40年こだわり続けた着物づくりへの想いがここに。 160点の作品が集結!〈銀座もとじ〉40周年記念作品展。
2019年8月で創業40年を迎えた、着物の専門店〈銀座もとじ〉。1979年の創業以来、創業40年間こだわり続けたものづくりに対する深い想いが伝わる作品展『銀座もとじ 創業40周年記念作品展- 繋がり-』の魅力をたっぷりご紹介します。
テーマは「繋がり」。
日本全国の染め、織りの重要無形文化財保持者をはじめ、日本工芸会や国画会に所属する作家の方々や産地の作り手が、「繋がり」という同じテーマで産み出した作品の数々。全国から届く全160点の作品のうち、今回の内覧会では約60作品が展示されていました。
作品の一つ一つには、この着物を作るために携わったすべての人の名前が記載されています。作家の方だけでなく、着物の材料である絹、そしてその絹を作る蚕を育てる養蚕農家さんの名前も記載するトレーサビリティの徹底ぶり。これには、「着ていただくお客様に作り手と着物の“繋がり”を理解してもらい、より大切に着てほしい」という、作り手とお客様両方を尊重する〈銀座もとじ〉の願いが込められています。
着物の美しさを支える一本の糸。
テーマだけでなく、使う素材も統一。「プラチナボーイ」と呼ばれる雄の蚕から作られた絹糸が使用されています。雄の蚕からできる糸は、一般的に雌の糸の質よりも細く艶やかで、強いといわれていますが、雄の蚕だけを育てる技術はとても難しく、長年にわたって研究が進められていました。「プラチナボーイ」はそんな研究成果が産んだ賜物なのだそう。これほどまでの素材へのこだわりは、着物の魅力を原点から伝えたいという〈銀座もとじ〉ならではですね。
憧れの地「銀座」の街並みを着物に。
もともと染色に適していない柳を染料として使った作品が多くあるのもこの展覧会の特徴です。そこには、銀座でお店を持ちたいと願い続けた泉二さんの「銀座ならではのものを作りたい」という強い思いから始まりました。
銀座のシンボルでもある柳の葉は、染まりにくくも、風合いの柔らかさと深みのある淡い色が着物に深みを与えてくれます。たとえ時間がかかっても、選ぶ価値のある唯一無二な仕上がりに、多くの〈銀座もとじ〉ファンが魅了されているのです。また、この「銀座の柳染め」は、銀座の街への貢献活動の一環として、毎年地元の小学校で恒例の課外授業として取り組まれており、命の大切さとものづくりの楽しさを伝え続けています。
そんなさまざまな想いを受けて改めて作品を見てみると、同じテーマでも作り手によってまったく違ったものに見えてくるから不思議。まるで作家さんの心のありようや、各工程に携わる職人さんたちが繋ぐ物語を見ている様。一枚一枚の生地に愛着が湧いてきます。
着る人の人生に寄り添う着物づくりを。
これだけの技術のリレーを経て出来上がった渾身の一枚も、主人公である「身に纏う人」がいなければ輝けません。「〈銀座もとじ〉が目指しているのは、お客様に着物を着ていただくことで、お客様の人生に寄り添い、伴奏者となること」だと創業者である泉二さんは言います。着物は自己表現の最大の武器であるからこそ、より多くの人に、自分だけの着物と出会ってほしい。そんな想いを感じました。
「着物を日常着の選択肢にしたい」と語るのは、二代目の泉二啓太さん。朝クローゼットを開けて服を選ぶとき、「洋服にしようか?着物にしようか?」と悩んだり、スポーツの話をする様に、染織の話をしたり。そのくらい着物を誰にとっても身近なものにすることが、彼が二代目として挑戦したいことだと言います。着物に対する敷居を下げて広く親しみやすさを感じてもらうために、毎年30近くの企画展を開催しているそう。その中でも今回の40周年記念作品展は、1年半以上の準備期間を経てようやく実現した想い入れの強い作品展とのことで、着物文化に馴染みのない、着物を着たことがない若い人たちにもぜひ足を運んで、着物のことを知ってもらいたいと話していました。
着物に対する見方が変わる作品展「繋がり」は、1月17日~19日の3日間の開催です。18日(土)には作家の方々をお招きし、作品やものづくりについての話が聞ける「ぎゃらりートーク」も。銀座に訪れた際は、ぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
銀座もとじ創業40周年記念作品展「繋がり」
【日時】: 2020年1月17日(金)〜19日(日)
【会場】: 銀座もとじ 和織・和染 、男のきもの、大島紬
ぎゃらりートーク
【日時】:2020年1月18日(土)10:00~11:00
【会場】:銀座もとじ 和織
定員40名(会費無料・要予約)
〈銀座もとじ 和織・和染〉
■東京都中央区銀座4-8-12
■03-3538-7878
■11:00〜19:00
■無休
■WEBサイト
■ インスタグラム:ginza_motoji