安藤忠雄の軌跡から未来までを一望する『安藤忠雄展 | 青春』。

安藤忠雄の軌跡から未来までを一望する『安藤忠雄展 | 青春』。
安藤忠雄の軌跡から未来までを一望する『安藤忠雄展 | 青春』。
LEARN 2025.04.09
世界的建築家、安藤忠雄の半世紀にわたる挑戦の集大成となる個展が、大阪駅北側の再開発エリア「グラングリーン大阪」内の〈VS.〉で開催されている。
text_Mako Yamato
photo_(c)安藤忠雄展|青春 2025

大阪に生まれ、世界各国を旅した後に独学で建築を学び、1969年に建築家としてのスタートを切った安藤忠雄。〈住吉の長屋〉を皮切りに、〈光の教会〉〈地中美術館〉など既成概念を打ち破る作品を次々と世に送り出してきた。90年代以降は活躍の場を世界に広げつつも、環境再生や震災復興といった社会貢献事業にも力を注ぐ。その半世紀にわたる軌跡から、進行中の現在、そして未来へのビジョンまでを集約した展覧会が開催されている。

会場となるのは、長年にわたり尽力してきた大阪都市再生プロジェクトの最前線、「グラングリーン大阪」内の〈VS.〉。自ら設計監修を手がけた新たな文化装置だ。

安藤忠雄が設計監修を手がけた〈VS.〉の外観。安藤のアイコンでもある青りんごがここにも展示されている。

展覧会は「挑戦の軌跡」と「安藤忠雄の現在」の2つのゾーンで構成されている。「挑戦の軌跡」エリアは初期の国内での代表作から鉛筆ドローイングなどまで、半世紀におよぶ安藤の集大成といえる内容。「安藤忠雄の現在」では、始動から37年目を迎える「直島アートプロジェクト」や、近年の社会貢献活動を象徴する「こども本の森」などが6つのテーマに沿って紹介されている。

80年代末から始まった「直島アートプロジェクト」。その成長を支えてきた安藤の10の建築の物語を、模型と音楽映像とが一体となった展示空間。手前に見えるのは、「こども図書館船 ほんのもり号」の模型。

注目を集めるのは初期代表作のひとつ〈水の教会〉を会場内に原寸大でリアルに再現した展示。
さらに安藤建築を象徴する〈光の教会〉〈真駒内滝野霊園頭大仏〉、フランス〈ブルス・ドゥ・コメルス〉の三作品を、天井高15mのキューブ型スタジオの3面に投影する、オリジナルの没入型映像インスタレーションもあり、安藤建築を五感で感じ、浸る仕掛けとなっている。

「青春」というタイトルを付けた本展について、安藤はこう語る。「青春というのはひたすら前を向いていくこと。若い世代だけでなく、幾つになっても目標を持って頑張れという意味を込めて付けました。これからがスタートです」。

半世紀にわたる活動を経てなお、青春を生き続ける建築家・安藤忠雄。作品を通じて届けられるメッセージを心に刻みたい。

会場の様子。安藤忠雄のドローイングも間近で見ることができる。
information
〈VS.〉
ヴイエス

住所:大阪府大阪市北区大深町6-86 グラングリーン大阪うめきた公園ノースパーク
営業時間:10:00〜18:00、金土・祝前日〜20:00(入場は閉館の30分前まで) 
定休日:月休(祝日は営業)
料金: 一般 1800円ほか
開催期間:〜2025年7月21日
 
公式HP:https://vsvs.jp/exhibitions/tadao-ando-youth

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