さあ、行くわよ? きゃりーぱみゅぱみゅの 「大人なLADYになるわよコラム」第22回〜『初のガチ親孝行してみたわよ』〜
きゃりーぱみゅぱみゅが「大人なLADY」を目指す日々を綴る連載。おかげさまで、話題沸騰です。第22回は「親孝行」のお話。
『初のガチ親孝行してみたわよ』
皆さま、ごきげんよう。先日、親孝行をしたきゃりーぱみゅぱみゅです。ガチなやつはこれが初めてかもしれません。
私は一人っ子なんですけど、18歳で実家を出て以来、今までまともな親孝行をしてきませんでした。忙しくてなかなか時間が取れなかったというのもそうなんですけど、そもそも両親においしいものを食べさせたいという気持ちよりも、むしろ自分が食べたいと考えてしまう未熟者だったからです。
でも、そんな私に対して両親はいつも「私のライブこそが親孝行だよ」って言ってくれるので、ついついそれに甘えてしまっていたんですが、ある日、友達と一緒に旅行に行ったときにその考えを改める出来事がありました。
その子はとても家族思いで、たくさんお土産を買っていたんです。私はそういうことをあまりしないタイプだったので、ただその子の買い物について回ってるだけだったんですけど、そんな様子を見かねたのか、その子は私の両親にまでカニを買って送ってくれたんです。
そしたら両親の喜んだこと喜んだこと。もちろんカニが大好きっていうのもあるんですけど、それ以上に自分のことを気にして送ってきてくれたことがうれしいんだと、お恥ずかしながら、その時、ようやく私はわかったんです。それで私も真似をするようになって、ツアー先とかから何かを送ったりするようになりました。
「今日はお土産ありですか?」
そんなLINEがライブ前にお母さんから来るのが、今では恒例です。前回の母の日には初めてカーネーションをプレゼントしてみました。それもめっちゃ喜んでくれて、2週間くらい水とかうまいことやりくりして超大切に育てている写真をお父さんが送ってきてくれました。
こんなに喜んでくれるなら、また何かをプレゼントしたい。そう考えていた昨年の年末。今度はお父さんの誕生日に、高級寿司をご馳走することにしたんです。
そのお店はもともとお友達が教えてくれたところなんですけど、最高においしくて大感動したし、もうこのお店にはほんと感謝しかないので、ぜひここでご紹介させてください。目黒の不動前にある「鮨 りんだ」さんです。
大将がTHE BLUE HEARTSが大好きで、それで名曲『リンダリンダ』からこの店名にされたそうです。それで私は友達と初めて行ったときの帰り際に板前さんにふと「次はぜひ両親と来たいです。親孝行して~な~」みたいなことを言ったんですね。
とはいえ、普段はまったく予約の取れない人気店。次はいつ行けるのはわからないけどね…と思っていました。しかし年の瀬が近づきつつあったある日、「12/28に予約キャンセルが2名出たので、よろしければお越しになりませんか?」とお店からの連絡が。しかもその12/28は、なんとドンピシャでお父さんの誕生日。なんという偶然。盛り上がってまいりました!
ただ問題は、“2名”というところなんですよね…。せっかくの誕生日なのに両親だけで行ってもらうのもアレだし、お母さんだけ置いていくわけにもいかないし、なんとかこの親孝行チャンスを逃したくないと思った私は、ダメ元でお願いしてみることにしました。いつもの下手(したて)作戦です。
すると「3名様でも大丈夫ですよ」とのお返事が! ナイス下手!
さて、次は両親のブッキングです。ここでもひとつ心配な点がありました。2人は西東京のほうに住んでるんですけど、普段はコロナを警戒して人の多い都心にあまり出たがらないんです。だからひょっとしたらお母さんあたりが反対するかもなあ…と思いつつ連絡してみたところ、
「いっきまーす!」
秒でお母さんから元気の良い返事が返ってきました。もうウキウキのようです。
なのに、いざ12/28になって「鮨 りんだ」に3人で行ってみると、めっちゃ緊張して固まってしまった両親…。いつも行く回転寿司とはまったく違う雰囲気にちょっと圧倒されてしまったんでしょうか。
「お母さまは、お酒とか飲まれるんですか?」
「はあ…」
板前さんに聞かれてもろくな返事もできず、あまりに無言になりすぎて、なんか感じ悪い両親を連れてきたみたいになってしまいました。
しかしそれも最初のうち。おいしいお寿司と、お酒が入ってきてだんだん楽しくなってきました。そしてその頃合いを見計らって、サプライズでお父さんのバースデーケーキの登場です。
ちなみに、これについてはお店の方と事前に打ち合わせをしてまして、最初あちらから「盛大にお祝いしてもよろしいでしょうか?」とご提案いただいたので、「いいんですか? 父もめっちゃ喜びます!」「では、電気を消してからみんなでハッピーバースデーを歌いますね!」と、いうことになりました。
ところがそれから2~3日後、お風呂に入りながら私はふと思いました。…いや、ゆーてもお父さん、もうおじいさんに近いおじさんだし、そんな人が高級寿司店で「ハッピーバースデー!」とか言ってワイワイ祝われるのも違くないか?と。
それでまた下手作戦を発動しまして、「本当にお気持ちすごくうれしいんですけど、今回は私じゃなくて父なので、ちょっとこじんまりお願いできるとうれしいです」とお店の方に伝えました。そしたら、「わかりました! では、こじんまり盛大にお祝いいたします!」みたいな返事が…。どっちなんだ!?
……からの、ケーキ登場なうです。直前までハラハラしていた私の心配をよそに、店内の電気も消されることなく、こっそりとこぶりなケーキが出てきました。
キャンドルをふーと消してくれたお父さん。そして写真を撮って、誕生日プレゼントとしてお財布をあげました。というのも、お父さんはいつもお財布にカードをギッチギチに入れる人で、なんならカードが15枚くらい入るやつがいいらしいんですけど、そんなのありませんし、だからあえて4枚くらい入るお財布を選んでみたというわけです。
「本当に大切なカードだけ持ち歩きな」
そう言ってお父さんにお財布をプレゼントできた私は、また大人の階段を一歩登れた気がしました。
でも、一個だけ大人になりきれなかったポイントとしては、お会計のときに「カードで」って言ってクレカを出したんですけど、まさかの上限超えで使えず、いそいそと小走りでコンビニまでお金を下ろしに行くことになってしまったことです。最後にダサい姿を晒してしまいました。