台湾の不妊治療について。 不妊夫婦の3割以上が体外受精に成功。台湾の不妊治療、好成績の理由とは?
日本と同様、不妊治療の受診が多い台湾。コロナ前にはわざわざ日本から治療を受けに行く人も少なくなかったという。日本との差はどこに?台湾の不妊治療の最前線を取材してみた。クリニックの初診年齢は38歳からが多い。患者さんの状況を考え、成功率を高めることを目標に掲げて、積極的に先進医療を治療に取り入れている。
技術と科学の進歩を積極的に取り入れる。
〈ドクターワン生殖医学・試管ベビーセンター〉は、台湾の不妊治療施設の象徴ともいわれるクリニックで、院内はホテルのラウンジのように快適な空間だ。
ドクターワンは、台湾大学病院、林口長庚記念病院、台北医学大学付属病院を経て、長年の臨床経験や研鑽を積み、クリニックを開業した。台湾国民健康署の統計によると、不妊夫婦の3割以上が体外受精に成功しているという。日本との違いはさまざまだが、台湾の方が速やかに先端技術を取り入れる傾向にあるようだ。日本では臨床研究という形で、限られた医療機関でしかできない着床前遺伝子スクリーニング(PGS検査)も台湾では普及している。
現在、台湾で広く行われている体外受精法は「GnRHアンタゴニスト法」。排卵誘発後、卵胞ができたら注射して採卵する。体外受精による受精卵はシャーレで〜日育ててから子宮に胚移植し、胚移植ができて3〜5日目に妊娠検査となる。全治療が1カ月しかかからない。体外受精法を望まない場合は、人工授精法になる。晩婚化の傾向は日本も台湾も同じ。「患者さんの半分以上が38歳以上で治療を開始するので、妊娠のタイミングを逃さないため、事前検査も患者さんに提案する。年齢だけは越えられない壁です」とドクターワン。
治療費は、人工授精法は1万〜3万元、体外受精法は10万〜15万元かかる。昨年、体外受精は採卵ができ次第政府から、1回目の採卵が10万元まで、2回目は6万元までの補助金が受けられるようになったのをきっかけに、台湾の不妊治療は体外受精が主流になるとドクターは見ている。
〈ドクターワン 生殖医学・試管ベビーセンター〉
ドクターは、台湾の生殖医学会理事も務める。
■台北市信義區基隆路二段60號
■02-2758-6966
Dr.王家瑋(ワン・ジャーウェイ)
國立台湾大学医学科、台湾大学病院、ニューヨーク大学生殖内分泌・不妊患者研究員などを経て、同クリニック院長。