あの不調をなんとかしたい。ストレス緩和のヘルスケアで女性の体を労わろう

あの不調をなんとかしたい。ストレス緩和のヘルスケアで女性の体を労わろう
LIFEHACK JOURNAL no.15 『女性のヘルスケア。』
あの不調をなんとかしたい。ストレス緩和のヘルスケアで女性の体を労わろう
LEARN 2024.12.27
毎月の生理とそれにともなう下腹部痛やPMS(月経前症候群)、不妊の悩みや更年期への不安など……、いろいろな心配事がつきまとう女性の体。ストレスを和らげるために、できることはないだろうか。
photo_Michi Murakami,Hikari Koki illustration_Chiiko Hoshino text_Riho Nawa, Emi Suzuki,Mie Furuya
教えていただきました
対馬杏奈
対馬杏奈
産婦人科医

つしま・あんな/大学病院に8年間勤務したのち、母が開業する〈対馬ルリ子 女性ライフクリニック〉へ。自身も排卵障害があり、不妊治療を経て今年8月に出産したばかり。

〈LIFE HACK1〉 自身の体のことを知り、変化に敏感になる。

妊娠願望があるかどうかや症状が深刻かどうかに関係なく、もっと婦人科を頼りにしよう。女性特有のストレスや心配事とのつき合い方を聞いた。

 近年よく耳にするようになったフェムテックという言葉。FemaleとTechnologyを掛け合わせた造語で、女性の健康課題の解決を目指す商品やサービスのことを指す。デリケートゾーン用ソープに吸水ショーツ、月経管理や妊活用のアプリとその種類はさまざまだ。フェムテックの広がりとともに、若い女性の婦人科の受診率が増えつつある。悩みに応じたフェムテックを取り入れたり、医療機関で定期的に診てもらったりすることが、毎日を心地よく過ごすために大切だと産婦人科医の対馬杏奈さんは話す。

 「20代と30代では自然妊娠率が大きく変わるだけでなく、30歳を過ぎると子宮内膜症や子宮筋腫などのリスクが高くなります。子どもを産みたいと思って婦人科を訪れたら病気が見つかった……という例も少なくありません。妊娠経験がなく婦人科には何年も足を運んでいないという方は、知らないうちにできた疾患を放置してしまっている可能性もあるので、一度受診してみるのがよいと思います。それに、女性ならではの不調の程度は人それぞれ。月経周期や生理痛の程度や変化を観察し、気になる症状があれば、“いつものことだから”と我慢したり恥ずかしがったりせずに婦人科へお越しください」

 小さな違和感なども相談できる、かかりつけの婦人科医がいるとさらに安心だ。
「医療機関を転々としていると、経過や過去の検査内容などをクリニック側も把握しづらくなってしまいます。また、ひとりの婦人科医が診ることで、些細な変化や症状の悪化にも気づきやすくなります」

生理前の症状がつらいなら、ピルを飲むのもひとつの手段。

 PMS(月経前症候群)に悩まされている女性は多い。原因ははっきりと分かっていないが、排卵から月経までの期間に多く分泌されるエストロゲンとプロゲステロンという2種類の女性ホルモンが激しく変動し、心身の不調を引き起こすといわれている。

「妊娠をするうえではこのホルモンの波が不可欠ですが、気分の落ち込みやイライラなどの症状のせいで日常生活に支障が出ているなら、低用量ピルを服用するのも選択肢のひとつ。ピルというと生理不順がある人や深刻な生理痛に悩む人のものと考えてしまいがちですが、婦人科診療ガイドラインでも推奨されている処方なので、医師に相談のうえで体に合っていると確認できれば、もっと気軽に取り入れてよいのです」

