椅子として使わないけど手放せない。一生モノのキノコスツール
わたしの一生もの。
椅子として使わないけど手放せない。一生モノのキノコスツール
LEARN 2024.12.10
引っ越ししても、ライフスタイルが変化しても、年月を重ねても、手放すことがないと思う「一生もの」の1点をフローリストの越智康貴さんに教えていただきました。
photo_Keisuke Fukamizu text_Hikari Torisawa edit_Kana Umehara
profile
おち・やすたか/表参道と六本木でフラワーショップ〈DILIGENCE PARLOUR〉を経営。広告や雑誌でのスタイリング、装花、執筆や写真でも表現を発信する。
Vintage Kid’s Stool
赤、白、緑のペイントにドットが散らばる木製のスツール。70年以上前に作られたということもあり、ぐらつきや塗料の滲みも見られる。高さ26㎝と可憐なほどの小ささながら、一度目にしたら忘れられない存在感。「花を合わせやすいというわけでもない」と越智さんは笑う。
買ったときの思い出ごと一生ものになった小さなスツール。
フィンランド旅行中、〈アルテック〉が運営する〈アルテック セカンドサイクル〉で出合った、キノコを象ったスツール。1950年代に製造されたヴィンテージだ。
「誰かの着想を明確に感じられるもの、時間が経ってもあまり変わらないもの、ちょっと変なものが好きです。物への所有欲があまりないのですが、このスツールは物自体が持っている象徴的なイメージに惹かれて購入した、と説明したらいいのかな」
椅子として使うには強度に不安があるものの、花やオブジェを飾るのには問題ない。
物に執着せず「むしろ壊れていたり脆かったり、物が担う意味から逸脱しようとするものが好き」だという越智康貴さんにとって、なぜこの一脚が一生ものになったのだろう。
「出合った場所も、隣にいた友人が『これ、買いなよ』と言い、買ったら『買ってくれてうれしい』と言ってくれたことも忘れ難い。シチュエーションも含めて一生ものなんだと思います」