LIFEHACK JOURNAL エアコンのニオイを約1,000円で解決!湿気対策アイテム4選
働く女性に役立つ情報を月替わりで紹介。今月は「湿気対策」について。カラッとさわやかな時期を経て、もうすぐ梅雨に突入。気づけば水回りやお気に入りの服にカビが…! なんてことがないよう、湿気対策は入念に。
INTERVIEW
空気の流れを作って家の中を快適に。湿気に負けない自宅環境の作り方。
梅雨の時期といえば、ジメジメ、ムシムシ…と悩ましい湿気。特に家の中の対策を怠ってしまうと、住環境自体にとどまらず、私たちの健康リスクも高まる。基礎知識とすぐできる対策とは。
もうすぐ梅雨のシーズンが到来。高温多湿の日本では、5月後半~7月にかけて降水量が増え、さらに気温が高くなることで、この時期特有の肌にまとわりつくような〝ジメジメ〟とした湿度の高い日が続いていく。「雨がたくさん降る季節になればなるほど、家の中の湿度にも影響します」と話すのは、部屋の湿気対策など、暮らしにまつわる執筆や監修、アドバイスを行う藤原千秋さん。住んでいる地域や住宅環境によっても、湿気のたまりやすさは左右されるという。
「湿気は地面に近いところにたまりやすいもの。2階より1階、さらに地下の方がたまりやすいと、なんとなく想像がつくかと思います。また、家の立地や標高にも同じことがいえ、例えば海抜ゼロメートル地帯(=下町)と、山の手や武蔵野台地の丘の上など標高が高いところでも差があります。暗渠といわれる、昔の川が埋め立てられている歩道や道路が多くあるエリアや、川のそばも湿度が高くなる傾向にあります」
湿気がたまる原因の一つは、風通しの悪さだ。日本の住居の変遷を辿ってみても、現代の住まいは湿気がたまりやすい構造になっていると話す。
「エアコンがない時代は湿気がこもらないよう、竹ざるのような風通しのいい造りの住宅が中心でした。しかし、ここ20~30年は地球温暖化による気温上昇もあり、エアコンを使うのが当たり前になった。そうなると、エアコンの効きが良くなるよう、気密性の高い家、例えるなら密閉容器の中に住むような住宅が増えた…という流れです」
湿度が高くなることで、引き起こされるリスクを知る。
では、湿気のたまった環境に居続けると、私たちにどんな影響があるのだろうか。大きく2つの可能性を挙げてくれた。
「一つは、住宅への影響です。日本の一戸建てのほとんどは木造建築。湿度の高い場所を好むシロアリやカビが繁殖して木材の腐朽が進むと、住宅強度が低下し、自然災害による倒壊のリスクも高まります。そしてもう一つは、健康への影響です。湿度が高くなると、人体は熱を適切に放出できず、体内に熱がこもってだるさを感じたり、発汗による体温調節効果が下がって熱中症のリスクが高まります。また、湿度が高い状態は、カビやダニが繁殖しやすい環境でもあります。カビの胞子やダニの死骸、フンなどを吸い込むことでアレルギー症状を引き起こす場合も。梅雨の時期にくしゃみや鼻水が止まらず、花粉症かな? と悩む人がいますが、これはアレルギー反応というケースも多い。室内だけでなく、寝具やカーペットなど、カビやダニの巣窟になりそうなアイテムの湿気対策も必要です」
まずは、生活拠点となる場所に湿度計を置いてチェック。
目に見えない湿気と闘うため、まずは自分の家の湿度がどれくらいあるのか、数字を見て判断することが大切だという。
「私たちは、気温に関しては体感の指針を持っていますが、湿度はほぼあてにならない。同じ湿度環境でも、『今日は髪の毛がうねっているから湿度が高いかも』『喉の調子が悪いからきっと乾燥している』…など、人によって感じ方はそれぞれなのです。なので、家の中で普段よくいる場所、仕事場や洗面所、リビング、ウォークインクローゼット、寝室などに湿度計を設置し、数字として確認してみて」
湿度には、1㎏の空気中に含まれる水蒸気量を示す〝絶対湿度〟と、その時の温度の空気が保持できる水の量(飽和水蒸気量)に対して、溶け込んでいる水分の割合を指す〝相対湿度〟の2つの指標がある。市販されている湿度計は主に相対湿度を指し、これが50%ほどに保たれると快適に過ごせるという。
「夏の時期はさらに気温が高くなるので、50%でも熱中症のリスクがあります。夏に近づくにつれ、湿度は常に低めを心がけられるといいですね」
風の入口と出口を確保し、空気の流れを作る。
湿度を適切に保つには、まず家の中の風通しを意識することが大切、と藤原さん。空気の流れを作り出すため、活用したいのが24時間換気システムだ。