 さらに、低用量ピルを服用することは更年期障害への備えにもなるという。

「更年期障害の治療として最も知られているのが、ホルモン補充療法です。年齢とともに減少する女性ホルモンのエストロゲンを補うことで、変動の波を緩やかにし、症状を和らげるというもの。ホルモン補充療法の開始が遅れると、人によっては効果を感じづらい場合もあるため、早めの対策がよいとされています。低用量ピルは、血栓症(血管内で血が固まり、血管がつまる病気)の副作用のリスクが上昇することから、40歳を過ぎてから飲み始める場合は注意が必要です。なるべく若いうちから低用量ピルを飲み始め、50歳手前を目安にピルよりもエストロゲンの活性が強くないホルモン補充療法へと切り替えれば、心身の健やかさに必要なホルモンを補充し続けることができて、不調をほとんど感じずに済むかもしれません」

妊活中に大切なのは、心のケアを怠らないこと。

 妊活を始めるときも、早いうちから婦人科を頼りにしよう。プロのフォローがあれば効率よく取り組めるのはもちろん、客観的なアドバイスによって、思うようにいかないときにも少しは心を軽く保てるかもしれない。

「妊活中は体にばかり意識が向きがちですが、心のケアをしっかりと行うことも忘れないで。ピルや鎮痛剤を服用できない妊活期間は、もともとあったPMSや生理痛に悩まされながら、望むとおりに妊娠できないフラストレーションも重なり、人によっては心身ともにかなりつらいものになるはずです。私も不妊治療の末に出産をしましたが、不妊治療中から妊娠期間、そして産後の現在まで、自分で自分のメンタルをいかに上げられるかが大事だと実感しています。悲しいことや大変なことに意識が向きすぎると、ホルモンの影響も相まってネガティブな沼から抜け出せなくなってしまう。気持ちが沈んでいると気づいたら、意識的にポジティブに考えるようにすると楽になりますよ。おいしいものを食べたり、家族や友人と楽しい時間を過ごしたり、小さなことでよいので自分自身を励まし、リラックスさせられる方法を持っておきましょう。かかりつけの婦人科医に相談することも、心の揺らぎを落ち着かせるのに役立つはずです」

 生理にまつわる悩みから妊活、更年期障害まで、人には話しにくいあらゆる不調を相談でき、心地よく解決する手立てを教えてくれる婦人科は、いわば究極のフェムテックだ。もっと気軽に、もっと賢く利用して、女性ならではの体の変化や心のモヤモヤとうまくつき合っていこう。

ちゃんと知りたい
KEYWORD
不調の原因はもしかしてこれ?
体調や気分が優れないとき、女性ならではの不調を疑おう。頭に入れておきたい症状をピックアップ。

【PMS(月経前症候群)】
生理前に3〜10日間続く精神的または身体的症状。イライラ、抑うつ、不安感が現れたり、腹痛や頭痛、むくみや胸の張りに悩んだりする人が多い。

【子宮内膜症】
子宮の内側を覆っているはずの子宮内膜が、卵巣や腹膜などに発生する疾患。月経時の血液を排出せずにためたり痛みをもたらしたりし、不妊症の原因に。

【子宮筋腫】
子宮を構成している筋層にできるコブのような良性腫瘍を子宮筋腫と呼ぶ。月経量の増加や月経にともなう下腹部の激しい痛み、貧血などが主な症状。

【更年期障害】
女性ホルモンが揺らぎながら低下する更年期(閉経前後の10年)に現れる、程度が重い症状のこと。ほてりや発汗、動悸のほか、気分の落ち込みや不眠など。

information
〈対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座〉
〈対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座〉

体と心のケアをトータルで考え、患者一人ひとりに寄り添ったカウンセリングを行う。年代別の女性のための検診メニューも充実。●東京都中央区銀座2-6-5 銀座トレシャス7F 03-3538-0270(予約制)@lifeclinic.ginza

