メイクに正解はない。普段使いのメイクポーチの中身を公開!|前田エマの、日々のモノ選び。#15
30代という年齢は、“モノを選ぶ眼”が育ち養われてくる年齢ではないだろうか?流行りものやブランドものではなく、自分が心地いいモノを選びたい。生産の背景を知り好きになるモノだったり、多少値が張っても人生をかけて大切にしたいと思えるモノだったり…。そういった視点でモノを選ぶ前田エマさんが、ご自身の私物とともに「モノの選び方」について綴る連載です。第15回目は“メイクアイテム”について。
大学を卒業するまでメイクをほとんどしたことがなく、今でも心の中では「初心者」だという感じでやっているのだが、ここ数年、少しずつメイクへの興味が少しずつ高まっている。
それは、20代の頃とはまるで違う肌のくすみ具合や、血色など、自分の年齢のことも関係していると思うが、10年近くこの仕事をしてきて、さまざまなヘアメイクさんとお仕事をさせてもらう中で、メイクに正解なんてないことや、自分だけの心地よさがあることに気がつき始めたからだと思う。
昨年、韓国に留学している時に、コスメストアに行く楽しさを覚えたり、韓国のヘアメイクさんと仕事をしたりする中で(この様子は、私の書籍『アニョハセヨ韓国』にも収められているのだが)、メイクというものへの向き合い方や、美しいということについての価値観の違いに触れた。 そんな体験を通して、現時点での私なりのメイク、というより、どんなアイテムを使っているのかについて、今回は書いてみようと思う。
ベースメイク
日焼け止め
1年前くらいから日焼け止めとして使っているのは《Cell FusionC(セルフュージョンシー)》。
韓国留学中に、友人から薦められて使い始めた。化粧下地としても使えるので、面倒臭がり屋の私にピッタリ。
普段の生活では、これを塗って、色付きのリップバームを塗って出かけるくらい、シンプル。
この日焼け止めは、うっすらピンク色なのでトーンアップできるし、透明感も増すような気がする。
個人的に、日焼け止め特有の重さや、伸びの悪さ、乾燥のしやすさをあまり感じないので、かなり気に入っている。
コンシーラー
コンシーラーのようにして使っているのが、《舞妓はん BBリキッドペン》。
私はファンデーションが苦手なので、基本的に使わない(撮影や人前に出る時は、ファンデーションを使う時もあるけれど…)。
こちらはコンシーラーではないので、カバー力はそれほどないのだけれど、逆に私にはちょうどいい。
くすみやクマ、ニキビ痕、小鼻の周りの赤みなどを、これを使って薄くする。
“薄くする”というのがポイントで、きれいに全部を隠そうとしない。
欠点を完璧にカバーするというよりも、清潔感や健康感がアップするくらいでいいと思っている。ペンシルタイプなので使いやすく、もちろんBBクリームとしても使えるので重宝する。
《リレイトスキン コンシーラー》は、撮影や人前に出る時などの、しっかりカバーしたい時に使う。
濃淡の違う二色を重ねたり、混ぜたりしながら使えるので、様々な箇所、状態に対応できる。上品で控えめなラメ感のあるハイライトもついているのも、メイクの幅を広げてくれる。
ちなみに、ファンデーションや日焼け止め、BBクリームなどを薄く均一に塗りたいときに重宝するのが、ボビーブラウンのブラシ。
初めて使った時の感動と言ったら!パフしか使ったことのない私は、道具を変えるだけでこんなにも仕上がりが変わるということに驚いた。
ルースパウダー
ルースパウダーは〈ナチュラグラッセ〉。
冬は乾燥が気になるのでポイント使いのみだが、夏は非常にお世話になる。
皮脂でテカテカしがちな肌を、上品に保ってくれるし、化粧ヨレからも守ってくれる。
顔周りに薄くはたけば、汗で髪の毛が肌につきやすいのを軽減してくれる。
個人的には、パウダーをパフで付けず、ブラシを使う。粉の塗りすぎが防げるし、軽さが出るのだ。
私が愛用しているのは、〈THREE〉のブラシ。柔らかくて使っていて心地よく、大きすぎないのにいい具合にパウダーを含んでくれる。先がシュッとなっているので、細かい部分にも使い勝手がいい。
昨年、韓国留学中に手に入れて愛用しているのが〈hince〉のバームだ。
私はマットな肌よりも、潤った感じの肌が好きなので、もともと頬骨にリップバームなどを塗ってウルッとした感じを出したりしていたのだが、どうしてもべたつきが気になっていた。
このバームは、ネチョっとしたテクスチャーではないので、想像以上にサラッと使える。
アイブロウメイク
アイブロウパウダー
