眉メイクをもっと自由にワクワクと選ぶことができたら、どんなに楽しいだろう|前田エマの、日々のモノ選び。#4
30代という年齢は、“モノを選ぶ眼”が育ち養われてくる年齢ではないだろうか?流行りものやブランドものではなく、自分が心地いいモノを選びたい。生産の背景を知り好きになるモノだったり、多少値が張っても人生をかけて大切にしたいと思えるモノだったり…。そういった視点でモノを選ぶ前田エマさんが、ご自身の私物とともに「モノの選び方」について綴る連載です。第4回目は、前回に引き続き、草場妙子さんと一緒に眉メイクについて考えました。
前回は、 3本のリップから簡単に始められる“メイクを選ぶ楽しさ” について書いてみた。
さて、今回のテーマは少し難しそうなイメージのある“眉メイク”について。
多くの人が「自分にとっての正解の定番の眉毛」を欲しがっているような気がするが、眉メイクをもっと自由にワクワクと選ぶことができたなら、どんなに楽しいだろう。
今回は草場さんに、雰囲気の違う3つの眉メイクをみせていただいた。
自分の眉を生かしたシンプルな眉メイク
〈セルヴォーク〉インディケイト アイブロウパウダー 07、〈クレ・ド・ポー ボーテ〉ジェルスルシル 104、〈スック〉アイブロウブラシ ラージ
以前草場さんに教えてもらってから、自分でもよくやっているのが、パウダーとアイブロウマスカラで作る眉だ。パウダーを少し太めのブラシを使って描くと、輪郭が決まりすぎずにぼやけるので、ペンシルで描くより優しい雰囲気になる。ポイントは、少し明るい赤みのある色を使うこと。私もこの〈セルヴォーク〉の07番は持っていて、真ん中のピンクをまずは取り、様子を見ながら上の華やかなワインブラウンもプラスする。
アイブロウのカラーを選ぶとき、どうしても無難なブラウンやグレーを使いたくなってしまうが、実はこうすることで元々の黒色の眉毛が持っている“青み”をやわらげることができるという。これだけで眉毛が肌になじみ、だいぶ垢抜けた印象に。
今回使ったアイブロウマスカラはブラック。パウダーとアイブロウマスカラの色を同じ色で合わせなくても、全然大丈夫。ブラックを使うことで、眉の毛流れが目立ち、イキイキとする。ちなみにマスカラは、まず毛流れと逆方向に塗り、それから形を整えるように毛流れに沿って塗ると、しっかり色が絡むのだそう。
形は変えず色味を変えた、おしゃれな赤眉メイク
〈アディクション〉プレスド デュオ アイブロウ 005、〈アディクション〉アイブロウマスカラ カラーニュアンス 003、〈スック〉アイブロウブラシ ラージ
髪色と眉の色を同じにしなくちゃいけないなんて、そんなルールどこにもないのに、何だかハードルが高そうで避けてきた。けれどこの赤い眉、思ったよりも奇抜にならずいい具合。赤い服と赤い眉がちょうど合っているし、何よりも気分が明るくなる。
かなり明るいサーモンピンクのパウダーをブラシで入れ、オレンジ色のアイブロウマスカラを塗る。同系色のパウダーとマスカラを重ねることで色みが強調され、まるで混ざり合うかのように赤色に見える。
顔のどこかに色を使ってポイントメイクをする際は、カラーリップやカラーマスカラを使ってきたが、こうやって眉に色をのせるのも楽しい。
形に変化をつけて、キリッとした眉メイク
左上:〈エクセル〉 カラーエディットパウダーブロウ EP03(オータムベージュ)、左下:〈アニヴェン〉アイブロウマスカラ bm-01クリア、右:〈スック〉フレーミング アイブロウ リキッドペン04、〈スック〉アイブロウブラシ スモール、〈スリー〉カラーヴェールステートメントブラシ
今回一番、「わ〜!眉メイクってすごい!」と感動したのが、こちらの眉。驚いたのは2種類のブラシを使ってパウダーを入れること。眉頭は柔らかいブラシでふんわりと入れ、中間から眉尻は小さくて硬めのブラシでシャープに描く。
この眉メイクの一番のポイントは、眉頭にグレーのリキッドアイブロウで、まるで生えている毛のように細い縦線を3、4本入れたところ。すると眉のアーチが少し平行気味になり、キリッとした雰囲気になる。眉マスカラは透明なものを使って、自然な毛流れを固定する感じ。
私は最近まで、眉にあまり関心がなかった。
しかし、それがどうしてこうなったのか。
中学生の頃、眉毛を剃るのが流行ったので、見よう見まねでやってみた次の日、登校すると社会科の先生に「エマー!それ似合ってないぞ」と言われ、とても恥ずかしく、それ以降は眉毛をいじらなかった。
眉毛ほど、時代を映す顔のパーツがあるだろうか。
過去の雑誌をさかのぼって見ていると、細さや描き方、色などで、それがいつの時代なのか手に取るようにわかる気がする。
二十歳くらいの時に時代の波に流されて顔脱毛をした。
「眉毛のかたち、どうしますか?」と施術担当のお姉さんに聞かれ「適当に、自然な感じでお願いします」と言ったあの日から、剃ったことも抜いたこともなければ、眉毛を描いたことすらなかった(楽ちんだけど本当にそれでよかったのだろうかと、最近は思ったりもする)。
しかし、そんな私にもついに眉毛と対峙する時がきたのだ。
それは去年、韓国に留学したときだった。
韓国のヘアメイクさんにメイクをしてもらう機会があったのだが、まず最初に言われたのが「眉毛、剃っていいですか?」だった。
「どうぞどうぞ。剃ってくださいな」と伝えたのだが、心は衝撃をくらっていた。
まるで自分の眉毛は間違っているのだと言われているような気分だった。
普通に考えればそんなことはなく、韓国では私のような“ある意味でボーボーな、自然な感じの眉毛”は流行っておらず、決められた枠の中に、均一なトーンで描かれた眉毛が“美しい眉毛”だとされているだけなのだが、その時に初めて「正解の眉毛」というものについて考えた。
友人の中には、眉毛の形の悩みや時短のために、眉毛サロンへ行っている人もいる。
もちろん、自分が自分を少しでも愛せることがいちばん大切なことなので、それが彼らにとっての方法なら、本当に素晴らしいことだと思う。
ただ私は、左右不均等なこの眉毛がまあまあ好きだし、癖のある感じや、ばらつきのある毛の長さを美しいと感じる。
それを強く感じたのが、透明マスカラを試してみたときだった。
ある日、とても素敵な眉毛の子に「その眉毛、どうやってるの?」とたずねると、「透明マスカラを塗っているだけですよ〜」と言うので、早速買って真似してみたのだが、眉マスカラを使うこと自体が初めてで、想像以上に難しく、思ったように眉毛が流れてくれない。
まるでハリネズミのように一本一本が逆立つ。それに驚いて、今度はブラシを撫でるように動かすと皮膚にペタッと眉がくっついて、のっぺりとした眉毛になってしまう。
しかしそんな試行錯誤の中で、わかったことがたくさんあった。
眉毛は平面ではなく立体で、たくさんの隙間があること。毛流れひとつで大きく雰囲気を変えられること。
そして私も確実に歳をとっていて、眉毛の密度は減っていて、薄くなっていた。
それは悲しいことではなく、これからどうやってこの眉毛と付き合っていくのか、考え始めるきっかけとなった。
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