きゃりーぱみゅぱみゅの大人なLADYになるわよコラム ~第61回お腹の容積が足りないわよ~
きゃりーぱみゅぱみゅが「大人なLADY」を目指す日々を綴る連載。おかげさまで、話題沸騰です。今回は妊婦生活について。
第61回 お腹の容積が足りないわよ
皆さま、ごきげんよう。妊娠後期になってお腹がだいぶ大きくなってきた、きゃりーぱみゅぱみゅです。
おかげさまで今のところ母子ともに健康です。今日も赤ちゃんはお腹の中で元気に動き回っています。
ただ、赤ちゃんが大きくなって私の胃袋を圧迫するので、一度にまとまった量の食事をすることができなくなってきました。
胃がめっちゃ気持ち悪くなって、吐き気をもよおしてしまうんですよね…。
つい先ほども帰宅後に横になっていたら、食べたばかりのペッパーランチがもう喉元まで逆流してきたので焦りました。
もはや私は蓋のないボトルみたいな状態です。倒すと漏れます。
だから、どか食いダメ絶対。食事は一気に食べるのではなく、小分けにして回数を増やすように心がけています。
あと、胃袋だけでなく、赤ちゃんって膀胱も容赦なく押してきます。
もともと私は体質的に頻尿気味ということもあって、こないだはそれでマジで地獄を見ることになってしまいました…。
その日、出産前では最後の出演となるお仕事のために、埼玉県の越谷にあるイオンレイクタウンへ車で向かっていた私。
最近はいつもの頻尿に輪をかけてトイレが近くなっている実感もあったので、もちろん家でちゃんとトイレを済ませてから出かけていました。
ところがその日はあいにくの大渋滞。
まったく車が動かないので、出演時間に間に合うのかヒヤヒヤするようになりました。
と同時に、だんだんお腹の下のほうもヒヤヒヤする場面が多くなってきたような…。
尿意です。
家でしっかり出してきたはずなのに、お腹にいる元気な赤ちゃんがサンドバッグ代わりにめっちゃ私の膀胱を蹴飛ばしています。
もちろんヒヤヒヤを感じ始めた時点で、車を運転しているマネージャーさんに「次、パーキングあったら停めてください」と伝えてはいたんですけど、車はまったく動きません。
普段なら伝えてから5分くらいで行けるはずのトイレにたどり着くことができず、かといって路上でするわけにもいかないしで、完全に窮地に立たされてしまいました。
「あ、これ、ほんとにやばいやつかも…」
回らぬタイヤ、膨らむ膀胱。もう限界中の限界です。
ついに私は、勇気を振り絞って車中の皆さんに緊急事態を宣言しました。
「ちょっと車の後ろのほうでペットボトルとかにしてもいいですか?」
その声を聞いて、すかさず車内BGMを爆音にしてくれた運転席のマネージャーさん。
そしてコーヒーをクッと飲み干して、スッと空けた紙カップを差し出してくれたメイクさん。
み…みんな、ありがとう😭
声にならない応援を背に、私はバトンのように渡されたカップを握りしめて、車の一番後ろの席へと移動。
そこで恥ずかしながら、トライしてみました。
はたしてカップで微笑んでいる女神のロゴは、勝利の女神となってくれるのか?
結果は…、出ず!
いや、おかしいぞ? カップを装着して再トライ!
…してみるものの、やはり出ず!!!
脳が完全にストップをかけています。
おそらく「こんな環境では出せない」という指令を尿道の筋肉とかに出しているのでしょう。
尿意はめちゃくちゃあるのに、なぜか出せないというこの悲劇!
うおお、人体の不思議…と思いながら、何回か再トライをしていると、ふと、私がまだ高校生だったあの日のことが走馬灯のように思い出されました。
あのときも、これと同じことがあったんですよね。
それは伝説的な大雨が降った日で、学校から帰宅途中だった私は一人、尿意をもよおしていました。
しかし、めちゃくちゃ激しいゲリラ豪雨の中、なかなか見つからないトイレ。
もう体もびしょ濡れだし、カミナリもバンバン落ちてて怖いしで、ならばいっそのこと!
…と、大雨に紛れてお漏らししてみることに。
すると脳が「パンツをはいたままで出すのはNG」とストップをかけてきました。
ただそのときは、3分くらいかけて脳を説得するのに成功して、出すことができたんですよね。
(この話を女友達にするとわりと経験者が多いので、実は世の女子にとってこれは意外とポピュラーな行為だと私は思っています)
でも今は一人じゃないし、びしょ濡れのどさくさにできないし、しかも車という密閉空間です。当時とは状況が違いすぎます。
なのでもはやこれ以上、脳に対して説得を続けても難しそうだと断念。
諦めた私はイヤホンを耳に着けました。
現実逃避するときは、いつも決まって宇多田ヒカルを聴きます。
とりあえず『Automatic』を聴こうと思ったんですけど、尿がオートマティックしたらまずいと思い直して、最終的に『First Love』を再生。
しかし、サビの盛り上がりで膀胱をギューッと絞られる感覚がして、この曲も今じゃないことが判明しました。
結局、そこから車を降りるまでに、20分くらいかかったと思います。
いや〜、その時間がほんとに長かった…。
道すがらのドラッグストアの駐車場にたどり着けた金曜の午後。
目指すはもちろんトイレなんですけど、駆け込むと漏れてしまいそうな衝動だったので、水で満杯のバケツを運ぶかのようにソロリソロリとトラベリンしました。
あとで聞いたら、そのときの私の様子は歩き方もおかしいし、目もいっちゃってて、ほんとやばい人だったみたいです。
とはいえこれが初デートで、しかも大とかじゃなくて、ほんとよかった。
「ちょっと後ろでしていい?」なんて絶対言えないし、想像するだけで地獄すぎます。
とまあ、そんなわけで今回の経験を通して、私はHanako読者の皆さんにこれだけは伝えたいということがあります。
それは、はたから見たらすごく順調で幸せそうな妊婦さんのSNSであったとしても、実はみんな裏ではこういう大変な思いをそれなりにしているということです。
赤ちゃんに胃袋を押されて吐きそうになったり、膀胱を蹴られておしっこ漏らしそうになったり。
足もつりやすかったりするし、それこそ以前ここでお伝えした切迫流産みたいな経験をする場合もあるし、あるいは母親と衝突してしまうこともあります。
もちろん幸せを感じる瞬間もあるけれど、妊娠ってそれと同じくらい精神的にナーバスになりますし、実際はマジで試練の連続なんですよね。
お産の痛さは「鼻からスイカを出すレベル」って例えられるくらいですし…。
ただみんな、大変さに関して投稿や発言をしないだけで、水面下では白鳥みたいにあがいている毎日なんだと思います。
そう考えると、5人を産んだうちの母方のばーちゃんってほんとにすごすぎますよね。
あの十月十日を5回もやるだなんて…。
たった1回だけでもこんなに不安で大変なのに、来年も妊娠するとかマジで無理すぎる。
しかも妊婦仲間で苦労を分かち合えるSNSとかネット掲示板とかもなかったわけだし、基本的にたった一人で×5するわけですよね?
いや〜、タフすぎますよね。昔の人って。
「母は偉大なり」と言いますけど、まさに「母の母はもっと偉大なり」。
車でカップにおしっこ出せないとか言ってるようじゃ、まだまだなのかもしれません。