「ヒット商品を生むのは、自他の意見の融合バランス!」 人気コーヒーをブランディング!〈UCC上島珈琲〉油谷奈津子さんの仕事哲学とは?
Hanako創刊30周年特別企画『働くことと、生きること。46人の、転機と決断。』「企業で働く女性白書」では、エンタメから食といった様々な企業で自分らしく輝く女性8人にフォーカス。そんな充実の誌面より、人気コーヒーシリーズのブランディングを手掛ける〈UCC上島珈琲株式会社〉油谷奈津子さんをご紹介します。彼女は日々何を考え、どのように解決していっているのか。「仕事ぶりがすごい!」と言われる、その気になる秘密に迫りました。
油谷奈津子/「BEANS & ROASTERS」シリーズのブランディングを担当。当番の社員が社への来客や社員にとっておきのコーヒーを提供する「コーヒー店長」システムがあり、その一杯が息抜きに。
今年で入社9年目となる油谷奈津子さん。今の会社を選んだのは、海外と関わりがある仕事ができるということが、大きな理由だったそう。
「学生時代は、バックパックで旅をするなど海外に行くことが好きで、気がつけば海外に携わる職場で働きたいと思っていました。特にコーヒーは、私たちの生活にはもちろん、どこの国にも文化として根付いているもの。そういう身近な存在というところにも惹かれました。入社して最初の2年は営業を、今は商品のブランディングを担当しています。商品のイメージの決定や、パッケージなどデザインの発注、プロモーションなどを手がける業務です」
感覚とデータの両方を判断材料にしています。
経験を通じて、仕事をするときに気をつけていることがある。それは、商品を作るときに、自分の感覚だけを頼りにして進めない、ということ。
「人それぞれに好きな感覚は違うし、実際、パッケージひとつを選ぶにしても、周りの人に聞くといろいろな意見が出てきます。だから、自分を含めた数人でジャッジをしたり、データや数字を大事にするなど、みんなが納得できるような決断を心がけています。商品への思いが強いと、つい、感覚で押し通したくなってしまうけど、ぐっと我慢。結果、いい反応が返ってくると〝よし!〞となりますね。以前、20〜30代の女性をターゲットにした商品を作ったときに、SNSに写真をあげてくださったり、〝このブランドが好き〞と書かれているのを見たときはうれしくなりました。反応をいただけるのは、仕事をしていて幸せなことです」
油谷さんはメールで用件を伝えた後には電話をして、内容に齟齬がないかを確認する。「メールだけでは伝わりにくいニュアンスを誤解のないように伝えるため」という。また、周りの意見をちゃんと聞きたいと思うのは、壁にぶつかったときも同じ。
「たとえばアイデアが出なかったり、考えがまとまらないなど一人では難しいと思ったら、同僚や上司に話を聞きます。すると、アイデアが浮かんだり、こんがらがっていた情報が整理できて答えが見えることがあります。担当していた商品のプロモーションのためにイベントを開くことになったときも、初めての経験で不安だらけでしたが、いろんな人に助けてもらい、いいイベントにできました」
同期の岡田郁恵さんは、「そのイベントは大盛況でした。油谷さんは調整能力がすごく高い人で、上司や同僚の意見をそれぞれに取り入れ、まとめながら、大きな壁を乗り越えていました」と感心していた。
製品やコーヒー文化をもっと広めていきたい。
趣味であるサイクリングをしている最中にも、「気になるカフェがあるとすぐ立ち寄り、リサーチをしています」と言うくらい、常に仕事のことを考えている油谷さん。
「生活の中で仕事の優先順位は高いし、自己実現ができる場として、ずっと続けていきたいと思っています。2年前にフィリピンへ研修留学に行き、向こうのオフィスやカフェで働いたのですが、それがすごく楽しかった。海外にUCCの商品が広がっていることを実感として得られたのもうれしかったです。将来的にはもっといろいろな国に、自社の製品やコーヒーの文化を輸出していくことが目標です」
ほかの人と差をつけるアイデア
①ブルーライトカット眼鏡で日々の疲れを軽減!
パソコン作業時に愛用しているのが、ブルーライトカット眼鏡。「かけ始めてから眼精疲労はもちろん、体の疲れ方が変わり、楽になりました。作業の効率も上がった気がしています」。細やかな体調管理も能力のうち。
②友人からもらったペンを気持ちの切り替えスイッチに。
仕事で嫌なことがあったり、ちょっと疲れてしまったときに手に取るのは、友人からプレゼントされた名前入りのかわいいペン。「これを見ることで“よし、もう少し頑張ろう…!”とモチベーションが上がります」
③担当した製品は近くに置いて常に観察&改良点を探す。
デスクには、自分が手がけた製品を並べて、常に視界に入れておく。「いつも観察できるようにすることで、思わぬタイミングで改良すべきポイントや、次に作るアイテムに生かせるヒントが見つかりやすくなります」