「気密性の高い家が増え、2003年から改正建築基準法によってどの住宅にも『24時間換気システム』の設置が義務付けられています。まずはこれを常につけておきましょう。風を通すには『入口』と『出口』が必要ですが、入口は窓や吸気口を開けて確保し、出口として24時間換気システムや換気扇を活用することで、風の流れが作られて、湿気がたまりづらくなります」
空気の循環を促し、部屋全体の湿度を調節した後は、風通しの悪い場所への対策も忘れずに行いたい。
「下駄箱、クローゼットといった扉が付いている狭い空間、キッチンや洗面所下の収納スペースなど水回りに近いところは、家の中で湿気がたまりやすい場所。市販の除湿剤を置いておくのも有効ですが、扉を少し開けて、たまにエタノールで拭き掃除をするだけでも違います。そして湿ったものや汚れたものをそのまま戻さず、一度乾燥させてから収納しましょう」
なかでも、シーズンオフになった靴やサンダルを箱に入れて保存する場合は注意が必要だ。
「乾燥しきれなかった状態で箱にしまっておくと、その靴自体がカビの温床になり、さらにカビを増やしやすくする原因に。また、靴自体にも、素材の加水分解が起こって靴底が剥がれたり、ボロボロになって履けなくなってしまったりするリスクもあるので、2~3日陰干ししてからしまうのがおすすめです」
そして意外と盲点になるのは、寝室まわりだ。人は寝ている間に約コップ一杯分の汗をかくため、寝具やマットレスに湿気がたまり、カビが生えやすい状態になっているそう。
「マットレスは定期的に裏表をひっくり返して使い、布団と同様に干したり、椅子に立てかけてサーキュレーターで風を当てたりして乾燥を促しましょう。ファブリック類はすぐに湿気を吸ってしまうので、速乾性のあるリネン素材を使うのもいいですね。湿気対策をしっかりして、快適に過ごせるおうち作りを心がけてみてください」
CHECK LIST
・特に湿気の溜まりやすいところ
・気づいたらできる湿気対策
水回りや日当たりの悪い場所のイメージもあるが、扉の付いている狭いところも要注意。除湿剤、吸放湿ができる珪藻土や炭などを置いておくと効果的だ。生乾きの洗濯物や汚れた靴などはそのまま収納せず、綺麗な状態でしっかり乾燥をさせてからしまうこと。食器やカトラリーなど、キッチンまわりのツールも、水気をなくした状態でしまうよう意識して。
SHOP
部屋の空気から毛髪まで、悩みを解決する小さな名品。
湿気と上手に付き合って快適に暮らすには、最新機能を備えたグッズを味方にしよう。バイヤー独自の目線で便利な道具を数多く扱う〈ロフト〉に売れ筋商品や注目のアイテムを教えてもらった。
気と向き合うのはこの日本で暮らす上での宿命。本格的なシーズンを前に、頼もしいグッズをチェックしておきたい。今回おすすめのアイテムを聞いたのは、生活雑貨専門店〈ロフト〉広報室の谷本知夏さん。「湿気対策グッズは通年取り扱っていますが、見慣れた商品も機能が少しずつブラッシュアップされています。これを機に、身の回りの品を見直してみてください」(谷本さん、以下同)
生活用品の中では群を抜く、シリーズ累計5500個近い売り上げを誇る〈コジット〉の「パワーバイオ」エアコン用や、珪藻土をベースにした新素材の〈なのらぼ〉のシューズドライは、薄型でさりげないのも取り入れやすいポイント。「日々商談するバイヤーは、ときにメーカーさんに『こんなものが欲しい』と提案することも。〈アイオン〉の『スッタ』は初め大きめの吸水スティックを紹介されたのですが、よりコンパクトなものはできないか、とお話ししたところ、クロスタイプが新商品として登場しました」
そして、美容にも強いのが〈ロフト〉。最後に、膨大な数のアイテムの中から、この時期におすすめのヘアケア商品も教えてもらった。
クリーニングしたエアコンのキレイを持続。
髪の水分量を制御し、うねりを改善。
一日履いた靴のムレを取り、臭いを軽減。
食器の自然乾燥もスマートに。
GOODS
半永久的な炭の力で調湿&消臭効果も。
湿気対策には欠かせない、炭のある暮らし。除湿効果だけでなく、空気中の水分を調整し、さらに消臭効果を発揮する優れものまである。半永久的に使えるので、環境にも優しくサステナブルなアイテムたちだ。
styling_Ami Kanno
illustration_Eri Masco
text_Ami Hanashima