あの有名アーティスト、オークションにかけられた作品総額はおいくら? 有楽町 〈b8ta Tokyo Yurakuchoエクスペリエンスルーム〉で『データでみる美術展 by ANDART』開催中。
作品とともに、その作品やアーティストにまつわるさまざまなデータを一緒に展示している展覧会が、有楽町〈b8ta Tokyo Yurakuchoエクスペリエンスルーム〉で開催中です。アート作品は難解で、どんな部分に注目したらいいのかわからないと思うこともあります。客観的な数字や情報と一緒に見るとアートを理解するための糸口がつかめるかも?
美術館での鑑賞とは違う角度から見るアート作品。
著名人がアート作品を所有したり、オークションで有名アーティストの作品が高値で売買されたり。アートは鑑賞するだけでなく、所有する楽しみもあることがクローズアップされています。
6月30日まで有楽町の〈b8ta Tokyo Yurakuchoエクスペリエンスルーム〉で開催中の『データでみる美術展 by ANDART』は、世界的に評価の高いアーティストの作品が展示されているだけでなく、オークションでの落札価格にまつわる情報など、データや数字などと一緒に展示されるという異色の美術展です。
この美術展を企画したのは〈ANDART〉。アート作品を小口所有するサービスを展開しています。高価なアート作品を共同で所有できる会員制のサービスで、会員間でその所有権を取引することもできるというものです。
今回展示されている3つの作品も〈ANDART〉を通じてそれぞれ数百人が小口所有しています。
ウォーホルはキャンベルスープを20年間ランチに食べていた。
ポップアートを代表するアーティスト、アンディ・ウォーホルによる『Campbell's Soup I (Pepper Pot)』。ウォーホルは、繰り返し同じモチーフを使った作品を制作したことでも知られますが、キャンベルのスープ缶も彼が好んで用いたモチーフのひとつです。
この作品には、ウォーホルが20年間にわたってランチにキャンベルスープ缶を食べていたことや、ウォーホルの死後に遺品や骨董品がオークションにかけられた売上が約25億円であることなど、興味深いデータが添えられています。
現在この作品を小口所有しているオーナーは217人。〈ANDART〉では小口所有権1枠がまず10,000円から売り出されていますが、これまでの取引で最高価格13,000円にもなったのだとか。
2つ目の作品は、素性が不明で路上に作品を描くことでも世界から注目されるイギリスのアーティスト、バンクシーによる『Pulp Fiction』です。バンクシーの作品のオークションでの最高取引価格が1,410万円であることや、人気のあるバンクシクシー作品が2021年にオークションで出品された回数が1972回であることなどの情報が添えられています。
『Pulp Fiction』はクエンティン・タランティーノ監督による映画『Pulp Fiction』がモチーフ。拳銃を持っているはずの登場人物がバナナを持っているのは、反暴力や反戦争を訴えてのことだと考えられています。
3つ目はニューヨークを拠点に活動するKAWSの作品『URGE』。目がバッテンになっているキャラクターのコンパニオンや、ファッションブランドとのコラボでも知られるアーティストです。
KAWSの作品に添えられた情報も気になるものばかり。2019年3月に行われたアジア最大級のアートフェア『アート・バーゼル香港』にKAWSが出展したコンパニオンは、大きさが121フィート(約37メートル)だったことや、2017年にKAWS作品の販売価格は540万円から1,048万円と倍増したなど、人気のアーティストらしいデータが並びます。
アートとアーティスト、そしてその資産価値にも注目。
美術館やギャラリーでの展覧会では、作品の背景の解説があっても、このようなデータに触れられる機会はほぼありません。作品の価格や価値上昇の背景を知ると、普段の鑑賞では感じ取ることができないアート作品の経済的な側面にも興味が湧いてきそうです。
〈ANDART〉のウェブサイトでは、会員が共同所有している41作品の情報も見ることができます。会場では、スマートフォンでQRコードを読み込むことでアクセス可能です。無料会員になると、オークションや作品の情報なども入手可能。
また作品オーナーになると、〈ANDART〉が美術専門倉庫で保管している作品のオーナー限定鑑賞会などに招待されるなど、アート作品を所有する喜びを感じられる体験も用意されています。
これまで日本では、諸外国に比べて、アート作品を所有することや投資の対象にすることへのハードルが高く感じられてきました。〈ANDART〉による小口所有は、作品を身近なものにしてくれるだけでなく、今後の活躍や作品の価値が上がることが期待されるアーティストを応援することにもなります。
展覧会で作品を見るだけでなく、アートと新しい関わり方が楽しめる〈ANDART〉の取り組み。まずはデータと一緒に作品を見ることで、興味を深めてみてはいかがでしょうか?
『データでみる美術展 by ANDART』
■東京都千代田区有楽町1-7-1 有楽町電気ビル1F b8ta Tokyo - Yurakucho エクスペリエンスルーム
■~2022年6月30日
■11:00〜19:30
■入場無料
■イベントサイト