ようこそ、パリのキッチンへ#5
【パリ在住日本人デザイナーがつくる、思い出を散りばめたポップなピンクキッチン】
キッチンは、どんな人にとっても生活に欠かせない大切な場所。誰かをおもてなししたり、夜中にちょっとお腹を満たしたり...。何気ないおしゃべりが生まれることもある。それは海の向こうの国、フランス・パリでも同じはず。
パリに移住したデザイナーの水谷優里さんに、パリジャン・パリジェンヌのリアルな最新のキッチン事情を4つのこだわりと共に紹介してもらう連載。
ゲスト...依智世
パリ在住11年目の日本人デザイナー。 3年前よりフランスの高品質なレースを使用したランジェリーと洋服のブランド【ichiyo】を立ち上げる。ランジェリーと洋服の境目をなくし、女性であることの喜びを体現できる洋服づくりを目指している。
遠く離れた日本の家族を想う、パリ在住日本人デザイナーのキッチン
バスティーユエリアにアトリエを構え、デザイナーとして多忙な毎日を送る依智世さん。毎週末は、近所のマルシェに出かけてお決まりの八百屋、チーズ屋、花屋、そしてアジアンマーケットに行くのがリフレッシュにもなる習慣だそう。
週2,3回はしているという自炊のほとんどが日本食か韓国料理で、外食する際には中華やナチュラルワインが美味しい、とっておきのお店に足を運ぶのがお楽しみ。行きつけは、Aux Mandarins de belleville、l’Orillonなのだとか。
また、2週間に一度は必ず近所に住む友人たちを招いて、蕎麦や天ぷらなどの日本食、ビビンバなどの韓国料理を振る舞うのも欠かせない習慣の1つ。 日頃の生活やおもてなしに使用する器類は、幼少期にお母様が運営していたという”母蓮”というギャラリーで扱っていた作家物がメインで、それらを引き継いで今でも大切にしている。
そんな彼女のキッチンや食に対するこだわりポイントは4つ。
①パリにいながらも、日本製の器類や弁当箱を愛用
自宅で使用する器類のほとんどが、日本から持ってきた愛着のあるものばかり。依智世さんが幼少期の頃、盛岡にあったというギャラリー"母蓮"でお母様が作家さんの企画展を開催していた時のものを愛用中。
また、気軽な軽食のバリエーションが少ないパリ生活では、お弁当を作ることもしばしば。日本から持ってきた秋田の曲げわっぱの弁当箱を使っている。 食べ物にほんのりと移る木の匂いが好きなんだそう。 ちなみにパリでは、ここ数年”弁当ブーム”が巻き起こっていて、今や”弁当”は誰もが知っているワード。
②キッチンは、ふるさとや家族、友人の温もり思い出す場所に
日本から遠く離れた地で長年暮らす依智世さんにとって、キッチンは家族との時間を思い出すことのできる空間。 そのため、キッチンの至る所に家族写真や、思い出の品を飾っている。特に気に入っているのは、依智世さんの門出に母の親友が書き下ろしてくれた書道だそう。
③フランス生活には欠かせない。絶品チーズとフルーツをストック
パリに住んでいても、やっぱり小麦よりお米が命!という依智世さん。そんな米中心の生活の中でも、夢中になっているのは、フランスならではの種類豊富なチーズ達。 これまで様々な種類のチーズを食べ比べた結果、一番のお気に入りはトリ ュフ入りのBrillant-SavarinとComtéに。
その他にも、マルシェにいけばフレッシュなフルーツを安く手に入れられるのもフランス生活の楽しみ。移住してから夢中なのは、いちごといちじく。チーズとの相性も抜群でアペリティフにも最適。
④いちごのアイテムやピンクの家電をコレクションする
実は、依智世さんの名前の由来は”いちご”からきているんだそう。そのため、意識的にいちごに関連するアイテムやピンク色のものを集めているんだとか。
キッチンの中でも特に目を引くアイテムはピンクの冷蔵庫と炊飯器。こちらの二つはネット通販で購入した。 次に購入を検討しているのは、あるだけでハッピーな気持ちになれるようなピンクのオーブンと卓上コンロなんだそう。