【大阪】期待を超えてくる! わざわざ行く価値がある美術館4選

1. 藤田美術館

プライベートミュージアム最新系 in 大阪。
明治時代の実業家、藤田傳三郎とその息子が収集した美術品を展示する〈藤田美術館〉。かつては藤田家邸宅の蔵を改装した展示室で、国宝9件、重要文化財53件を含む関西きってのコレクションを有する私立美術館にして、知る人ぞ知る美術スポットだった。それが2022年に全面建替の大胆リニューアルを決行。
チケットレスでカウンターのないエントランスは、全面ガラス張りで開放的に。一転して展示室は照度を落として、作品が浮かび上がる仕掛けだ。展示ケースを内包した移動式の壁をフレキシブルに活用して、開館中でも展示替えが可能となり、休館日のない美術館を実現。

多彩な所蔵品をテーマに合わせて順々に披露している。エントランスで営業する茶屋をはじめ、主催イベントの参加費は低価格なのにハイクオリティ。私立美術館の鑑のようなミュージアムだ。


住所:大阪府大阪市都島区網島町10-32
営業時間:10:00~18:00
定休日:無休(12/29~1/5のみ休館)
電話番号:06-6351-0582
HP:https://fujita-museum.or.jp/
1954年開館。約5年の長期休館と施設の建替工事を経て、2022年4月リニューアルオープン。入館料1,000円(19歳以下無料)
2. 大阪市立美術館

大阪が誇る市立美術館がリスタート。
実は日本で3番目に歴史のある公立美術館の〈大阪市立美術館〉が、開館以来最大規模となる約2年半におよぶ改修工事を終えて、ついにリニューアルオープン。
〈天王寺公園〉の高台にあって、左右に翼廊をそなえた威風堂々たる建築はそのままに、公園内の立地をより活かすべくカフェや無料ゾーンを新設して、「広くひらかれたミュージアム」となった。約8,700件を超える館蔵品は、美術館の土地を提供した住友家をはじめ、関西の財界人らの寄贈品がコレクションの中心で、中国絵画や石仏、日本の仏教美術や工芸品に根付などが1階の企画展示で紹介される。

並行して開催される2階での特別展は、2025年は国宝、ゴッホ、根来と大きな話題を呼びそうな展覧会を続々と予定している。名造園家・植治が手がけた開放的な日本庭園「慶沢園」とあわせて楽しみたい。


住所:大阪府大阪市天王寺区茶臼山町1-82(天王寺公園内)
営業時間:9:30~17:00(最終入館は~16:30)
定休日:月休(祝の場合は翌平日休)、年末年始休
HP:https://www.osaka-art-museum.jp/
1936年開館。2025年3月リニューアルオープン。
※観覧料は展覧会によって異なる
3. イチオン・コンテンポラリー

梅田の東側に誕生した安藤忠雄設計のギャラリー。
2025年、扇町に現代アートのギャラリーが誕生。安藤忠雄の設計による新しいビルが立つ、ということで美術メディアだけでなく広くニュースとしても取り上げられた。
間口4m、奥行き約15mという極細な敷地に立っていることにまず驚かされる。この狭さを逆手にとったような設計の工夫が随所に見られ、フロアごとに天井高を変えたり、最上階の5階は大きく傾斜した大窓が設置されたり、茶室を思わせる極小の地下階を設けたりと変化に富んだ空間になっている。

開館記念の『GUTAIは生きていた』展は今や世界的に評価が高まる1954年結成の前衛美術集団「具体美術協会」の作家の作品を集めた企画で、打ち放しコンクリートの空間との相性も抜群。実は隣接する〈日本基督教団東梅田教会〉もヴォーリズ建築事務所の設計で、二つの現代建築が静かに響き合っている。


住所:大阪府大阪市北区野崎町9-7
営業時間:11:00~ 18:00( 最終入場17:30)
定休日:日月祝休
HP:https://ichion-contemporary.com/
2025年1月にオープンしたコンテンポラリーアートのギャラリー。2025年5~6月は『持田総章展』、7~8月は『守谷史男展』を予定。
※入場無料
4. 大阪市立東洋陶磁美術館

世界第一級の陶磁コレクションを中之島で。
中之島の〈大阪市中央公会堂〉の目の前という絶好の立地にあって、粛々と良質な展覧会を続けてきた〈大阪市立東洋陶磁美術館〉が、高さ約7mのガラス壁に囲まれたエントランスやカフェを新設。ぐっと存在感を増した。
そもそも、昭和の実業家・安宅英一による陶磁コレクションが大阪市に寄贈されたことから始まった美術館で、中国や韓国の陶磁コレクションの質は世界でも随一と評価が高い。陶磁器本来の質感を見えやすくした自然採光の展示室や、自然な目線で間近に作品を鑑賞するためのひじ置き台の設置など、観覧者ファーストな展示室の工夫もピカイチ。

そして、新しくなったガラス張りのエントランスがこれまでの堅牢な美術館イメージを一新して、隣接する安藤忠雄設計の〈こども本の森〉とともに、フレッシュな中之島の文化ゾーンを生み出している。


住所:大阪府大阪市北区中之島1-1-26
営業時間:9:30~17:00(最終入館16:30)
定休日:月休(祝の場合は翌平日休)、展示替え期間&年末年始休
電話番号:06-6223-0055
HP:https://www.moco.or.jp/
1982年開館。2024年4月リニューアルオープン。
※観覧料は展覧会によって異なる
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