エレクターラックを食器棚として代用! 料理のプロのオシャレなキッチン収納術
大阪府内でケータリング、料理教室、フードコーディネートなどを手掛ける料理家の吉島幸代さん。築80年の2LDKの一軒家をDIYしたキッチンアトリエを紹介してもらいました。
道具や器も配置を考えて美しく心地よく収納
ミシュラン二ツ星レストラン〈ラ・テンダロッサ〉などイタリアの名店で料理人として10年間腕をふるった後に帰国、現在は関西を中心に活躍するsacciこと料理家の吉島幸代さん。彼女が友人の建築家と共にDIYを駆使してアトリエを作ったのは2018年4月のことだ。
「その1カ月半後に大阪府北部地震が起こったんです。食器はほぼ割れ、アトリエも大打撃を受けました。そんな時、困った私を見かねた陶芸家の鈴木智尋さんが器を譲ってくれて…ほかにも多くの友人たちから支援を受け、助けられました。そのおかげもあって、新たに器を集める楽しみができた! なんてすぐに前向きになれたんです」
sacciさんは、アトリエ作りでも料理作りでも人との繋がりを大切にしている。例えばダイニングテーブルは、芸大教授の友人から学校で使わなくなったテーブルを買い取りリペア。スタッキングできるハイチェアは木工職人に注文した特製だ。
「食器棚は、とりあえずエレクターラックで代用してみたら、めちゃ便利やん! と思ってそのまま愛用。奥行きがあるので、奥側にレンガと板で高さをつけて取り出しやすく工夫しています。ほかにも、至る所にDIYのものだらけです」
では、肝心の作業を司るキッチン部分へのこだわりは?
「火口は5口、オーブンは2つ。1人で大人数のケータリングを任されることも多いので、どれだけ効率よく料理ができるかを最重要と考えました」
また、仕事柄、自然とツールは多くなる。例えば木べらは、お菓子用、ミートソース用、ホワイトソース用などに分ける。鍋はもちろん、オーブンもお菓子用と肉用の2つを設置する徹底ぶり。
「料理をする上では匂いや香りに注意しているので、自然とものが多くなるんです。イタリアでの修業時代に、玉ネギを切った包丁で、誤ってイチゴを切ってしまったことがあって。シェフに〝匂いがつくだろう!〞ってめちゃくちゃ怒られたんです。その時、料理は香りが大事! ということを叩き込まれました」
シンク周りに置かれるキッチンツールは、用途別の木べらのほか、ホイッパー、トング、ハサミ、包丁、ザルなど多種にわたる。それらを混ぜる、切る、水を切るなどの用途ごとに分けて、動線に無駄がないように配置。
「あと、毎日ちょっとずつ、さらに週1回はしっかりと掃除しますね。まとめてやらずに日々きれいにするのがモットーです」
愛着を持って使い込まれた道具やインテリア、ピカピカに磨かれたキッチンに、sacciさんの人柄が表れている。