っていたんです。息子が足蹴りしてきたり、ふざけて嚙んできたりする時期があったので、本当は私のことが嫌なのに、嫌だって気づかないまま我慢しているのかもしれないって思ってたんです。
でもある時、“息子は、ただ私に触れたかっただけなんだ”と気づいたんです」
──どうして「ただ触れたかっただけなんだ」と気づいたんですか。
「すごくスキンシップが多い子なので、試しに『洗濯物は洗濯カゴに入れてね』って、頭を撫でながら言ってみたら、すごく素直に受け取ってくれて。下の子たちを妊娠したときも、服をめくってお腹をじかに触ったり、頬を当てたりして「母性を感じるー!」って言ってたりして(笑)。
触れることで愛情や母性を感じたりする子なんだなと、少しずつわかってきました」

──現在11歳の息子さんは、どう接してくれていますか。
「私のことは“なっちゃん”と呼んでいます。少しからかったりすると『もう「お母さん」って言ってあげないんだから!』と拗ねたりすることもあります。(笑)でもそういうやり取りが、“ああ、この子にとって私はもう家族なんだな”と実感する瞬間でもあります」
──娘さんはパートナーさんに対してどんな反応でしたか。
「娘は驚くほど早く馴染みました。お付き合いして1年も経たないうちに、夫のことを“パパ”と呼び始めて、実の父親のことは“お父さん”と呼んで分けているんです。
娘は人の好き嫌いがはっきりしているタイプなんですが、夫のことは最初から“面白い!”と言って大好きで、迷いがほとんどなかったですね」
──離婚・再婚を通して、お子さんに対してどんなことを思いますか。
「子どもたちは、両親の離婚をきっかけに『人との関係には終わりが来ることがある』ということを、少し早く知ることになったと思っています。
でも同時に『人は何度でもやり直せること』『新しく人間関係を築いていけること』も、親の姿を通して伝えていけるのではと感じています。
それは親にとっても、子どもにとっても、周りの人にとっても、葛藤のあることだと思いますが、一緒に向き合って乗り越えていけたとき、みんなで大きく成長できる尊い経験になるとも感じています」
みんなで一つの布団でくっついてゴロゴロ

──再婚後に生まれたお子さんについて、上のお子さんたちはどんな反応でしたか。
「娘はシングルマザーの時代から“下の子が欲しい”と言っていたんです。誰々ちゃんのお母さんが妊娠した、という話もよく報告してきていて。だから、“妊娠したよ”と伝えたときは泣いて喜んでいました。息子も『やったー!』と本当に嬉しそうな様子で。
下の子が生まれて少しずつ大きくなって、抱っこをねだってくるようになると、2人とも完全にノックアウト。娘は9歳差になるんですが、夏休みの自由研究で“弟観察日記”を製作していました。
なにより2人ともすごく自立しました。以前は“言わないと宿題をしない”タイプだったのに、今は自分からサッとやるようになって。息子なんて『お風呂いれようか?』ってパパより率先して手伝ってくれます(笑)。兄や姉になるって、こんなに成長を促すんだなと感じます」
──いま改めて、「家族だな」と思う瞬間は?
「休日で特に予定がない日に、みんなでひとつの布団にくっついてテレビを見ているとき。
夫はパソコンで仕事をしていて、私はスマホを触っていて、子どもたちはテレビに夢中で……全員やっていることはバラバラなのに、同じ布団に集まってゴロゴロしている。そういう何気ない瞬間に家族だなと感じます」
──結婚、離婚、再婚を通して感じた、人生への気づきがあれば教えてください。
「“家族だから一緒にいなきゃいけない”とか、枠組みで自分の人生を決めるのはやめようと決めていて。1人でも生きていけるし、豊かに暮らせるかもしれないけれど、私の場合は“この人といると楽しいから一緒になりたい”という選択をし続けて、家族を紡いでステップアップすることが理想の形だった、ということです。
私が結婚相談所を運営しているのもあり、夫ともよく“結婚せずとも幸せに生きられる時代に、結婚の良さって何だろう?”ということを考えるんです。
その答えは、何気ない日常にもたくさん転がっていました。子どもを連れて近所のスターバックスで朝ごはんを買って、公園のベンチで座って食べていた時にも、ふと夫が『結婚する理由、たぶんこれだと思う』と呟いていたのを思い出します。些細な時間でも、幸せの深みが増すんですよね。 “いま感じている子育てなどの大変さも、実はかけがえのない宝物なんだ”って身にしみて分かるんです」
──今後6人で、どんな家族をつくっていきたいですか。
「学校、職場など、それぞれが外での発見や気づきを家に持ち帰り、発表会みたいに共有できる家庭にしたいです。
上の2人は学校であったことを全部話してくれるタイプなので、子どもの視点に驚くばかり。最近は“アンパンマンのものまねって意外と誰でもできるんだね”と気づいて、家族みんなでアンパンマンの絵本を読みながらモノマネ大会をしたりしてました(笑)。下の子たちも早く大きくなって、6人全員で“発表会”ができるようになったら最高ですね」
text_Maori Kudo


