ずっと眉毛のメイクには苦手意識があったのだが、〈Celvoke〉のアイブロウパウダーに出会って、世界が変わった。
以前、この連載にも書いたが、07番の真ん中のピンクは、魔法の色だと思う。眉毛にピンクだなんて、なんだか浮いてしまいそうだが、黒眉が持っている青みがやわらいで、垢抜ける。
眉毛の長さや濃さが足りない部分は、このパレットのブラウンを使って整える。
眉に色を乗せる時は、太めのブラシを使うと、かっちりしすぎないのでいい。
なぜかというと「左右の眉が均等か?」とか「形が変じゃないか?」とか、そう言ったことに囚われずに済むからだ。
以前、この連載で教えてもらってから、自分でも愛用している〈Uneven〉のブラシは、サイズ感も、硬さも、値段も丁度いい。
アイブロウペンシル
眉をキッチリ描きたい日や、逆に少しだけ整えたい日にはペンシルを使う。
〈ロムアンド〉のペンシルは1本で、ブラシ、パウダー、ペンシルの3役がこなせるのだが、特筆すべきはペンシルの細さ。
眉毛を1本1本描けるくらい細いので、毛が不揃いな部分に書き足したりするのにちょうどいいし、形をきちんと描きたいときにも、細さのおかげでぬけ感が出てくれるような気がする。
眉マスカラ
私は透明の眉マスカラが好きだ。
パウダーやペンシルで描いた色を邪魔しないというのも推しポイントなのだが、そのままの眉に使うのも好きだ。毛流れだけで眉の雰囲気を変えるのがとにかく楽しい。
〈hince〉の眉マスカラは、テクスチャーもキープ力も丁度いい。テカテカしすぎないのも好きなところ。パウダーやペンシルを使った日に、毛流れを整えるために仕上げで使用することが多い。
〈Laka〉はかなりハードなテクスチャーで、ワックスのようにキープ力があり、がっちりしている印象。私がこれを使うときは、眉毛をワイルドな感じで立たせたい時や、いつもと違う雰囲気の毛流れを作りたい時。そんな時は、あえてパウダーやペンシルは使わない。
マスカラ
〈デジャヴ〉のマスカラは、小さなまつ毛もキャッチしてくれて、丁寧に一本一本を際立たせてくれるから好き。厚塗り感もなく、自然な感じだからいい。私はいつもブラウンを使う。
ファミリーマートのコスメ〈SOPO〉は小さなサイズだから、冒険するような色やアイテムでも試しやすいところが気に入っている。赤色のマスカラは、大のお気に入り。
カラーマスカラを塗る時、私はアイシャドウは塗らない主義。
ポイントメイク
コスメの中でもリップは、いちばん気軽で使いやすいように思う。
たくさんメイク道具を持っているわけではない私でさえも、いくつか揃えている。
服に合わせて、リップの色を変えるくらいなら私にもできるし、それだけでおしゃれが楽しくなる。
ヘビロテしているのは〈Hersteller〉のリップバーム。リップクリーム感覚で使えるし、唇がカサカサしない。薄づきなので、少し血色をよくしたい時に丁度いい。
お守りのようにいつもカバンに入れている。
〈MUZIGAE MANSION〉のリップティントは、韓国留学中にとても流行っていたので、買ってみたのだが、絶妙なくすみ感のカラーが気に入っている。ポーチに入っているだけでテンションの上がるデザインもいい。
〈OSAJI〉のアイシャドウパレットは、お世話になっている方からプレゼントでいただいたのだが、これと出会ってメイクの幅がグンと広がった。
パレットと聞くと、メイクをガッツリする人のためのアイテムだと思っていたのだけれど、色を選ぶことに対しての選択肢があるというのは、想像以上に楽しいことだった。
私は資生堂のブラシを使って塗っている。ベタっと塗らずに済むし、細く線が引けるので、繊細な雰囲気が出せる。
〈OSAJI〉のニュアンスフェイスカラーは、チーク、リップ、アイメイクにも使える名品。絶妙な色合いが好きで、指で塗ったり、ブラシで塗ったり、重ね具合を変えたりしなが、自分好みに使えるのがいい。
その時々の自分の生活や肌の具合、季節や気分にしっくりくるメイクを探していきたいなと思う。
1992年神奈川県生まれ。東京造形大学を卒業。オーストリア ウィーン芸術アカデミーの留学経験を持ち、在学中から、モデル、エッセイ、写真、ペインティング、ラジオパーソナリティなど幅広く活動。アート、映画、本にまつわるエッセイを雑誌やWEBで寄稿している。2022年、初の小説集『動物になる日』(ミシマ社)を上梓。6月20日に韓国カルチャーガイドブック『アニョハセヨ韓国』(三栄)を刊行。
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