小池栄子のお悩み相談室 /第7回:「かなりの飽き性。趣味も中途半端で続かず、やりたい仕事も見つかりません」 (25歳/マーケティング)
仕事、プライベート、家庭生活含め、日々頑張っている人ほど悩みは尽きず、誰かに聞いてもらいたい、いいアドバイスが欲しい…そう思っている女性たちの声がHanako編集部に寄せられています。そこで、女優としてひときわ存在感を放ち、かついつもスパッと気持ちのいい発言をされている小池栄子さんに、人生の先輩としてアドバイスをしていただくこととなりました! 隔週更新でお届けします。
――趣味はおろか、仕事においても、何をやっても続かない…。飽き性であることを自覚しているがゆえのお悩みです。転職など、人生の重要な選択をする場面では悩みも大きくなってしまうそうで。小池さんは、どんなアドバイスをされるのでしょうか。
本日のお悩み
かなりの飽き性です。好奇心旺盛でフットワークが軽いといえば聞こえはいいですが、面白そう! と思ったことに首を突っ込んでも、しばらくすると萎むように興味を失ってしまいます。やりきったからやめるならまだしも、中途半端になっているものもしばしば。趣味のみならず仕事選びでも同じ状態で、“この瞬間に私が挑戦してみたいことは、ずっとやっていきたいことではないのかもしれない”と思うと、大きく踏み出すことができません。将来のことなんてわからないんだから踏み出してみたらいい、と思った時期もありますが、振り返ってみるとやってきたことの一貫性がなくて、なにも自分の中に蓄積されていないように感じます。ただ、それで割り切って興味が持てないことを仕事にするのは苦痛です。どうしたら本当にやりたいことが見つかるでしょうか? 小池さんはどうやって見つけられてきましたか?(25歳/マーケティング)
――この相談、小池さんは気になっていたようですね。
そうなんです。だって私もまったく一緒だから。私の場合はすっごい飽き性なうえに、今はなにも趣味がないんです。この仕事も、見つけたというよりは続けているうちにいろいろつかんできて、楽しさも感じているから、仕事が趣味のようになっている感じ。だから続けられているんだろうな、という感覚です。
――一番長く続いている趣味が仕事、みたいな。
本当にそうです。私にも、ジムでのトレーニングや美容にハマったり、物を集めていた時期もあったんです。例えば“箸置き”。あるとき可愛いって思ってから、旅公演のたびに地方で箸置きを買って集めていたんです。引っ越しもしたばかりで浮かれている時期で、毎日違う箸置きでご飯を食べたいって思っていたんでしょうね。ところがある日、箸置き入れが溢れているのを見た瞬間に「一種類でいいんだけど」って引いちゃって(笑)。しかもコロナ禍になって、家にも人が来なくなり、使う機会も少なくなったし。
――それで箸置きブームが一気に去ったと?
そうなんです。石鹸もそうでしたね。どんどん集めていたけど、結局自分の好きな香りが特定されてくると、その時のテンションで買った特別好きな香りではない石鹸を、一生懸命たくさん使って処理することになる…みたいな。そんなことばかりです。全然続かなくて。
――1回ハマったり好きになると、ずっと好きだという方もいますよね。集めるものにしても、推し活でも。
いらっしゃいますよね。しかもそういう方たちって、すごく物を大事にしている。私は真逆で…でもだから、毎回作品や座組が変わっていくこの世界が合っているんだと思います。
――とはいえ、先日まで出演されていた大河ドラマは、結構長かったですよね。
大河の場合は、話が変わっていくし、人も入れ替わっていくという変化があるから毎回新鮮な感じがするんですよね。
――確かにそうですね。趣味のように思える仕事で、なおかつ変化が常にあるのはいいですね。
でも大変なこともたくさんありますよ。私はお客さんの反応が直接感じられる舞台の仕事が大好きなのですが、稽古期間中は本当に辛いんです。セリフもたくさん覚えなくてはいけないし、みんなの前でダメ出しされて恥ずかしい思いもしなければならないし。本番が始まっても、喉のケア、体力維持、健康管理などなど・・・。これが数か月続きますから。
――好きなことをやっていても辛いことも多いと。
そうです。この方は、興味のない仕事をやるのは苦痛だっておっしゃっていて、それはもちろんそうなんですが、仕事をしてお金を稼ぐって、本当に大変なんですよ。心を病むほどやりたくないことを続けるのはやめたほうがいいけど、キツいな、辛いな、合わないなという感覚まで含めて“仕事”だと覚悟するべきでもある。100%自分がやりたい仕事なんて、なかなか出合えるもんじゃないし、そもそも、やりたいことが見つかるはずだと思い込み過ぎている気もします。
――わかるような気がします。辛いことを含めて仕事だと思えば、少し楽になったり、救われることもありそうです。
そうですよね。やりたいことが見つかったらそりゃラッキーだけど、そんなことはあまりないということを認識しておいて、“この仕事にあまり興味はないけどちょっとやってみるか”ぐらいの感覚でチャレンジした中に、自分なりの楽しみ方を見つけることが大事なのかな。そしてそれができる人が、長く続けられる人なんだと思います。それに、別に転職を繰り返したっていいと思うんですよね。
興味ある仕事をいろいろする、転職人生でもいいんじゃない?
――お悩みにある「大きく踏み出す」というのは、“一生同じことを続けられる仕事を見つけたい”という意味にもとれます。ちなみに小池さんは、今の仕事を一生やると思っていますか?
それは思っていないかも。気分が変われば、違うこともしてみたくなるかもしれないし。それに、プライベートの事情で、環境が変わる可能性はありますから。例えば親が体調を悪くして付き添わなければいけなくなったら、今のペースでは働けないし、東京を離れることにもなるかもしれない。でも、先のことを考えたら不安しかないし、そのために躊躇してしまうのはもったいない。この方も、そのとき興味がある仕事をいろいろしてみるという、転職人生でもいいんじゃないですか?
――確かに、転職を繰り返すことは悪いことではないですからね。いろんな職業を知ってみるというのは、飽き性な性格が活かせそう。
そうそう。それこそ資格とかたくさん取ってもいいしね。この前、バラエティ番組にウエストランドさんが出ていて、いわゆる“じゃないほう芸人”の河本(太)さんが、全然仕事がないときに、興味がある資格をたくさん取っていたと話していて。相方の井口(浩之)さんも、会社の人もそのことを知らなかったそうなんです。しかもその資格をちゃんと活かして働いていたみたいで。そういう生き方もおもしろいですよね。そういうエピソードが後々活きてくるかもしれないし。
――自分の性格を受け入れて、もう少し気楽に仕事ができるといいですね。
そう思います。でもまだ25歳ですから。これだという仕事がいつか見つかると思いますよ。