セルフお灸のやり方も紹介!万病のもと「冷え対策」2025年決定版。

〈LIFE HACK1〉冷えていいことなし!改善の鍵は、体温の調節。
慢性的な冷えは、免疫力が低下し続けていることと同じ。根源を少しでも減らすためにも、まずは自律神経を整え、基礎体温を上げることから始めたい。

もりた・あつこ/サンルイ・インターナッショナル代表。フィトテラピーが日本に根付く20年以上も前から植物療法を学び、植物療法やフェムケアの普及に努める。
東洋医学において、冷えは大きく3つのタイプに分けられる。血流の悪化によって手足の末端が冷えやすく、生理痛など月経関連の不調が現れやすい「瘀血型」。胃腸機能の低下で水分代謝が悪くなり、足などがむくんでしまう「むくみ型」。そして、過剰なストレスによって自律神経が乱れ、体温調節がうまくいかず四肢末端の冷えや全身の寒さを感じる「ストレス型」だ。「仕事や出産など、年齢によって訪れるライフスタイルの変化で、ストレス型の冷え性は近年、特に女性に多い傾向です」と語るのは、日本における植物療法の第一人者である森田敦子先生。本場フランスの国立パリ13大学で植物薬理学を学び、植物療法に基づいて女性の健康をサポートしている。
「元々、女性のライフスタイルの中で調子が良い日は月経終わりの1週間のみ。さらに30~40代は〝プレ更年期〟といって、女性ホルモンの分泌量が減り、自律神経が整いにくい時期も重なります。この双方の乱れによって体温調節がうまくできず、体の冷えにつながっていくんです」
冷えは、そのほかに普段の食生活や生活習慣からも引き起こされる。
「外の寒さと室内の暖かさとの気温差に体がついていけなくなる、寒暖差疲労も要因です。そして意外と見落としがちなのが、食生活。朝こそ炭水化物やタンパク質など血流・血行を良くして体が温まるもの、免疫力を高めてくれる栄養素が必要です。忙しいからスムージーやフルーツだけ…と簡単に済ませている人も多いのではないでしょうか」
冷えは万病のもと、という言葉があるように、慢性的な冷えを放っておくことで病気のリスクも高まっていく。
「人間の体には、入ってきたウイルスや異物と戦って排出する自然免疫と獲得免疫があります。この二つがきちんと働くことで、病気のリスクを減らし健康体でいられるのですが、冷えにより体温が1度下がると免疫力も4分の1に減少。免疫力が落ちると代謝も下がるので老化が進み、風邪、発ガンなどの危険性を高めるといわれています」
冷えを少しでも解消し、体温を1度上げることを元気の指標に、と森田先生。
「アクセサリーのように冷えを連れ回さないことが大切。まずはできることから、首と名の付く箇所を冷やさないように防寒をして、女性の方は特に、末端の冷えに効く仙骨も温めることを意識してみましょう。内側からのアプローチとしては、体を温める食材やお茶を摂取するなど、細胞を作り替えて血行を促すオートファジーも効果的です。ぜひ試してみてください」
森田先生直伝、ヴァンルージュ入りハーブティー。

ヴァンルージュ(上)
実がなる前の赤ぶどうの葉。アントシアニン類の高ポリフェノールにより、血流・血行を促進させるので、冷え対策には欠かせない。
ネトル(左下)
緑茶のような色と味わいを持つ、ハーブの一種。アレルギー症状改善のほかデトックス効果もあり、血液の浄化・循環を促してくれる。
エキナセア(右下)
免疫力を高めることで知られる、北米原産のメディカルハーブの代表格。風邪やインフルエンザなどの感染症予防にも使われる。

食べることで冷え対策[生姜]

辛み成分のジンゲロール、ショウガオールが、体の深部の熱を末端まで広げてくれる。手足の冷えが気になる人へ。
植物で冷え対策[柚子]

皮に含まれるリモネンが血行を促進し体を温める。ゆず湯やオイルマッサージなど、皮膚と香り両方から摂取を。

ハーブブレンドの提案や、ワークショップ、よもぎ蒸しなどフィトテラピー&フェムケアを体験できるウェルネスショップ。
住所:東京都目黒区上目黒1-11-7 1F
TEL:03-6416-9548
営業時間:11:00~18:30
定休日:火休
instagram:@lebois_phytotherapy
〈LIFE HACK2〉お灸で冷えに効くツボを温める。
自分で手軽にできる冷え対策として、森田先生もおすすめしているのがよもぎを使うお灸。あらゆるお灸を扱う〈せんねん灸〉に聞く、セルフお灸のすすめとは?

