多治見で見つかった50年前のモダニズム。 50年以上眠っていた器が再び人気に!ヴィンテージ品を受け継ぐ、目黒〈Complex Universal Furniture Supply〉へ。

LEARN 2021.03.29

日本有数の“焼き物の町”として知られる岐阜県多治見市。古くから続くタイル専門店の倉庫で50年以上もの間眠っていた器たちが、いま再び注目を集めています。今回は多治見のタイルのデッドストックを取り扱う、目黒の〈Complex Universal Furniture Supply〉を訪れました。

〈Complex Universal Furniture Supply〉の代表、木村ユタカさんの奥様も多治見ヴィンテージに魅了されたひとりで、フリーランスエディターとして活躍している。「ハンドクラフトならではの温かさに心惹かれます」。写真は自宅で愛用している器たち。
〈Complex Universal Furniture Supply〉の代表、木村ユタカさんの奥様も多治見ヴィンテージに魅了されたひとりで、フリーランスエディターとして活躍している。「ハンドクラフトならではの温かさに心惹かれます」。写真は自宅で愛用している器たち。

時は60年以上前までさかのぼる。終戦後の日本では、自由貿易や資本移動を目的としたメイド・イン・ジャパンアイテムの海外輸出が盛んだった。横浜のシルクやハワイの土産品として作製されたフラドールなど商品はさまざまだが、時期を同じくして名古屋港からアメリカに大量に輸出されていたのが、岐阜の多治見や土岐で作られた陶器だ。日本のクラフトマンシップが息づいた器たちが海の向こうで多くの人の手に取られ、生活に寄り添ってきたことは想像に難くないが、その流れが大きく変わったのは、1973年に1ドルが360円という固定相場制から変動相場制に移行したときのこと。海外での需要を主として生産された多くの商品が行き場をなくし、廃棄もしくは“お蔵入り”となったのだが、そうした運命のもとに忘れられていた多治見の器がひょんなことから再び日の目を見ることになる。

きっかけとなったのは〈ComplexUniversal Furniture Supply〉の代表を務める木村ユタカさんだ。自社の家具を納めた現場で目に留まった多治見のタイル。そのタイルの歴史を調べていたら、素朴な器の写真が目に入った。タイル店の倉庫にデッドストックがたくさんあると聞き、すぐに現地へ。実際に器を手に取ると、温かな風合いにたちまち魅了されたと木村さんは話す。海外の暮らしをイメージして作られたためか、マグカップも花器も大らかな風合いで、いまの日本人の生活様式にしっくりくる用の美を感じる。そのストーリーに思いを馳せながら、たくましく美しい器の魅力に触れてみたい。

〈Complex Universal Furniture Supply(コンプレックス ユニバーサル ファニチャー サプライ)〉

7X2A0410

「大切に受け継がれていくものづくり」をテーマに、オリジナル家具などを展開。器はオンラインでの販売も。
■東京都目黒区三田2-10-35
■03-3760-0111
■11:00~19:00(土日12:00~18:00)祝日休

https://www.complex-jp.net/

(Hanako1194号掲載/photo : Jimmy Yang coordination : Chen Tsuiwen model : Chunn Wang)

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