花や日用品との組み合わせが楽しい。 京都で新しい視点を発信する店主たち。自由で新しい骨董を楽める3軒
古くて味わいのあるものを、DJのように自分の選びでリミックス。新しい視点を発信する店主が、骨董の聖地・京都で注目を浴びている。従来の選択眼ではなく、あえて「こっとう」と呼びたい、彼らの世界へ。
1.肩書きから解き放たれた古いものの物語に耳を澄ます。〈古い道具〉/等持院
京福電鉄がのんびり走る等持院の住宅街。店主・冨永淳さんの住まいの一角で、週に1日だけオープン。冨永さんは、木工作家・三谷龍二さんが監修する企画展『弱さの工芸』(2018年2月に東京で開催)にも、現代工芸家とともに参加。
代や国籍、時には用途も不明な古いものたちには値札すら付けられていない。写真は、アルミの水筒(15,000円)、丸い石。光に透かすと気泡やゆらめきが見える小さなグラス。
床には年代不詳の古い土器が。
名もない古いものを取り上げて、純粋に風合いや形へと目を向けさせてくれるセンスは、ものづくりの作家たちをも刺激する。無国籍な柄が描かれた漆器の皿、1枚3,000円
店は住宅街にある自宅の1階。
〈古い道具〉
■京都府京都市北区等持院南町68-1
■電話番号非掲載
■11:00~17:00
■土曜日のみ開店
2.「現役の古いもの」を使って昭和の生活を感じる。〈倉日用商店〉/堀川下立売
店主・木村一彦さんが各地を回って集めた昭和~大正時代の日用品は全て使われないままに倉庫などに眠っていたデッドストック、つまり新品の古いもの。
昭和の雑器を「荒物屋」という業態ごと再現するスタイルは、東京の百貨店、台湾で開催している企画展でも共感を呼ぶ。ずらり、荒物屋ワールド。
大量生産された生活雑器のほか湯町窯、小鹿田(おんた)焼など民藝の器もそろえる。厚手で保温性抜群。砥部焼の茶漬け碗 1,680円~
宮城県の弥次郎えじここけしは1,980円~。奥にカフェスペースがあり、懐かしい道具に囲まれて地ソーダやコーヒー(200円)を。
吹き付け、手描き、印判など様々な手段で絵付けを施した昭和の飯茶碗(300円~)
〈倉日用商店〉
■京都府京都市上京区堀川下立売上ル4-55 堀川商店街内
■075-841-7304
■10:00~19:00
■水休
3.花と一緒に楽しむあこがれの古いうつわ。〈みたて〉/紫竹
紫竹で5年前にオープン。空間デザインを学んでいた西山隼人さんが「花と骨董はお互いを引き立てあうベストパートナー。それがなぜ同じ店で売られていないのか」という素朴な疑問から始めた、花と古い器の店。
花器にすすめる古陶磁は、傷があったり割れたりしていても、草花に映える手頃な価格のものを選んでいる。弥生時代の土器や須恵器に「野にあるように」入れた山野草。
一輪挿しに使える下段左の小壺は右・中国13,000円、左・安南13,000円
花を花器ごと贈り物にする人や、寄せ植えを自分のために買う男性のお客さんも多いそう。燭台を花器に見立てて。
朝鮮の副葬品木偶(モグ)は店の守り神。
〈みたて〉
■京都府京都市北区紫竹下竹殿町41
■075-203-5050
■12:00~17:00
■日月休(臨時休業あり)
ナビゲートしてくれたのは…。
沢田眉香子(さわだ・みかこ)/フリーライター&編集者。
得意分野はアート、骨董、陶芸。著作に『京都うつわさんぽ』(光村推古書院)、『京都こっとうを買いに』(京阪神エルマガジン社)ほか。
(Hanako1154号掲載:photo : Makoto Ito text : Mikako Sawada)