〈LIFE HACK2〉 薬膳料理で不調を整える。

中国の伝統医学の考えに基づいた薬膳料理は、体の不調を整える効果が絶大。体を温めてくれるので冷え対策にも◎。

 銀座、六本木に店を構える中国雲南料理店〈御膳房〉の人気メニューをリーズナブルに提供。〈御膳房〉ではコース料理でしか味わえない「薬膳キノコ鍋セット」をここでは1人前から手軽に楽しむことができる。中国から招聘したシェフが作る料理はどれも絶品。さらにヘルシーなお粥や、最高品質の自然素材をブレンドした薬膳茶など、女性にうれしいメニューが盛りだくさん。

消化を助けて食欲を増進!薬膳系ドリンクも満載。

食材を味方に POWER FOOD
手に入りやすい薬膳食材。
薬膳料理によく用いられ、女性にうれしい効果が高い薬膳食材がこちら。今が旬のキノコも神食材!

【クコの実】
「不老不死の実」といわれる万能フルーツ。
カロテン、ビタミン類、カルシウムを多く含む。冷え症の改善のほか、抗酸化作用があり、アンチエイジングにも。

【ナツメ】
世界三大美女・楊貴妃も愛した美容の果実。
エストロゲンの分泌を促し、女性ホルモンのバランスを整える。鉄分、葉酸を多く含み、貧血の人にもおすすめ。

ーキノコも立派な薬膳ですー
食物繊維、ビタミン、ミネラルを多く含み、腸内環境を整える作用が。さらにビタミンDも豊富で、免疫力向上に効果的。

ここで食べられる!
〈168点心飲茶&薬膳鍋渋谷ヒカリエ店〉
〈168点心飲茶&薬膳鍋渋谷ヒカリエ店〉
食べて内側からキレイに。

名物の薬膳キノコ鍋と、医食同源の理念に基づいて本場一流点心師が手作りする点心・飲茶が味わえる人気店。

住所:東京都渋谷区渋谷2-21-1 渋谷ヒカリエ6F 
電話番号:03-6805-0959 
営業時間:11:00〜21:30LO 
休業日:休みは施設に準ずる

〈LIFE HACK3〉 悩みのないデリケートゾーンに。

繊細な部位をケアすることに特化した、最新のデリケートゾーン用アイテム。取り入れて毎日を気持ちよく過ごそう。

LEARNING〉覚えておきたい、私の体に関すること。

1. 正しく洗っていますか?デリケートゾーン。

 洗浄力の高いボディソープで腟まわりを洗うのは絶対NG。乾燥するだけでなく、腟内を健やかに保ってくれる常在菌類を洗い流してしまい、その結果、強いかゆみをともなう腟ガンジタやおりものが増える細菌性膣症などのトラブルを引き起こす可能性も……。弱酸性のデリケートゾーンに合わせてつくられた、専用のソープを活用しよう。加えて、洗いすぎにも要注意。腟内は避け、まわりを優しく洗うだけで十分だ。

2. 知っておこう、低用量ピルのこと。

服用のメリット〉

1. 生理周期の安定 2. PMS(月経前症候群)の改善 3. 子宮内膜症などの予防


 ピルとは、エストロゲンとプロゲステロンという2種類の女性ホルモンを配合した経口避妊薬のこと。飲み続けることで排卵を抑制し、避妊効果が得られるのはもちろん、ほかにもよいことがたくさん。生理周期が規則的になり、女性ホルモンのバランスが整って月経前のイライラや頭痛など、PMSの症状を落ち着かせられる。また、ピルを服用している間は子宮内膜を薄く保てるため、経血の量を減らすことができ、貧血の予防や子宮内膜症のリスク軽減にも。

GOOD STUFF
膣の衰えを治療で解決。
膣の衰えを治療で解決。

エイジングケアの一環として話題を集めているのが、婦人科で受けられる先進的な治療。腟粘膜のコラーゲン再生を促してうるおいを取り戻すことで、乾燥や性交痛を緩和する「腟レーザー」や、腟のゆるみや尿漏れの改善にはマシンを使った「骨盤底筋トレーニング」がおすすめ。日々情報をアップデートし、最新のフェムテックを取り入れている婦人科にゆだねれば、加齢による心配事やストレスさえも軽やかに解決できそうだ。

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