ふくもり・ちよ/2016年より〈せんねん灸 ショールーム銀座〉専属スタッフ。お灸体験の案内のほか、数ある商品から自分に合うお灸選びをお手伝いするコーディネーターも。
お灸とは、よもぎの葉の裏裏にある白い綿毛からできる「もぐさ」を燃やし、ツボを温めることで血行を良くすること。昔から生薬として親しまれてきたよもぎの薬効を利用した、東洋医学の治療法だ。「時代とともにニーズが広がり、いまは台座付きのお灸が一般的です。温熱レベルや香りが選べる、火を使わず貼るだけ、煙が少ないなど多種多様なので、貼りたい場所やシーンに合うものを選びやすくなっています」(〈せんねん灸〉福森智代さん)
冷えが気になる冬は特にお灸の需要が高まる。「まずは冷えに効くツボに、温熱レベルが低い台座灸や、火を使わないタイプから試してみてください。熱いと感じたらすぐに取り外しましょう。熱さを感じない場合は、続けてもう一度お灸をすることもできます。温めるアイテムとしておすすめです」
【お灸】火をつけて、据えるだけ。簡単で心地いいセルフケアを。

【お灸の使い方】
初心者向けの4タイプ。ツボの場所、使うシーンに合わせて選ぼう。
ツボ
全身に点在する361個の中から冷えに効く9つ。

【前面】
中脘
おへそから指5本分上、みぞおちとをつなぐ線の中間地点にある。冷えで弱った胃腸やおなかの働きを促す。
天枢
おへそから、両外側へ指3本分。消化器系の機能促進にも効果あり。
八髎穴
骨盤の中心・仙骨に左右4つずつあるツボ。広範囲かつ直接刺激を与えにくいので、カイロタイプのお灸を使うのがおすすめ。
【背面】
腎兪
冷えに弱い腎を癒し、腰部など下半身の冷えに効く。直立した時に肘が脇腹と同じ高さになる背骨(ウエストライン)の部分から、左右指2本分外側にある。
志室
左右の腎兪から、さらに指2本分外側にあるツボ。腎兪と同じく、腰部の冷えに効く。
胞肓
八髎穴の上から2つ目のくぼみから、さらに両外側へ指3本分ずれた場所。

湧泉
血流の要所で、効果絶大。つま先からかかとまでの約3分の1のところにあるくぼみ。

三陰交
内くるぶしの中心から指4本分上、骨の際にある。〝女性のツボ〟といわれ、冷えなど女性疾患に効果あり。
太渓
内くるぶしの後ろ、アキレス腱との間にあるくぼみ。腎経のツボ。
【ツボの探し方】
位置はおおよそ決まっているが、体の状態によって微妙に変化する。目安の場所を指で優しく撫で、くぼみで指が止まるところを探そう。

無料のお灸体験もあり。
住所:東京都中央区銀座5-10-9 銀座YKビル1F
TEL:03-6228-5981
営業時間:11:00~19:00
定休日:月休(祝は営業)
【森田先生直伝】KEEP YOURSELF WARM 日常で取り入れる冷え対策。
身近な症状ほど自覚はあっても治し方に迷う人も多い。まずは体を温めるワンアクションから始めて。
TIPS 7 呼吸を深くする。
運動不足やストレスに加え、冬の寒さから冷気の刺激を避けて呼吸が浅くなる人が多い。これが続くと、酸素不足で交感神経と副交感神経のバランスが崩れ、血流が悪くなりやすい。「呼吸の仕方も冷えの原因の一つといわれています。ポイントは、吸うことよりも深く息を吐き切ること。肺の空気をなくすことで自然と新しい酸素をたくさん吸い込み、体の細胞が活性化。冷えの予防につながります」